隣の隣の社会人(全14話)
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休日の16時。
帰宅するのかこれから出掛けるのか、どうでもいい人たちが電車に乗っており、それでも仕事に行く際のラッシュに比べれば大したことにはならないので比較的穏やかに、は、いられなかった。
絶賛不機嫌でいる七海さんのおかげだ。
電車は騒音をたてているが会話する分には問題のない程の騒音なので話しかけることはできるのだがちよっとできない。何事かを考えている推しの思考の邪魔をしてはいけないので黙って隣に立っていればようやく見知った駅に着き七海さんと肩を並べて改札をでる。七海さんは未だに無言だ。
マンションまで歩き続け居心地の悪さを覚えていれば鼻先に腐臭をとらえ思わず顔を上げてしまった。そんな私の様子に七海さんは気付いたようで「どうしました」と問われ、私はキョロキョロしながら
「あの、」
と。
「何か腐ったような臭いが」
しませんか?と問いかけようとしたら、私と七海さんの目の前に、呪いと思いしき、というか思いっきり呪いが落ちてきた。
「ヒェッ……」
と思わず声を上げてしまえば七海さんは背中のホルスターから大鉈を取り出し私を庇うような姿勢になり、私も七海さんと呪いから距離を取る。
邪魔になってしまうから。
しかし七海さんはあっという間に呪いを祓ってしまい
「どぅわあああ!格好いい~~!!」
なんてスタンディングオベーションをしながら見ていれば七海さんは大鉈をしまい私を振り返る。
「響さん」
「は?はい!」
七海さんはじっと私を見つめてくると眉間にシワを寄せたまま近づいてきて、私の前髪を払いながら静かに呟いた。
「索敵が得意のようですね」
索敵というより臭い、なのだがそれは索敵に入るのだろうか、入るのだろうな。
七海さんの後ろで呪いはチリとなり消えていき先程よりかは機嫌が直ったような七海さんを見上げ、七海さんは私を見下ろし
「今のように呪いを視認したら報告を」
階級などは詳しくは分からないでしょうなのであなたは「ただ」呪いの発生ポイントと見た目で伝えて下されば近場の術師が向かいます。
「は、はい、分かりました」
「………」
「な、七海さん?」
今日の七海さんはいつも以上に意味が分からないとしていれば七海さんはサングラスを外しながら、深く、小さく、ゆっくりと息を吐き出してきた。本当に、なに?!どうしたの?と困惑していれば七海さんは私の肩に手を置いてきて
「響さん、私とお付き合いして下さいませんか」
「……ん?」
変な枕詞が聞こえた気がしてポカンとしていれば七海さんはもう一度、しかし今度は「結婚してください」と繰り返し、私の頭はパンクした。
「た、タイムは…」
「ありません」
「オーディエンスは…」
「クイズではないので」
ヒェッ…!なんて小さな悲鳴は風に流されていき
「私はあなたを守りたい」
と真っ直ぐ伝えてきた七海さんに目眩を覚えていれば
「今夜飲みにいきませんか」
と静かに問われてしまい、色々と動揺していても七海さんは引きもせず、
「答えは前向きにお願いします」
そう呟いた七海さんに混乱したまま
「ひゃい!」
と頷いてしまった。
推しになんてことを言われたんだ!の思いが強すぎて私と七海さんは一旦互いの自宅に戻って、私はベッドに倒れこんでしまった。
なんですって!?