隣の隣の社会人(全14話)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
こっち(?)に来る前に友人宅で教えられた呪術廻戦の世界の「呪い」というモノについて、今、私は、推しに、復習させられている。復習というか初心者向けの知識を与えられている。
呪いや、呪いの発生のしかた、倒しかた、階級、それらと対等に動ける呪術師の階級やあれやこれ。
1回目であれば混乱して呪いが発生するということだけしか理解できないでいたであろうが、私は静かに私の瞳を見つめながらゆっくりと紡ぐ七海さんの言葉に頷いていく。
「襲われて、少しでも身体が残れば御の字」
大抵は何も残らない。
なんてことを聞かされ、安全圏にいてその“対等であろう人物”が側にいることでそれ程ゾッとはしなかったけれど、しかし、でもあの時の恐怖は間違いなく本物だった。
「呪いを視認し、多少なりとも響さんは呪力を持っている。けれど祓いかたは等は分からないでしょうしその呪力量では蠅頭程度には対処できるでしょうが」
私はあなたが傷つくのは見たくない。
普通に生き、普通に生活し、普通に人生を歩んでいってもらいたい。
そう言い切って口を閉ざした七海さんの言葉を頭の中で繰り返すが、ちょっとよくわからない。
アニメの七海さんは、パン屋のお姉さんにお礼を言われたそれだけで出戻りしたけど「呪術界はクソ」だと断言していて、でも「労働もクソ」で、「より適性のあるクソ」を選んだ……んだっけ?
それで、私みたいに関わりを持った人との縁を切りたくない、ということでしょうか!?作者様!!推し様!!!!
頭の悪い私の導きだした答えではあったがそれが当たりかは七海さんに聞かなければ分からないし、そもそもそんな話を呪いを蹴り飛ばしただけの一般人に話してもいいのだろうか。いや、きっといいんだろうな。だって七海さんは常識人だって、言ってた!!
思わずぐっと拳を握りしめれば七海さんはそれに気付いたようで躊躇いがちに私の手に触れその指をほどかれていく。
んあああ!!!!!七海さんに手を触られている!!プリンセスホールドより難易度が高いぞこりゃー!!!!!!
反射的にまた拳を握りしめそうになったが、そうすると七海さんの手を握りしめてしまう形になるのでなんとか思いとどまり、七海さんは下げていた視線を私に戻しそっと息を吐いた。
「信じ辛いとは思いますが」
いや、信じてます。
「事実です」
「はい」
今度こそしっかりと頷けば七海さんの固い表情は本の少しだけ弱くなり、そんな表情まであるなんて知らないぞ!と脳内では大変なお祭り騒ぎである。騒音だ。
握り拳を開いた七海さんはそんな私の手を包むようにして触れてくると視線を落とし深く長いため息を吐き出した。私はどうすればいいのか分からなくなるが一先ず手を離してくれないと色んな意味で私が死ぬ。
ショック死というか萌え死というか爆死というか色んな死にかたがあるのだが七海さんの部屋で死ぬわけにもいかず、いや、どこで死んでも迷惑であろうけど…けど!私はちょっとした答え合わせをしたくて背をシャンと正し、七海さんの深い緑の瞳を見つめ深呼吸をすると口を開いた。
「それで、私は今後どのように生活すればよろしいでしょうか?」
このマンションにいる限りになら七海さんがいるのできっと絶対大丈夫であろうが問題は私の通勤退勤日常生活。
必要最低限の外出に止めろとか何とか言われたら、それどこの引きこもりだよとなるし友人とも遊べなくなる。
かといって七海さんの言ったとおり私には呪いを祓えるほどの呪力はないらしいしちょっとした八方塞がりである。
困ったように眉を下げる私を見た七海さんは私を見つめてくると小さく咳払いをしてから私を見つめ直しそれはもうとんでもない発言をされた。とんでもないかは分からないが。
「高専関係者の“窓”になりませんか?」
呪いが発生したら呪術師に報告をする非術師。それになってほしいと七海さんはおっしゃっている。
え、ええ~?マジですか?
なんて情けない声が出そうになるもそれを押し止め七海さんを見てゴクリと息を飲む。
場違いにも七海さんの瞳にすいこまれそうになったがハッとして柔らかく握りしめられていた手を離すと小さく小さく頷いた。
「やります」
「断って下さってもいいんですよ」
今それを言うか?
次へ