隣の隣の社会人(全14話)
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プリンセスホールドをされたまマンションに戻ってきた私と七海さん。
七海さんに「もう大丈夫」下ろしてもらえるとありがたいと伝えてみせればこんな夜でもしっかりとサングラスをつけた七海さんの眉間にシワが寄り、器用にもエントランスのパスコードを入れると扉の向こう側に入る。しかし七海さんは私を見下ろし
「足、怪我してますよね」
と呟いた。
怪我ってほど怪我をしただろうか。
スルスルと下りてきたエレベーターに入り中に張られてある鏡に私と七海さんの姿が映る。そして、私の足も。
そこでようやく私の足の裏から血が滴っていることが分かり、多分あの足をくじく原因になった小石だろうと推測する。
色んなドーパミングのおかげで痛みを感じる暇は無かったのだが安全圏に入ったという気持ちになったそこで、ようやく足に痛みが走ってきた。
「…すみません……」
思わずポツリと呟けば七海さんは何かを言おうとしたがそれより先にエレベーターは昇り扉が開き七海さんは歩き出す。
「失礼」
そう断ってきた七海さんに
「な、なに?!」
と言いそうになるが、それは飲み込んで、七海さんは七海さん宅の鍵を開け私は強制的に七海さんのお宅へとお邪魔することになった。
七海さん宅は落ち着いたオレンジの照明にシンプルでいて七海さんの体格に合わせたのであろうソファーとテレビにガラスのテーブルが配置されてあって、そして七海さんの香りがブワッと鼻先をくすぐってくる。
んああああああ!!!無理ぃぃぃぃいい!!推しの!匂い!!!!!
悶えそうにぬる私を七海さんはソファーに下ろし「待っていてください」と行ってしまい私は心臓を押さえソファーの背に顔を押し付けた。好きが凄い。しんどい。
「響さん?大丈夫ですか?!」
「ヒェッ!あ、はい!はい!!」
慌てて顔を上げれば七海さんの目元にあったサングラスは無くその手には救急箱がありグリーンの瞳と整った顔が焦ったような表情を浮かべている。
推しの部屋に悶えているだけですと言えればどれだけ楽であろうか、言えるはずがない。
ゆっくり、しっかり「大丈夫です」と伝えれば七海さんは曖昧に頷いてくれて、また「失礼します」と言うと私の足を七海さんの膝に乗せられ消毒されていく。
消毒液の前にタオルで拭われた時には平気であったしアルコールが傷口に付けられても私は平気だった。
推しの!足に!己の足が乗せられて手当てをされているという事実と現実に、再びドーパミングが大量に出てきたためである。
七海さんに、それは丁寧に治療してもらうと今日の入浴はシャワーで済ませてくださいと言われ足も下ろされると七海さんは深いため息を吐き出して、私の横に拳一つ分の距離を置いて腰を下ろし私を見つめてきた。
「少し話せませんか」
何を言われるのかはなんとなく予想がつきそうで、つかなくても何とも言えない気持ちのまま、それでも私は
「はい」
と頷いてしまった。
「響さん、あなたや私が見ていたものは、」
呪いです。
……そうきたか、と、私は倒れこみそうになった。
本当に倒れたい