家入同中一般人と五条
タピる男とタピらぬ女(全8話)
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特に用事の無い休日。久しぶりに怠けて昼頃までベッドから抜け出さなかった私だが、惰眠をむさぼっていた私のスマホが鳴り響いた。
誰だろうと充電満タンのスマホを引っ張ってから指を滑らせメッセージアプリを開けば硝子ちゃんからの飲みのお誘い。
『今日の7時、いつもの居酒屋、飲むぞ』
と、簡潔に。
それに私はパッと顔を輝かせるとベッドから起き上がり抜け出て、朝、というかもうすぐ昼だが朝の支度を整えブランチにしてからメールを送り返した。大歓迎だと。
窓を開け放ち空を見上げればからっと晴れ上がっており、うん良い天気だ、これなら雨は降らないだろうとし、忙しかった硝子ちゃんとの飲みにワクワクと長い時間を過ごし6時に家を出た。
少し勇み足だったがそれ以上に楽しみだったわけで、6時半には居酒屋の暖簾をくぐってチラホラとかすかに賑わっている店内のカウンターに腰を下ろした。
硝子ちゃんが来たらテーブルに移るのでもいいだろうと先に飲み始めていれば45分頃にスマホが鳴り鞄から取り出し指を滑せる。
『悪い、仕事入った。少し遅れるから待っていてくれ』
それに対し私は少し考えると忙しかったらキャンセルで、また一緒に飲もうと送り返せばすぐ返事が返ってきて、続いて「絶対行くから待ってて」とあり笑って了解というスタンプを送った。
しかしそれまで1人飲みか、いや、というか約束の時間よりも早く来てしまったのは私だし遅れてでも絶対きてくれるのならセーブして飲もうかと軽めのカクテルなどを飲んでスマホのアプリで時間を潰すことにした。しかしそれが長く続かなかったのは別に硝子ちゃんが来たからではなく私を訪ねる人が来たからで。
「弦ちゃん」
「!わ、…悟さん?」
「きちゃった」なんてサングラスを少しずらして私のことを見下ろしてきた悟さんに驚いていれば悟さんは勝手知ったると言わんばかりに私の横に腰を下ろしノンアルコールの飲み物を頼み、めちゃくちゃ長い間足をゆったりと伸ばし私の方を向いてきた。なのでと私もグラスを持ったまま悟さんの方を向き
「硝子ちゃんとのメール見たの?」
と当然とも言える疑問を投げ掛けた。そうすれば悟さんはすぐ運ばれてきたドリンクのストローに口をつけ今日はタピオカではないのかと思いつつ返答を待っていれば悟さんは少し喉を潤したところでニパッと笑い
「そ!弦ちゃん、硝子とは飲みに行くのに僕とは飲みに行こうって言ってくれないから寂しくってさあ」
いや、下戸とは飲めないだろう。
そんな言葉を投げかけようとすれば悟さんは笑顔のまま私を見つめてきていて、今日はサングラスなのかと気付いた私に悟さんは気付いてサングラスを外してくれた。
顔が良い。
そんな軒並みな感想を持ちつつ暴力的なまでに整った顔をじっと見つめていれば悟さんは私を見て目を細めるとカウンターについてあった私の手に指を這わせ絡めとられてしまった。
指と指の間に節ばったキレイで長い大きな指が逃さぬと言わんばかりに重ねられ撫でられてしまい私の心臓がトコトコと速っていく。そして恋人のように顔を寄せてきて耳元で囁かれたのは私の名前。
「弦」
そう優しく低く小さく呼ばれた名に更に心臓が強く鳴り響き私も思わずかすれる声で悟さんと呟いてしまった。
そんな私に悟さんは小さく笑い更に顔を寄せてきて、耳元で
「弦は可愛いね」
なんて言われてしまえばアルコールの回っていた顔が赤くなった気がして、こんなん耐性ついてないとしていれば悟さんの口が耳たぶに触れ舌を這わせ息を吹きかけられる。
「まっ!まってまって悟さん!」
もう口から心臓が出そうになっていればしかし悟さんは悪戯っぽく笑いその唇は私の頬まで触れてきて、精一杯に身を引けば
「弦」
なんて悟さんとは別の、硝子ちゃんの声が耳に入りパッと振り返ると「ごめん遅れた」という言葉に眉が下がってしまい、悟さんはお会計をすると
「じゃ」
とにこやかに行ってしまい入れ替わりのように私の横に座った硝子ちゃんに
「あいつに何か変なことされなかったか?」
と問いかけられたため私は弱々な声で何もなかったと言うしかなかった。