狗巻と同中先輩が呪術師になった
私は彼をわんちゃんと呼ぶ(全21話)
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その話しが上がったのは真希ちゃんと談話室でお菓子パーティーをしていた時である。
私は真希ちゃんやわんちゃんと違って一般家庭出身であったが、真希ちゃん達は昔からのお家柄からか将来のお相手がいそうだなと、缶ビール片手にソファーに腰を深く下ろしなんとなくの発言であったしそれを求めての言葉ではないが
「わんちゃん、私に好意を向けてきてくれるのは嬉しいけど、将来のお相手さんがイヤな顔しそう」
と言う言葉に真希ちゃんは大きく目を見開くとそれはもう盛大な声で笑ってきた。
「それぜってーに棘に言うなよ、さすがに泣く」
「泣く」
泣く、のか。泣かれるのは嫌だ。
そう考えながら缶を空けていきテーブルにあるスルメに手を伸ばし口にする。ビールとスルメ最高。だが今はそうではないと真希ちゃんは足を組み同じようにスルメを囓ると呟いたのは
「ああ、やっぱり」
と言うもので。
「まあ、棘もお見合いの話しとかあるらしいぜ?」
今のところ全部断ってるみたいだし
「私としては初音とくっつくのが一番良いと思ってる」
「私に呪言は効かないからねぇ」
その意味ではまあ確かに私とくっつくのは一番良いのかもしれないが、ダメ駄目だめダメぜーったいダメ。
「わんちゃんには私みたいなビッチは絶対ダメ」
わんちゃんにはもっとこぢんまりとした、周りにお花が咲いていそうな可愛い女の子が似合う。だから私はダメ。
そう顔の前でバツを作れば真希ちゃんはジュースを飲みながら私を見つめ
「そんなマトモそうな女、結婚相手にはなんねーだろ」
「そうかあ?」
なんて言い合いながら私は新しい缶のプルタブをカシッと開け口に含み飲み込んで悩んでしまう。
「うーん…わんちゃんには幸せになってほしいからなぁ……私はそれを遠目に見て祝福の鐘を馴らしてあげたい」
「棘に幸せになってほしいなら初音、お前が棘と向き合ってちゃんとしてやれ。でないとアイツが可哀想だ。棘の気持ち考えてあるか?」
強く突き放しもせずゆるゆると受け取っている初音は棘にしたら一番酷い相手になる。と。
「突き放す、ねぇ……」
それが出来ればわんちゃんも次のお相手が見つかるのだろうか。
「初音は、棘が好きか?」
「私?」
「初音の本音だ」
「本音……」
私の、と2度呟き缶ビールを飲みながら真希ちゃんから静かな、そして真剣な視線を受け取って、私は悩みこんでしまった。
私の本音を、言うべきか、と。