狗巻と同中先輩が呪術師になった
私は彼をわんちゃんと呼ぶ(全21話)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
伏黒恵という名の一年生が入ってきて、私は三年になって、同じ三年の秤は停学になって、わんちゃんからデートに誘われた。
私は授業に、そしてわんちゃんは1人任務に行ってからの帰りに待ち合わせをしてデートをしたいと言うメールが届いた。
なので、と、私は珍しく座学を受け、突然任務が入ってきた時のために制服姿でわんちゃんのいる駅前まで新田さんに送ってもらい待ち合わせ場所に向かった。そこでとんでもないものをみてしまった。
いくつもある改札口の一つで女の子二人に絡まれているわんちゃん。
逆ナンである。
わんちゃんどうするのかなぁと遠目に見ていれば女の子はあざとらしく小首を傾げたり上目遣いにわんちゃんを見つめたりわんちゃんのネックウォーマーに指をかけようとしたり鞄からスマホを取り出し連絡先の交換を試みようとしている。しかし如何せんながら呪言師であるわんちゃんは口を開く事もできずにいて、ここで「おかか」なんて言っても初めましての人には意味が分からないだろうし、わんちゃんの頭のネジも疑われてしまうだろう。哀れな。
そうして見つめていればわんちゃんは大層困っているし私も私で男二人に声をかけられてしまい振り返って見上げればそこにいたのは見知らぬ男ではなくて。
「初音さん!元気でしたか!?」
「今までどこにいたんだよ、連絡しても返ってこねーし」
「校則厳しいから何も出来なかったんだー」
「えー?マジかよ」
そうして笑いあっていれば不良仲間であった男は私の制服に手を触れたりしてきて、そして私の背後を見た男友達は
「あ」
と呟いて、私も振り返って見た。そこにいたのは女の子に逆ナンされていたはずのわんちゃんがいて、どうやら私が男友達に話しかけられていたのをナンパと取ったのだろうそれはもう不服そうに眉を寄せている。
「いくら」
恐らく「ナンパか?」と問いかけているのであろうが男友達はわんちゃんを見下ろすと笑って
「わんちゃんじゃん」
と。しかしわんちゃんの表情は晴れずにいて。
「あそこにピンクのワンピース着た女の子二人、暇そうだよ」
暗に「ナンパに行け」と促せば二人は「お、いいじゃん」なんて笑って私とハイタッチすると行ってしまった。2体2だ。それに4人とも暇そうなのだから調度良いだろう。
わんちゃんと一緒にその背を見送るとわんちゃんは私に視線をよせ低く小さく呟いたのは
「初音……」
デート、楽しみだったのに。
ポツリと呟かれたそれに私は思わず笑ってしまいわんちゃんはまだまだ不服そうに私の手を取ってスルリと指先を絡め繋いできた。恋人繋ぎというものだ。
別段嫌なわけでもないのでそれを甘受し私も指に力を入れ繋ぎ返せばわんちゃんはようやく笑ってくれた。
私はわんちゃんの笑顔が好きだ。
わんちゃんに関わらず、私は人の笑顔が好きだ。
なのでと私も笑い手を引いて駅前のストリートを歩く事にした。
わんちゃんとこうして出掛けるのは中々に久し振りな気がしてさりげなく私の心はスキップをしているし、私と手を繋いでいるわんちゃんも嬉しそうだ。青みがかった銀髪の中にチラリと見える耳の先端が微かに赤い。可愛い。
そんな私の視線に気付いたわんちゃんは「どうしたの」と尋ねてきたので私はクスリと笑いわんちゃんの肩に顎を乗せ
「平和だね」
と呟いた。
わんちゃんは平和でなかった時間からの今であるがそれでもわんちゃんは目を細め笑うと、やはり頬まで赤く染めながらも私の「平和」発言に頷いてくれた。
そうして歩いている私たちはカップルに見られているであろうし、私と手を繋いでいるわんちゃんに視線を投げ掛けている女の子たちもある程度いて。からの私も男の視線を集めていることには気付いている。そのほとんどはこの制服と髪色にだろう。珍しいもんね。色々と。
目下の中、場所と制服と髪がアンバランスなことに違和感を覚えているからだろうと1人納得すれば今度はわんちゃんの視線が私に突き刺さってきたのに気が付くと顔を向け至近距離で見つめ合ってしまった。そうすればわんちゃんは真っ赤になって顔をそらし私は声を上げて笑ってしまった。
はいはい、可愛い可愛い!