狗巻と同中先輩が呪術師になった
私は彼をわんちゃんと呼ぶ(全21話)
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クリーニングに出したわんちゃんの制服を伊地知さんから受け取って、前に憂太君から教えてもらった部屋に届けに行けばYシャツ姿のわんちゃんが顔を出してくれた。
制服1人3着くらいまで作ってくれればいいのにと思いつつ菓子折りもまとめて渡せばその手をぎゅっと握りしめられ戸惑ってしまう。
嫌ではない私がいる。
因みに私の制服も新調してもらっているためそれを手に持っていたがわんちゃんは笑顔を浮かべ私のことをわんちゃんの部屋に引っ張って連れられ、私も特に抵抗することなくわんちゃんの部屋に足を踏み入れた。
2度目のわんちゃんの部屋に入りながらちょっと見渡せば前に来た時と同じで特に変わった様子はない。
ラグの敷いてあるその上に机が置かれてあり、その机の前に座らされた。
わんちゃんは私から受け取った制服をハンガーにかけてご機嫌である。どうしてだろうかとしていればわんちゃんはカップにココアを入れ机の上に置き私の前に腰を下ろした。
「ありがとう、わんちゃん」
そう返しココアに口をつければわんちゃんはニコニコとしつつ同じようにココアを飲み笑顔をくれる。
わんちゃんとこういった空間は久しぶりに気がしてソワソワとしてしまうが私の頬も緩んできてしまいわんちゃんと同じように笑って顔を見つめ合う。
「腕はもう平気?」
そう躊躇いがちな問いかけに私はパーカーの袖をまくり見せれば傷痕は残っているものの至って健康なのでわんちゃんそんな顔をしないでほしい。怪我は私の油断と判断力のミスだから。
「そんな顔しないでよ」
「ーーでも……」
何であの時、俺の口を手で塞いだのかと問われてしまったので私はその答えを静かに口にする。
「私が怪我をして、わんちゃんまで怪我したら大変じゃない。ちょっとアレだったし私の階級であの怪我だったでしょ?そこでわんちゃんまで怪我したら私の怪我損になる。」
「そんなことない」
いやにハッキリキッパリサラッと呟かれその力強く責める声に心が申し訳なさで一杯になってしまう。だから私は単独任務か卒業生のサポートでいてありたいのだ。そうすれば私のことをそんなに知らないのだから私を守ってこようとはしない。自分の身は自分で守れ。でもあの日は私のミス。
そう淡々と述べればわんちゃんは目をキューッとして鼻の付け根をくしゃくしゃにするとゆっくり手を伸ばしてきて私の頬に触れてきた。
とても優しい触れかただ。
「初音先輩」
「なに?わんちゃん」
私は私の頬を撫でてくるわんちゃんの手に手を重ね目を細めればわんちゃんは身を乗り出して顔を寄せてくる。
何をしたいかなんて明白だ。
私はそれでも何かをするでもなく段々と近付いてきて目を細めたわんちゃんに、わんちゃんの口と私の口の間に手を挟みその行為を妨害した。
「……なんで……」
「……私ね、」
不服そうなわんちゃんに言葉を重ね口を開いたのは
「裾を開いていたのは知ってるだろうけど……」
「……」
そっと息を飲み視線をさ迷わせるもすぐわんちゃんに目を合わせ
「キスだけはね」
何だか援交していたことを知られる以上に恥ずかしい気がするのはその相手がわんちゃんだからだろうかよく分からないのだがもう一度呼吸を整え
「したことないんだよね」
「……え……?」
「遊んではいたよ?いたけどね、キスだけは1度もしたことはないんだ」
軽く頬が熱いのはきっと仕方無いだろうしわんちゃんも驚いてはいたがすぐその表情は明るいものとなり、私の頬を両手で包んできて、酷く、ゆっくりと、顔が近付いてきて
重なりあいそうになる次の瞬間
「棘ー!いるかー!」
という真希ちゃんの声がドアの向こうから響いてきて、驚きと不満そうな表情のわんちゃんの頬にちゅっとだけ口付けると
「キスは大切な人とね」
そう言い残し私は立ち上がった。
部屋から出てきた私に真希ちゃんは驚いていたが気にしないことにした。
私の背後で頬を赤くしたわんちゃんをチラリと見ながらも。