狗巻と同中先輩が呪術師になった
私は彼をわんちゃんと呼ぶ(全21話)
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ついこの間のわんちゃんとの任務で制服、特に腕、が破れブラヒモまで切れたので血だらけの手で押さえていればわんちゃんはすぐそれに気付いて自分が着ていた服を肩にかけられた。だがそんなことをしたらわんちゃんの服に私の血が付いてしまうと最初は遠慮していたが何があっても引きそうにないわんちゃんの様子に上着を借りることにしたのだが。
山の祠の前で呪いを祓ってから呪物の呪いを解き、呪術高専まで戻ればわんちゃんは私のことを心配気に、そしてどこか怒ったような様子でいて。
わんちゃんの上着は、身長差はそれほど無いと思っていてもやはり男の子ということでその制服は私には微か大きく思えてしまい、ぎゅっと服の胸元を握りしめてしまった。
わんちゃんのシャンプーの香りがする。
それにドキドキと高鳴る心臓に「ああ、なるほどね」と思えるほどには自分の気持ちは分かっているつもりだ。
そうかぁ~、私はわんちゃんのことが好きなのかぁとしながら回収した呪物は調度そこにいた悟に渡し、悟は私の服、というか全体の様子を見てキョトンとしたがすぐ口元に笑みを浮かべニヤニヤと見下ろしてきた。といっても目は布で覆われているのだからどんな眼差しかは分からないが絶対にイヤらしい目をしてる。絶対。性的なモノではない、そうムカつくやつ。しかし悟は血だらけの私に
「怪我したなら硝子の所に行きなよ」
そう言われたが首を振ってもう治してあると告げ、悟はわんちゃんに視線を向け
「棘、初音は本当に平気なの?」
「しゃけ!いくら、こんぶ、しゃけ!」
「へえ…そこでついでに服を着せたんだ。棘やるじゃん」
そのままヘラヘラと笑ってから私から受け取った呪物をポケットにしまいこみ歩いて行ってしまい私は一体何が「やるじゃん」なのだろうかと考えてしまうがまあいいだろう。
「クリーニング出したらすぐ返すね」
「そんなに急がなくてもいいよ」
それと、一応やっぱり硝子さんの所へと行くべきだと私の羽織っている服の裾を掴み引いてきて
「平気なのに……」
と呟いてしまい、わんちゃんは眉間にシワを寄せると
「『行くぞ』」
と声を出した。
呪いを祓い、更に呪物を術式で解除した私の体内にある呪力は中々に減っていて、わんちゃんの呪言には逆らえなかった。
歩きだすわんちゃんについて歩いて行き保健室の扉をくぐれば硝子さんとバッチリ目が合い、目の下にクマを数匹飼っている硝子さんはゆっくりと口端を吊り上げた。悟と同じような笑顔だ。
「やるな棘」
「たらこ~」
「は?」
悟といい硝子さんといい、何がやるじゃんなの?私が怪我をしたのがわんちゃんにとっては良いとかそういう事、ではないな。わんちゃんは優しいから絶対違う。
腕の怪我は治っているはずだがわんちゃんの上着を脱いで、破れている己の服を脱いでいればわんちゃんは慌てたように保健室から出ていってしまい硝子さんはニヤニヤと笑っている。皆して本当に何な訳。
シャツまで破れている服も全て脱いでから硝子さんに自分で治した腕を見せればためつすがめつ見れてから優しく腕を撫でてくると
「もう平気だな」
そう微笑んだ。美人だ。羨ましい。
斜め上のことを考えながら硝子さんに代用として常備してあった服を渡され着ていれば私の上着からポトリと煙草が落ちてしまい硝子さんには更に笑われてしまう。
タオルで血を拭ってから煙草を無かったかのように拾い上げ、わんちゃんの服をクリーニングに出すべく職員室に顔を出した。
調度そこに伊地知さんがいたため心配されながらも問題ないと首を振って制服を差し出した。
私の服はもう使い物にはならないため自室のゴミ箱に放り込み新しい制服を新調してもらおうと新田さんを訪ねた。
そうして新田さんと話していればわんちゃんが姿を見せ、その手には数枚の紙がありどうやら報告書を私の代わりに書いてくれたようであって。
今日に至っては、わんちゃんに迷惑をかけてばかりで本当に申し訳なさすぎる。
「ごめんね、わんちゃん、ありがとう」
そう言えばわんちゃんはキョトンとするも緩く笑って首を振り
「大丈夫」
と言ってくれた。涙でそう。