狗巻と同中先輩が呪術師になった
私は彼をわんちゃんと呼ぶ(全21話)
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憂太君が転校してきてから私とわんちゃんの交流が少しだけ減った気がした。
それはわんちゃんが一般出の憂太君を気遣って根気よく話しかけ分かり合おうとしているようで私はそれを遠くから見ながら微笑んでしまった。
煙草を吸いながら。
できればビールも欲しい所だがそれは置いておこう。けれど朝夕の花壇の水やりの時には二人きりになれるのでその時に憂太君が入ってからの一年生の話を聞いて過ごしていた。
そんな中、わんちゃんと憂太君が二人で商店街にいる呪いを祓いに行ったと悟に聞いて本の少し嫌な予感を感じてしまったが気のせいにしたい。
行く前にわんちゃんは私の手をギュッと握りしめ
「行ってきます」
と口にしてから憂太君と車に乗り込み行ってしまった。
「いやーラブラブだねぇ」
そんな軽薄そうな声と己にかかった影に顔を上げればいつの間にか悟がいて、何がどうラブラブなのかを考えすぐ、憂太君と里香ちゃんについてだろうと頷いた。
「ぶっちゃけ(里香ちゃん)重いね、(憂太君は)平気そうだけど」
「あー重いんだ!(わんちゃんって呼んで)仲良さそうだけど実は無理なわけ?」
「(他人だから)どうでもいいに振り分けられるよ」
「うわー(棘)かわいそー」
互いに互いの含みには気付きもせず午後の授業終了の鐘が鳴ったので本の一瞬だけもう見えぬ車を見ようとし、背を向け食堂に向かった。
真希ちゃんもパンダ君も同期も先輩もご飯山盛りでもりもり食べているのでそれに習うように私もどんぶりに白米を寄せいただきますと箸を持った。白米最高もりもりいける。
たくあん、味噌汁、豚のしょうが焼きをお伴にもりもり食べていれば真希ちゃんが私を見つめパクパクと口をあけしめして、そしてため息一つ。
「初音は身長と体型のわりによく食うな」
「痩せの大食いクイーンと呼ばれている、知らんけど」
「自称かよ」
ふふっと笑って味噌汁の碗に手を付け、たくあんを噛み砕き飲み込んで、相変わらずこの学校のご飯は美味しいなぁとどんぶり二杯目に手を付けていれば私より先に食べ終わった真希ちゃんが感心したように見つめてきていて。
「真希ちゃんももっと食べなよ」
「私は普通の量しか食えねーな」
「食べてみないと分からないよ?」
「いや、入んねーって、それに太る」
真希ちゃん、太るって……。
思わずご飯茶碗から手を遠ざけてしまったがすぐその考えを消し「真希ちゃんはちゃんと動いているから」太りはしないだろうと一人納得し白米を口の中に詰め込む。
そうしてモゴモゴとしていれば悟が私の名を呼びながら近付いてきて真希ちゃんと一緒に振り返れば悟が私のご飯のトレーの横にプリントを数枚置き
「それに任務先の場所書いてあるから」
現地で呪術師のO.Bと合流してしばらく出てねと腹が立つくらい素晴らしい笑顔で述べるだけ述べて行ってしまった。その書類は私のかわりに真希ちゃんが目を通し「うわっ」と小さく呟いている。
そういうの、やめてほしい。
二杯目のご飯を綺麗に食べきってからトレーを脇に寄せ真希ちゃんの横から書類に目を通す。
東北地方で一級数体他色々。
一々頭に入れるのはやめて真希ちゃんとトレーを回収してもらうと私は頭を掻きながら自室に戻った。
しばらく分の荷物をまとめ……といっても下着とか本の僅かなものであるがそうした荷物を鞄にいれ肩にかけると既に待機している新田さんの車に乗り込んだ。
「よろしく~」
と笑いかければ新田さんも笑って「よろしくっス」と返してくれてその後電車に乗って東北地方の合流地点にたどり着けばO.Bは先にいたようで
「こんにちは~」
なんてのんびりと声をかけた。
そんな私にO.Bは手を上げ挨拶をしてくれてそちらでの窓の車に乗り込んだ。その際携帯がメールを受信したように震えたが気付きもせず、すぐ二時間走ったところで帳は下ろされO.Bと二人で
「やったりますか」
と拳を握りしめた。