狗巻と同中先輩が呪術師になった
私は彼をわんちゃんと呼ぶ(全21話)
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中学の後半期、3年たちはほぼ図書室か自宅の勉強机にしがみつき己の目指している高校に受かるため頑張っているが私には少しも関係ない。
まあ、既に呪術高専での学長面談は終わって入学が確定しているので当然と言えば当然で私は木枯らし吹き上がる木の下で腰を下ろし煙草をふかしていれば授業中にも関わらずわんちゃんが私の元へと駆け寄ってきた。悟から聞いた話し、呪言師の、言葉に呪いを乗せてしまうというそれのせいで国語の授業には出にくいらしい。音読させられるもんね、わかる。
「座っていい?」
と尋ねるわんちゃんに笑って頷けば、わんちゃんは私の横に腰を下ろし私の手から煙草を取ろうとしたが私はそれをスイとかわし悪戯っぽく笑ってみせた。
未成年の煙草を咎める視線を寄越してきたのだが私は気にもせず吸いきり携帯灰皿に煙草をおしいれた。
冷たい風が足を撫でていくため私はスカートからスラックスに履き替え学校に通うことにしている。授業に出なければ来る意味も大してないが、不意にわんちゃんは思い出したようにポケットから小さな包みを取り出し差し出してきた。
「キャラメル」
「嬉しい~もらう~」
わんちゃんは目を細めて笑い二人してキャラメルを口の中で転がしていれば、滑らかな舌触りに「美味しい」と笑いかければわんちゃんもニコリと笑い
「すじこ!」
と言った。言ってから慌てたように「おかか!」と続き
「親がお土産で買ってきてくれたもの」
と説明してくれて
「いい親だねえ」
なんて呟いて。そのままキャラメルを噛み転がして食べ終えてからチャイムが鳴り私とわんちゃんは立ち上がった。
「もう帰るの?」
なんて尋ねられたため
「私には受験勉強も何もかも無関係だからねぇ」
今日だって出席をとるためだけに来たんだ。でないと卒業させられないって脅されたと舌を出して見せればわんちゃんは少し悩むと
「学校を卒業したらどうするの?」
なんて主旨の言葉で問われ私はそういえばわんちゃんにそんな話しはしていなかったなと考えた。わんちゃんも通うことが決まっている高校。それをわざわざ言う必要もないとしていたがわんちゃんは私の手を掴んだまま離そうともせず、チラと校舎の窓を見た私は少し考えると再び座り
「わんちゃんも知ってる学校に行くよ」
そう答えてみせた。
それって、
「呪術高専?」
「そ」
初音先輩は呪術師だったんだ。だから俺の言葉を聞いても平気だったんだ、と。それに対し私は五条悟の名を上げて
「修学旅行の時に会ったんだけどね」
私の術式はなんでも相手の術式を無効化するやつらしくてさ、中々に使い勝手が良いんだって。呪いとかいう私もわんちゃんも見えている変な生き物を祓う学校。
「私の家系にそんな人はいなかったから」
変異種みたいなものだって教えてくれた。
そこまで言えばわんちゃんは嬉しそうに笑うとそのおかげで初音先輩と普通に話せるのが嬉しいと言ってくれて私はわんちゃんの頭を撫でくりまわしてしまった。可愛すぎかよ。
下校する生徒を横目に見ればわんちゃんはどこに置いておいたのか鞄を持って立ち上がり「今日は」
「迎えはこないから一緒に帰ろう?」
と手を差し伸ばしてきた。
そんな風に言われたのは初めてで、へえわんちゃんは登下校は車なんだと考えてしまい、悟の言っていた呪術師界の呪言師の立場にいるわんちゃんを思い、そうでもしなければ呪いとやらが襲いかかってくるのだと、とんでもねぇな呪術師とはと笑ってしまった。
「わんちゃんは言葉で呪いを祓えるんだってね」
「……すじこ」
「わんちゃん気まづくなる必要ないって」
私だってそこに通って呪術を学ぶんだから卒業してもまた先輩後輩の中になるよと言えばわんちゃんは私の手を引いて
「ファミレス行ってお茶しよう」
と誘われてしまった。
嬉しいので笑って立ち上がった。