狗巻と同中先輩が呪術師になった
私は彼をわんちゃんと呼ぶ(全21話)
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修学旅行を終えてしばらく経たずに自宅にとある資料が届いた。送り主は五条悟。
私は煙草を吸いながらビールを飲みリビングのソファーでその資料を開いた。確かにパンフレットだな、これは。
東京都立呪術高等専門学校。
その名と私に親は顔をしかめて見せ明らかに怪しいその校名に、珍しく
「行くのはやめなさい」
と指示してきたのだがパンフレットとは別に一枚のカードが入っていて、私はそれに手を伸ばす。
五条悟と書かれたその名の下には携帯のアドレスが書いてあり『心が決まったら連絡ちょうだい』ともあり、私はそのカードを片手に自室に戻った。
机には修学旅行の時に一枚だけ撮った写真が置いてあるだけで私の部屋には娯楽の物なんて何も無い。あるのは1本のギターだけ。あとカートンの煙草と灰皿。
そうして携帯で校名をググり検索すれば宗教学校としてH.Pがあるもそれ以上に大した情報は得られなかったが、私はその場所に強く引かれ受験戦争が始まっている中、私はその学校への進学を決めた。
となれば悟に連絡を入れるべきだろうとアドレスを確認し会いたい旨のメールを送信した。
『入学したいから1度会っておきたい』
と。
返事は秒できた。今から私の家の最寄り駅で待ち合わせよう、と。なのでと私は服を着替え財布と携帯、煙草ライターの入った鞄を持ちサンダルを突っ掛けると家を後にした。
歩いていくにはそれほどの距離ではないため夏の初めの風を感じながら歩いて駅前まで行き、たどり着いたそこには一際目立つ悟が立っていた。
悟は私を見つけるとニマっと笑い手を振ってきた。こんな大人は私には初めてなので何となく嬉しい。子供でいられる気がする。まだ子供だって言っていいだろう。いいに決まっている。だって私はまだ未成年。
悟は「久し振り」と笑いかけてきて、私も「久し振り」と返し近くの茶店に入りメニュー表を見て飲み物を注文しその品が届いてから腰を据えて話すことにした。
コーヒーに砂糖をこれでもかと入れているのを引きそうになりながらもまあ人それぞれだと納得しておいた。知るか。
そこで私は回り道をせず直球で呪術高等専門学校とやらについて問いかけ、術式や呪力と言う単語にも聞き掘っていった。そこで教えられたのはちょっとばかり理解が追い付かないけれど理解するしかないという内容であって。
「初音の術式は多分だけど相手の術式を解除させるものだね」
「解除……無効化ってこと?」
「ん、そう」
なんて悟はコーヒーをすすり
「今までに何かあったかも教えてくれると嬉しいし、そうすればもっとハッキリと分かると思うんだ。大丈夫、僕は君を非難したい訳じゃない、理解がしたいんだ」
「理解……」
ストンと心の中に落ちた言葉は本当に私を慰めるものではない、とてつもなく優しくて泣きそうになる響きを持っていた。
「……覚えてる、頃からでいいの?」
「いいよ、話して」
一時間、私は覚えていることを時間枠がメチャクチャでも全てを話していきつい最近までのことを精一杯に伝えてみせた。それを悟は相槌をうってちょっとずつ尋ねながらも聞いてくれて私以外には決して口を開かず、開いたとしても「しゃけ、こんぶ、いくら」と言っているわんちゃん、棘についても教えてみた。それに対し悟は驚いたように
「狗巻家の子とも会っているのか」
と呟いた。
「有名なの?」
「呪言師と言ってね、言葉に呪いを乗せてしまうから普通の会話さえも難しいし本人も苦労しているみたいだからねぇ。そうか会ってるのか~」
「…もし私がその術式を無効化する術式を持っていなければ」
「会話は出来なかっただろうね~」
棘も嬉しいんだろう。なんて話す悟の言葉を聞きながら嬉しそうに話すわんちゃんを思いだし小さく笑ってしまった。
「わんちゃん……じゃなくて棘も中学を出たらこの学校に通うことになるな?」
「なるね」
私は「ふーん」と頷き悟と別れてから携帯を開けばわんちゃんからメールが届いていたのでタクシーで中学までいき下校する人の中からわんちゃんを見つけ手を振った。
「わんちゃん!」
そう言えば、わんちゃんは顔を輝かせ走って寄ってきた。