狗巻と同中先輩が呪術師になった
私は彼をわんちゃんと呼ぶ(全21話)
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「初音先輩!」
そんな耳に心地良い声が私の耳を揺らし顔を向けた先にいたのは
「あ、」
そう
「わんちゃん!」
「しゃけ!」
そう中学生時代の後輩であった狗巻棘という少年であった。
都立呪術高等専門学校というそこに中学卒業と同時に五条悟という男にスカウトされ入学することになった。
なんともキラキラした不穏な学校名にウワと思ったしその施設というか学校の場所にもウワと思う要因もあった。
東京の端っこにある森の中の木造建築のそれは今まで私が生きていた中で特別に最悪だとも思えたしその反対になんて素晴らしい場所だと感じてしまった。
私の中学時代、というか今に至るまで私の生活は決して誇れるものではなかった。
私には嘘や偽りが見えてしまうのだ。
嘘をついた人の心は私の耳の中で転がり偽りは目に見えて頭の奥で訂正される。
「なんで嘘をつくの」
「なんで本当の事を教えてくれないの」
「なんで誤魔化すの」
なんでなんでを繰り返す私に親や大人兄妹同級生には疎ましく思われてしまい学校には行かなくなった。
中学に入学する頃には酒と煙草を覚えていた。
中学という新たな門出に頬を染めている同い年の子供たちを白けた眼で見つめ、入学式をばっくれ、短くしたスカートに第2ボタンまで開けたYシャツをまとい酷く着崩したなりで町中を歩いていれば決して真面目とは言い難い、所詮不良学生ともつるんだりして私は学校一の厄介者になっていたのは言われなくても分かる。
中2になった頃、私は新たに覚えた技があった。
売春である。
その通り金銭の代わりに身を売って、その金で遊んだりしていたのだがここでも私に授かった能力が発揮された。
怪しい生き物が見えるようになったのだ。そしてそれらの心の内、というか抱いているらしい負の感情も。そんな中で久し振りに学校に、入学式に行けば明らかに周囲から浮いている新入生を見つけてしまった。
青味がかった銀髪に、口元はネックウォーマーのような布で覆い隠しているどこか眠たげな目をしている男の子。周囲の人達、主に男子としては華奢に見えるその子は貼り出されたクラス表を見上げ行ってしまい私は赤く染め上げた髪をかきあげ、いくつものピアスの開いた耳をさらし煙草の煙を吐き出してスカートをひるがえし学校を後にした。
もう会うこともあるまい。
私も私でクラス替えがあったため一応として登校したのだが家には学校から資料が届き私のクラス番号が書いてあり、それのお陰で私は登校を止めたのだが。
そのまま大して学校にも行かず、けれどテストなどは受け、その成績は学年トップ。
何せ私は読めるのだ。見えると言ってもいい。
出題された問題の出題者の意思が読み取れ、頭の中で文字が組合わさり、体力測定でも握力は両手とも79㎏。ゴリラかよ。
それでもやはり通わず、行ったとしても校舎裏などで煙草をふかし、3年になった頃にわんちゃんと呼ぶことになる、あの入学式に見かけた男の子と交流を持つことになる。
校舎裏でのんびりビールをあおっていたらその男の子が私を見つけジッと見てきたかと思うと私の横を指で指し示し
「こんぶ」
と口にしたのだ。
「は?」
「しゃけしゃけ」
「あー……あぁ、座れば?」
「こんぶ」
そうして私たちは出会ったのだ。
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