この関係に理由をつけるのならば(全10話)
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町に着いた時には12時半を回ったところで休憩中の人が飲食店に集うためその間に日用品の買い出しをすることにした。
こんなに人がごった返したところでゆっくりご飯は食べられない。
ほんの一時期は東京にいたけど、こっちに来てからの日常 の方が濃すぎて都会にはあまり行きたくはない。多分行くこともないだろうし。
「柔軟剤…食器用洗剤…浴槽用洗剤…入浴剤…シャンプー……は買い置きがあったっけ…。あ!スポンジ!と、アルコール消毒液に、ティッシュ安いな……直哉くん、他に何か足りなかったっけ?……直哉くん?」
私がカゴの乗ったカートを押して買い物メモを見ていると、なぜだか口元を緩めている直哉くんが私を見ており首をかしげてしまう。どうしたんだろう。
「直哉くん?」
「んっ、いや、シノちゃん、かぃらしいな思って」
直哉の内心では本当に結婚して己だけのモノという所有印がついたシノの首筋と真剣に商品を選ぶお嫁さんが可愛すぎてやばい、というものであり口元がにやけてしまうのだ。
それを隠す気は今のところない。
「歯磨き粉はある?」
「うん。この間買ったのがあるし歯ブラシもあるよ」
「トイレットペーパー」
「んー……安いし買っとこ。あっ、そうだ!直哉くんの着物に焚くお香なんだけど、いつものにしておく?新しいの?」
「別にいらんやろ」
「あの家」にいた時から毎日着物に焚いていたが、今はもう必要性を感じておらずそうするとシノの眉が垂れほんの少し残念そうな表情を見せる。
そのため直哉の口からは
「でもシノちゃんが好きな匂いでもええな」
と出てしまいシノは分かりやすいくらい嬉しそうに笑った。
シノちゃんは分かっとらんけど、こっちに移ってから表情が豊かになったわ。
特に俺のことになると、ほんま、かぃらしい。
直哉にカートを押し付けてからいつものお香の並べられたコーナーでいくつか繕い、それを手にしながら医薬品コーナーを通り過ぎようとし、そこで足が止まった。
「超極薄……直哉くんいつも どれ買ってるのかな……」
事、性に関してもシノは恥じという感情が薄かったためコンドームの箱を手に取りに眺めていると結構かなり目立つ。
特に彼女の見た目も相まって余計目立つが、それは直哉も同じこと。どちらにしろ目立つ。
そして昨日と先程の車内での会話もあってシノは性行為について考えてしまうのだ。
「生のが気持ちいいっ……てことだから、薄手なんだよね……多分。うん?なんで味がついてるのがあるの?何のために?サイズ……サイズ?」
「シノちゃん」
「直哉くん」
直哉は買う物をさっさと買ってエコバッグをぶらさげていたが医薬品コーナーで何やら真剣に何かの箱を見つめているシノに声をかけた。
シノは直哉を見て 口を開く。
「直哉くんのサイズってどれ?薄い方がいいの?」
「……シノちゃん……」
互いに恥じはないが直哉としては多少恥ずかしがる姿を見たいというものもあったが、シノはぶち抜いてくる。
「超極薄が新商品ってあるけどいつもどれ使ってるの?」
「シノちゃん、あんなぁ、そういうのは男が用意するもんやから女の子がじっくり見たらアカンで?」
嘘も方便である。
実際はコンドームを見ているシノの身体を見回す年寄りや男どもの視線がムカつくためであり、しかも例え想像でも嫉妬の炎でどうにかなりそうなのだ。
直哉は迷わず新商品を手に取り会計をしてからシノの元に戻り紙袋に入れられたソレもエコバックに放る。
直哉はしっかり L サイズを購入していた。
そうして一旦荷物を車に置いてから昼食をとり食品の買い出しをしてから(途中直哉は目当ての DVD を購入し)、 2人で自宅へと帰宅した。
シノは食品をしまい 洗剤などの整理をし、その間に直哉は DVD のパッケージを眺め薄く笑う。
「さすがにシノちゃんも恥ずかしがってくれるやろなぁ」
そこには『連続絶頂ハメ潮大放出』という文字が連なっており裏面には AV 女優のモザイクが載っていた。
夜の情事の時のシノを思い出すだけで腰が重くなる。
今日の夜は居間で DVD を見ながら。そう考え棚の引き出しにしまいこみ店へと向かって行ってしまったシノの背中を見て口角を緩く持ち上げた。
「かぃがしがって、俺にしかイケんくなればええんや」
まあそもそも誰でもシノを渡すつもりもサせるつもりもないが。
「ほんま、どないに育てたらあんな純粋になるんやろ……縛り付けといてよかったわ」
そうご機嫌に笑い、時計を見上げ心が弾む。いつもの、布団に入るまでの数時間後を思い浮かべ直哉は店内の整理をしているシノに散歩をしてくると伝えた。
あのまま家にいても落ち着けないだろうから、と足取りは軽かった。
「シノちゃん、どないに鳴いてくれるんやろうなぁ」と。
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