この関係に名前をつけるのならば(全20話)
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初めて直哉くんに全てを見せてから、直哉くんは戯れに私の裸を見たがり指先だけで触れてくるがそれ以上のことは絶対にしてこない。
それでも見るたび見るたび私が恥じるたびに甘い声で囁くのだ。
「シノちゃんは、かいらしぃね」
と。
直哉くんは私をどう思っているのだろう。男性歴がないことと恋愛歴がないことは直哉くんも知ることであり、誰にも触れさせたことがないのも理解されている。
私は直哉くんの何なのだろうか?私は直哉くんをどう思っているのだろうか?
眠る時、直哉くんは私の手を握りしめ、朝私が起きるまで離さないし、私が先に起きても私からも離さない。
本当に私と直哉くんは何という関係なのだろうか。
定休日はないが珍しくオーダーが3件入ったのでしばらく作業に詰めるから、と伝えると直哉くんも仕事が入ったから少し出てくると行ってしまった。
「はあ……」
プレートで試作品を作り動画で見せ確認作業をしあってから2日経った。
仕事に集中すると眠気は来ないし食事も必要とはしない。この2日間、私は外出をしていない。
そうしていたらふ、とインターホンが聞こえた気がして、作業着のまま裏口から家に回り玄関を開けると若い男女。見たことのない人たちだったがすぐわかった。
「お店、開けますね」
シャッターを上げ、扉の鍵も開けるが札はクローズのままで看板も出さない。男女は6名いた。
お店を開けカウンターに座るも試作品は作り続け確認作業に移っていると視界の端で商品の一つをポケットに入れたのが見えスツールから立ち上がりカウンターを出る。
女の子が慌てて店を出ようとしたが、その腕を捻り上げポケットから商品を取り出し壁に戻す。
「次はないですよ」
男女6人は慌てて出て行ってしまったのでため息を吐くと扉の鍵を閉め表に回りシャッターを降ろし鍵も閉める。防犯カメラの設置を考えよう。
他に持っていかれた商品はないようでもう一度ため息を吐くと作業スペースに戻った。確認メールと、このデザインでの内容にパソコンを起動しプロミラミングをしてデザインを入れてから削り出し研磨作業を終えると時計が10時を指していた。
「……直哉くん、遅いな……」
明日には完成するので一旦お風呂に入ろうと家に入り着替えを持ってお風呂場に行き冷水のシャワーを浴びる。
潮風や山の空気で涼しくても暑いものは暑い。汗をしっかり流してから洗濯機を回しその間に簡単な夕食をとる。
食器を洗ってから洗濯物はハンガーに吊るし布団を敷いてガラス窓から中庭を見て、目の前に直哉くんの血だらけの姿がフラッシュバックし背中が痛み身体が震えた。
充電コードに繋がってるスマホを引き寄せ直哉くんにメッセージを送るとすぐ既読がつき電話が鳴った。
コール1で電話入に出ると直哉くんののんびりした声が耳に入った。
『どうしたん?もう遅いのに仕事してたん?』
「直哉くん」
『なに?』
「っ直哉くん……」
言葉が出てこず、直哉くんの名前だけを呼ぶと直哉くんは声音を低くし『少し、待っとってね』と囁くように口にしたが電話は切っていない。
だがヒュウヒュウと風を切る音がし、しばらく。
『シノちゃん、起きとる?』
「うん……」
『すぐ帰るから、待っとってな』
「うん……待ってる……」
小さく頷いてスマホを胸に抱き布団に倒れ込むと2日分の睡眠欲が襲ってきて、「起きてなきゃ」とつぶやいてみても私はその欲に落ちた。
「シノちゃん」
そんな優しい声に一瞬で覚醒した私は3日前に出て行った時と同じ装いの直哉くんを見上げしゃがみ込んでいる直哉くんに勢いよく抱きついた。
それなのに直哉くんの身体はブレず私のことを抱きしめ返してくれて、ほんの少し汗とお香の香りがする。
直哉くんの首元に擦り寄り肩に顔を埋めると直哉くんは私の背中を撫で頬にキスをくれる。
「熱烈やね」
なんてご機嫌な声に「うん」と頷き「寂しかった」と伝えると直哉くんはケラケラと笑って「俺も」と言ってくれた。
「お仕事頑張って早めに終わらせたんやで?ご褒美ちょうだい」
ゆっくり顔を上げ直哉くんを見ると嬉しそうに目を細めていたので私はそのまま直哉くんの唇に噛み付くようにキスをした。
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