この関係に名前をつけるのならば(全20話)
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初夏。
それでも潮風と山に挟まれたこの家は涼しくて、けれど潮風は湿気をはらみ身体に纏わりつく。
タンクトップに短パンでお店を閉め家に戻ると直哉くんが私のことを見てきていたので首をかしげてしまう。
「どうしたの?」
「お風呂上がってから見せて欲しいもんがあるんやけど」
「うん。すぐ済ませる」
「ゆっくりでええよ」
直哉くんはいつもの薄手の浴衣でいて、見せて欲しい物って何だろうと思いつつ髪も身体も洗い、泡を流して浴室を出た。
ドライヤーで髪を乾かし冷えた麦茶を飲んでから寝室に行くと直哉くんはそこから中庭を眺めており横に腰を下ろす。
すると直哉くんは私に視線を向けジッと身体を眺めてくる。何だろうか。
「なあ、刺青、全部見せて」
「全部っ、て」
“全部”、だよね。つまり裸になれと。
「なんやの?早よしぃや。それとも脱がされたいんか?」
「いや、えっ……ええ……?」
紙面上では夫婦ではあるが私は未だに処女だし、刺青を入れる以外では異性にも同性にも全裸を見せたことはない。
そして今日まで同じ布団で寝ていたり戯れのキス以外で直哉くんがそういった手を出してきたことは一度としてない。それゆえに困惑してしまうが、まあ刺青くらいと考え、それに学生時代に一度見せているからと私はタンクトップの裾を掴み、多少ためらってから脱ぎ捨てた。
「下も、下着も、全部や」
「……わかった」
頭の片隅で考えつつ、見せて欲しいものが刺青だと考えると気持ちは一気に楽になる。
ドキドキはするけど、家のことは直哉くんがやってくれているし下着だって見慣れているだろうから気にするだけ無駄だと短パンを脱ぎ捨てナイトブラとショーツにも手をかけ脱ぎ捨てた。
直哉くんは私の身体を見つめ小さく小さく
「立って、全部見せ」
と言ったので大人しく従って、初めて直哉くんに全てを見せた。
直哉くんは上から下までゆっくりと視線を流し、まるで視姦されている気分でいると「来て」と手を開いたので誘われるがままに直哉くんの手を握りしめ膝をついた。
「綺麗やね。かっこええけど、綺麗や」
「……ありがとう……?」
直哉くんは膝立ちの私を抱き寄せ直哉くんの膝の上に座らされると指先が胸のピアスを弾いてきて小さく笑う。
「エロいなぁ。誰にも見せたらアカンよ?シノちゃん」
跳ねるように紡がれた嬉しそうな声に「見せる人はいないよ」と答えると「俺にだけは見せてな」と甘い声を出されてしまい、また心臓が跳ね上がった。
どうしよう、何だこれ。すごくいたたまれない。直哉くんの吐息が耳をくすぐりすごく熱い。
「も……もう、いい?」
「アカン、まだ見たい」
「なおやくん……」
思わず掠れた声が出てしまい、直哉くんは目を細め口を弓なりに上げると布団の上に転がされた。
驚いて直哉くんを見ると背中に手が回り抱き起こされて足の間に直哉くんが座る。
「見せて」
何をなんて言われなくても理解した。
足は膝をくっつけてあるが、直哉くんはその局部を見たいのだと。
「入れた時は見せてたんやろ?ならええやん、ほら、な?」
「あっ……!」
膝を掴まれあっという間に足を開かされた私は頬が熱くなるのを感じ慌てて局部を手で隠してしまうが、もう遅い。
直哉くんはしっかりと見ていた。
「シノちゃん、下の毛生えとらんのやね」
「こっ…れは……永久、脱毛で……!」
「かぃらしいよ」
そう笑う直哉くんの笑顔には明確な欲が宿っており、さらに足を開かされ局部を隠していた両手を片手でまとめて握りしめられ直哉くんが顔を近付けてきた。
ふっと息を吹きかけられる。
「っ、や……なおやくん…やだ ……見ないで…」
羞恥か何かよく分からない感情でいっぱいになった私は目に涙を溜めてしまい、直哉くんは局部にちゅっ、とキスをしてから顔を上げ、ポロリと流れた涙も舌で掬って舐め上げた。
「シノちゃん、かぃらしいなぁ」
額を重ね合わせ、あと少しでも動けば唇が触れ合う距離にある。たったそれだけが息苦しい。キスなんて、今までたくさんしてきたというのに。それが今は恥ずかしくて、苦しい。
「キス、しないで……直哉くん」
次の瞬間、直哉くんは噛りつくように口付けてきて、食べられてしまうような荒々しいそれに目を閉じてしまい、舌を絡め取られる。頭の中がふわふわするぐらい気持ちいい。
直哉くんのキスに溺れている私を見つめ直哉くんはようやく唇を離し荒く息づいている私を見下ろし怪しく笑った。
「誰にも見せたらアカンよ?」
私はコクリと頷いた。言葉も出てこない、快楽に。
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