この関係に名前をつけるのならば(全20話)
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実家で仕事をするようになってから2年が経った。
客入りは以前より増えたし、口コミで遠方から来てオーダーメイド商品の利用も増えた時、東京で大規模災害が起こっているとニュースで見た。
私が働いていたお店が消失していて東京からの避難民が地元にも増えた。
そんな時、直哉くんから呼び出され両親に少し店を出る旨を話し直哉くんの家と向かおうとして、着流し姿の人たちに禪院の敷地内は今「非術師」である「私」を入れるわけにはいかないと突っぱねられ困惑してしまう。
でも直哉くんに呼ばれたからと説明を重ねたら「お前が、直哉の…」とまで言ってから、酷く穢らわしいモノを見る目で見下ろされて「おい」と直哉くんの声がした。
道を塞いでいた着物の人たちは小さく眉を寄せ口をつぐみ、直哉くんは私の手を乱暴に掴むと家から離れた場所に連れられたら。
直哉くんはひどく苛立っていた。こんなにイラついてる直哉くんを見るのは初めてでどうすればいいかわからないでいると、直哉くんはいつもの公園に来てベンチに座り私も座らされる。
「直哉くん」
「親父が死んだ」
「え……」
突然の悲報に驚いていると直哉くんは「それはどうでもええねん」と吐き捨て、苦々し気な表情を浮かべた。
「俺の当主の座をクソガキが奪いよる」
話の流れが読めない愚痴であるが、直哉くんは視線を地面に向けたまま「禪院をなんも知らんガキが」と言い
「甚爾君のガキやから何やねん、殺したればどうとでもなる」
とつぶやき私を見たが「私」を見てはいない。目が据わっている。
「シノちゃんは絶対 東京行ったらアカンよ」
「直哉くんは行くの?」
「1人、殺してくる」
ゾッとしそうな程に冷めた声音であるが、そこに父が死んだことへの悲哀はなく、一体どんな親子関係だったのか気にはなる。
「ついでに真希ちゃんも死やればええのに、おるだけ邪魔や」
「真希ちゃん」
8年前に2度会っただけの女の子を思い出し、真希ちゃんが死にそうなほど負傷していることを悟り心配になってしまう。
「心配か?」
「うん……東京にいたんだ……」
「シノちゃんが心配するのは俺だけにせぇ」
苛立たしそうに吐き捨て膝に置いてあった手を取られる。
そのまま緩く繋がれ指を絡めて握りしめられたので同じく握り返すと直哉くんは真っ直ぐ私を見つめ、陽の光に直哉くんの綺麗な金髪がキラキラと光っている。
綺麗だな、と思わず手を伸ばし髪をすくように頭を撫でれば直哉くんは驚いたように目を見開き、すぐゆるりと笑って私の肩にもたれかかってきた。
「シノちゃんは特別やから、守ってあげる」
「ありがとう」
東京、行かないよ、と告げると直哉くんが満足そうに笑ってから「なあ」と声音を和らげ甘えるように見上げてきた。もうイラついていない。
「シノちゃんからキスして」
また突然の発言に驚きはしたものの、直哉くんの前髪をかき上げそっと触れれば小さく笑われた。
「シノちゃんはかぃらしいね」
でもそこやない、と笑って直哉くんは私の口を塞ぎ性急に舌を絡ませ深く濃いキスを落としてきた。
歯列をなぞり、舌を絡め、口内を舐め上げ、舌先のピアスを弄る。私も同じく舌を出し絡め、軽く噛まれてから直哉くんは離れていった。
唇が互いの唾液でテラテラと光り、思わずうつ向いてしまうと直哉くんに笑われた。
「じゃあ行ってくるわ」
「怪我しないでね」
「そんなんするか」
そうして直哉くんは歩いて行ってしまいその背中を見送ってからお店に戻り、ほわほわとする思考のまま接客をし直哉くんからメールが来た。
オーダーメイドのピアスを2つ作っといて、デザインは私に任せる、と。
私は了承のメールを送りデザイン帳を取り出した。
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