この関係に名前をつけるのならば(全20話)
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2年への進級も決まり、直哉君に言った通り春休みに京都まで戻ると直哉君が駅前に立っていた。
あの後携帯の連絡先を交換し、「帰る日が決まったら時間教えて」という言葉に頷いて、日付と到着時刻を教えた。それ以外で私も直哉君も連絡を取り合ってはいない。
実家には服もあるし取り立てて持つものもないので簡単な荷を片手に持ち直哉君に駆け寄った。
「1ヶ月ぶりだね」
「シノちゃん、お化粧しとる?」
「少しだけ」
「べっぴんさんやね」
スルリと頬を撫でられ薄く笑っている直哉君を見上げると 「行こか」と手を引かれ、直哉君の家と連れられた。
2度目の直哉くんのお家。相変わらず大きいな。確かに、物置かも、あのアパート。
トタトタと手を引かれ歩いていたら縁側の外に直哉くんと似た雰囲気の女の子がこちらを睨みつけているが私と目が合うと驚いた表情をされたので小さく頭を下げておく。
そうするとさらに大きな目を見開き、直哉くんに「なに見とんねん、カス」と吐き捨てられていた。
「直哉くん、小さい子にそんなこと言ったらだめだよ」
「事実やろ?弱いやつにカス言うて何が悪いん?」
心底意味が分からないと言うように笑った直哉くんを見て小さく息を吐き「ごめんね」と女の子に謝ると直哉くんの手に力が入った。だから直哉くんにも「ごめんね」と言って、後は何も言わずについていく。
2度目の直哉くんの部屋は相変わらず綺麗で、本棚には参考書や講義で使用するのであろう教科書などが並んでいた。直哉くんは何の勉強をしているんだろう。
部屋に入り扉を閉めると直哉くんは私の手を離し、ドカリと苛立たし気に座ったので横に座ると睨みつけられた。
高校の時より遥かに鋭い目付きだが、直哉くんは直哉くんだ。怖いとは思わないし思えない。
「直哉くん」
「なんや」
胡座で腕を組んでいてもどこか品があるし不快には思わない。
「ピアス、大切にしてくれてありがとう」
変わらないね、と笑いかければ直哉くんは私の左耳のトラガスに指を這わし「シノちゃんも」ちゃんと言うこと聞いてつけてくれとるやん、と跳ねるように笑いかけてきた。機嫌は戻ったらしい。
そのまま私のピアスを引っ掻いたり弾いたりして遊ぶのを直哉くんの好きにさせていると直哉くんは笑んだまま腕を広げたので特に迷いもせずその胸に抱きしめられに動いた。
ぎゅうと抱きしめられれば相変わらずお香の香りがほんのかすかに鼻先をかすめ、肩に頭を乗せて座っていれば「シノちゃんは」ずぅっとかぃらしいねと額にキスをされた。
そのまま何度も唇を落とし最後に唇まで触れてくると私の 服の襟元を開き顔を埋めいつしかのようにチリと吸い上げられた。
それを何度か繰り返してから直哉くんは顔を上げ唇を塞いできて、反射のように目を閉じてしまう。
噛むように舐め、舌先が入り込み私も舌を絡ませ合う。
ピタリと塞がれ音も立てないほどの深い口付けに直哉くんの肩をトントンと叩くとペロリと唇を舐められ離れていった。
荒く息をついてると満足そうに笑っている。
直哉くんの腕の中で 直哉くんを見つめていると直哉くんは口を弓なりにあげ私の首を撫でてきた。
「真っ白で綺麗な首やね」
「卒業したら入れるよ」
直哉くん目を細め先を促してきたので答える。
「『είμαι δικός σου』」
「なんて意味?」
「私はあなたのもの」
瞬間、直哉くんが畳に私を押し倒し鋭い眼差しで睨みつけてきたので、その力の強さと 痛みにほんの少し目を伏せてから直哉くんの背中を撫でた。
「別に好きな人がいるわけじゃないよ」
直哉くん、東京に行って好きな男作るなって言ってたでしょう?と問いかけるように言うと鋭い眼差しは消え、疑うように見てきたので「本当だよ」と笑いかける。
「本当に、意味なんてないの。ただギリシャ語の文体が綺麗だったから入れようと思っただけ。誰のものにもなってない」
「ホンマに?」
「うん」
直哉くん嬉しそうに笑うと私を抱き上げ膝の上に乗せられる。
そのまま抱きしめられ耳の裏の首筋も吸い付いてきたので「見えちゃうよ」と困ったように言うと「それがなに?」と心底不思議そうに首を傾げられた。なのでちょっと笑って「そうだね」と。
「直哉くんになら、いいよ」
「当たり前やろ?なに言うとるん?」
と優しくキスをされ甘い笑顔で
「他のやつに触れさせたら殺すからな」
と脅してきたので、また少し目を伏せ笑ってしまった。
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