この関係に名前をつけるのならば(全20話)
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夏休み。直哉君は何度かお店に来て私を連れ出すと遊びに連れて行ってくれた。
両親は特に何も言わないし私も特筆した用事もないのでついていく。
都心部まで行ったり浜辺を散歩したり近所の公園で過ごしたりと結構適当だ。だが私はそれが嬉しかった。
大人数で出かけるよりも直哉君か1人でいた方が楽しいし直哉君も色々と知らないことを話してくれた。
その中に愚痴も混ざり「ジュレイ」が多いところに行った、「もうすぐ準一級になる」と言っていたので何かの資格を取ったのだろうと耳を傾けている。そうすると直哉君は笑って
「シノちゃんはかぃらしぃね」
なんて頬を撫で、直哉君が結いい上げてくれてから上げるようにしていた私の髪に指を滑らせてくる。
サラサラと流れる髪をすき、そのまま指先で私のピアスを撫でたまに弾いてくる。
「かっこええな」
「直哉君もよく似合ってるよ」
夏休みも終わり、冬になってから直哉君がお店に来た。いつものスタンドカラーのシャツに着物と袴に草履。
店内の新商品のポップを見てからカウンターに座っている私のところまで来るといつもの笑顔でピアスを指さした。
夏休みにあけたアンテナとヘリックスに近いピアス。左に2つ、ボールピアスのままだ。
「選んで」
私はカウンターから出て前よりも少し背が伸びている直哉君のピアスに触れ見つめてからガラスケースに入ってるピアスを指さした。
直哉君のピアスはアンテナとヘリックスに近い位置にあるためフックが似合うと思う。同じデザインで黒くて太めのやつ。
「つけて」
ガラスケースの鍵を開け取り出すと直哉君を椅子に座らせて指先と耳を消毒してからそっと外し移し替えた。
そして鏡を渡すと嬉しそうに目を細め口も弓なりにして笑った。
「なあ、かっこええ?」
「よく似合ってる。……綺麗」
右耳の2つのピアスと左耳の4つのピアスは切れ長の目の直哉君とその服装にもよく馴染んでいたのでそう呟くとキョトンとしてから嬉しそうに笑い「綺麗なんか」とケラケラと声を上げた。
そんな珍しい直哉君を見つめてからボールピアスを袋に入れて渡し返そうとすれば「それ」シノちゃんが持ってて、と言われた。
特に拒むことでもないので頷いてポケットにしまうと直哉君は近づいてきて私の顎に手を置き上を向かされる。
「見せて」
何を言わずとも薄く口を開けて舌を出すと直哉君はほんの少し驚いた表情を一瞬見せたので、チロリと蛇のように切ったスプリットタンを見せた。
「エロいなあ。誰にも見せたらあかんよ?俺だけにしぃ」
「誰にも」
見せないよと薄く笑えば直哉君はそのまま噛み付くようなキスをして舌を絡めてきたので爬虫類の舌のように絡み返せば、ひどく満足そうに目を細め舌先を軽く噛んでから離れていった。
「キスも、誰にもさせたらアカンよ」
「相手なんて、直哉君くらいだよ」
私のその言葉に「せやろなぁ」と笑い、また今度は啄むようなキスをしてきて顎にあった手が耳たぶのピアスに指を引っかけてくる。
軽く引かれるとリングが揺れる。すぐ近くにある直哉君の綺麗な顔を見つめていたら
「目ぇ閉じんかい」
と言われたので素直に従うとまたしても舌を絡め合わせてきた。
直哉君の優しいキスに酔いながらちゅ、っと音を立てて顔が離れていくと直哉君は赤い舌先でペロリと自身の唇を舐め満足そうに笑った。
「シノちゃんは、かぃらしぃなあ」
「直哉君は綺麗だね」
「かっこええんやないの?」
「かっこいいよ」
そうしてしばらく見つめあってから直哉君は持っていたらしい携帯電話に着信が入り面倒そうに眉を寄せると通話ボタンを押して話し始めたので私もガラスケースの中のピアスを並べ替え鍵を閉めてから ケースを拭きカウンターに戻る。
直哉君は聞き馴染みのない単語を交えて話しているが、どうやら「任務」で少し遠方に行ってくれと頼まれているらしいことをなんとなく理解した。バイトかな。
電話の最後に綺麗な舌打ちをして通話を切り「カスが」と小さくつぶやいてから不機嫌そうな表情を向けてきたのでなんとなく両手を伸ばすと直哉君は近づいてきてくれた。
そのまま腰に抱きつき背中を撫でれば直哉君も抱き返してくれて背中を撫で返してくれた。
「ほな、またね、シノちゃん」
今度はご機嫌に言ってのけてから代金を払いお店の外へと出て行ってしまったので「またね」と小さくつぶやいておいた。
直哉君の身体はとてもたくましかった。鍛えてるのかな。バイト頑張って。
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