五条と副担任
五条と私のあれやこれ(全39話)
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今日は五条が出張のため一年ズの監督として三人に付き添い舞浜近くにある施設の呪霊を祓うということで全員で電車に乗りこんだのだが、その電車内で事件は起きた。
痴漢である。
犠牲者は私ではない。
ぎゅうぎゅう詰めになったその車内の私の横にいる高校~大学生くらいの女の子が難しい表情で俯いているからであって、断じて私ではない。
女の子はなんとかその手から逃れようにもこの車内。動けるはずもなく、私は女の子の腕を引くと己の前の扉と私の間に女の子を閉じこめた。
一瞬女の子は泣きそうな表情を見せるもそうした相手が女である私に気付くとほっとしたように張りつめていた気配を消し今度は安心したように泣きそうであり私は女の子を見下ろしながら
「大丈夫?」
とそっと声をかけた。それに女の子は頷いてくれて痴漢は諦めたかのように思えたのだがしかしそうではないらしい。
『痴漢=愚かな男』と称されていたのだがその愚かな男に当てはまってしまった男の手がスルリと私の尻を撫で上げてきた。
思わず振り返りそうになるもぎゅうぎゅう詰めの車内だ。
女の子を助けるために多少無理に動いたが今度もそうする訳にもいかず眉間にシワをよせてしまった。
相手が釘崎ちゃんでないのが微かな救いだったなとというのが私の感想で。
モゾモゾと触ってくるその手を私は力の限り掴み捻りあげた。
痴漢は呻き声を上げ私の手を振り払おうとしてきたが一般人のそれしきの力で私の手を振り払うことはできまい。
舞浜で電車が止まったところで女の子はササッと、そして私は痴漢の手を思いっきり引っ張って電車から引きずり降ろした。
「寿先生、そいつ誰?」
そんな虎杖君の言葉に私はハッキリと言い切った。
「痴漢」
と。
ホームで立つ私たちを人々が降り様に見つめてきていて、痴漢のおっさんは「違う違う」と喚き立てているが私はそれを無視しておっさんを駅員のところまで連れていき、喚くおっさんを見ると呆れたように男と私を見比べて
「またあなたですか?」
と言われている。なんだ、常習犯か。
おっさんは舌打ちと共に私の手を振り払い今度こそその手を離せば私の背後からついさっき助けた女の子が顔を見せ、私の服の裾を掴みながら「その人、」
「…わ、私の学校の先生です……!」
と泣きそうな表情でそう述べた。
なんという繋がりであろうか、今度は私が呆れた表情で見下ろしてしまい釘崎ちゃんは激オコである。
このまま警察を待つべきであろうが、こちらは仕事()があるため長居するわけにもいかない。それでも震えつつも私の後ろにいる女の子の肩をぽんぽんと叩き笑いかけた。
そこで女の子は肩の力を抜き私の服から手を離すと男を見やり、男も男で女の子のことを睨み付けているが私はため息を吐き出して
「伏黒、虎杖、釘崎ちゃんは現場に向かって」
私は後から向かうから、そう言えば釘崎ちゃんたちも痴漢男を睨み付けていて、その顔に男は黙ってしまい
「私が着いた時に"終わっていれば"お昼食べに行こ、行っておいで」
と三人を追いやり女の子と共に駅員の部屋へと通され椅子に座らされた。
警察を呼ぼうとした駅員に男は待ってくれと声を上げ
「示談で済ませよう!?」
と迫ってきた。しかし女の子はそれを拒否し私も私で
「金積まれたって許すわけねえだろハゲ殺すぞ」という笑顔を浮かべ程なくして男は連れていかれ、私と女の子は警察と話をするとようやく解放された。
もうすぐ一時間だが話も済ませて現場に行こうとすれば三人は戻ってくるところで釘崎ちゃんは詳しく聞いてこようとしたそれをなだめ近くのファミレスまで行き
「好きなだけお食べ!」
と口にして、痴漢のことはさっさと忘れることにした。