癒しの悦楽(全34話+おまけ)
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「五条、燐の秘匿死刑についてどうするわけ?」
「それは燐が起きなきゃどうにもならないっしょ。あの宿儺があそこまで執着してんだから悠仁が死んだら宿儺に対する抑止力だって消える。適当に理由付けするさ」
「あんたがそう言うならいいけど、あいつも呼ぶのか?」
「とーぜん!僕たちの親友だし、情報掴ませといても問題なし!」
「ふーん、ま、私に迷惑かけないでよね」
「ははは」
五条は家入と話しながら歩き 伊地知は虎杖を匿うための地下室への結界を強固なものにし見つからのようにとそこに連れて行く。燐は何があってもいいように医務室のベッドに寝かせ続けることにした。さすがに解剖台の上で眠らせ続けるのも哀れだからだ。
燐をベッドに横たわらせてから五条と家入と伊地知が動いている間は決して宿儺と代わらず、そして宿儺の燐への呼びかけもさせるな、と。
しかし宿儺は現れることなく五条は生得領域で守られている燐のことを考えながらスマホを取り出し京都校の親友に電話をかけた。
「あ?暇だろ今?ちょっと面白いことになってるから時間作って東京来てくれない?お土産は生八つ橋でいいよ。うん、そう、アレの器とあの子。まあまあ怒んないでよ、この間3人でラーメン食べた じゃん!少しでいいからお願いね、傑」
「夏油はどこから情報をとってんだか……キモ……」
五条と話している同期に悪態を吐き明から様に冷めた視線も向けた家入だがすぐ五条と離れ死亡報告をまとめ提出してから医務室に戻る。
そこには五条がベッドに横たわらせたままの状態で眠り続ける燐がいて、家入はカーテンを閉めてから燐の額を撫でた。相変わらず体温が低い。思わず大きく息を吐いてしまった。
表面に出さなかったが宿儺は虎杖を通して聞き取れた内容だけを把握し「やはりな」と思った。
やはりあの小僧は死亡した体で扱われ燐が目を覚ますまでは五条という男と家入という女の目の届く場所で守られることとなった。それについては褒めてもやってもいい。が、それだけだ。
俺の生得領域で守り、続ける限り燐が死ぬことはない。魂だけとなってもここに居続けられる。
「――燐、まだ起きるなよ」
小さく呟き己の膝に頭を乗せてすやすやと寝息を立てるその存在の頬を撫でスルリと心臓の上に手を移す。
とく、とく、とく、と一定のリズムで鳴るそれに目を細めてしまい頬が緩む。
「さて、」
ここで燐が“起きても”現実の方に意識を向けさせなければずっとここにいるわけで、それはそれでいいのだがここには色がなさすぎる。
燐は鮮やかな色に目を奪われやすいけれどここに色を作る気は少しもない。
宿儺ぼんやりと考え込みながら表に意識を向けてみると、どうやらようやく本格的に呪力に関する訓練を行うそうで馬鹿げているとため息を吐き 会話を耳にしながら、また眠り続ける燐を見る。
そうだな、もし燐が目を覚ましたら己の指に魂を癒着させ切り離す説明をしてみてもいいかもしれない。このままこの小僧の中で支配 され肉体の主導権を取れないことはなかなかに歯がゆいこと。
「――燐」
そうしてまた名を呼び心音 に耳を傾ける。
執着か。
確かに、
馬鹿らしい
呪いだ。
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