五条と副担任
五条と私のあれやこれ(全39話)
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「う"…ぐっ…うう…お"え"え"え"……」
そんな声というか音と共についさっき食べた夕食を腹の中から吐き出した。
別に食あたりではない。ただ自律神経に何かが触れたらしくグルグルと目の前が回り吐き出す勢いで頭のまで血が上りもう一度胃の内容物を吐き出した。
気持ち悪い頭痛いくらくらする震えもとまらない
「う"え"え"え"……」
そうして便器を抱え込み何度も吐きこんでいれば胃液さえも無くなるがそれでも嘔吐が止まるわけでもなく、よろりと立ち上がり冷蔵庫からスポーツドリンクを一口飲みまた吐き気がこみあがり足を縺れさせながらお手洗いに駆け込んだ。
水分を摂った分余計に吐きやすくなったのだろう、今口にし胃に流し込んだものを吐き出して額から汗が伝ってくる。
最悪だ。本当に。
呪力を抑え続けていなければいけないのだけれどその反動で定期的にそれが身体の不調として表れてきて「ぐっ」と唸ると空気を吐き出し、そして背中にそっと手が回ってきた。
吐きすぎてチカチカとする視界の中でゆっくりと顔を上げるも誰だか判別はつかない、その手は優しく髪をスルリと撫で床に転がっているスポーツドリンクをゆっくり飲ませてきて抱き上げられた。
ふわりとした浮遊感とトクトクと感じる心音にぼんやりと身を任せていればギシリとベッドに下ろされて、そうしてくれた人物が去ろうとしたのだがかすんだ声で「まって」と言っても音にはならず、しかしその人物はタオルを濡らし戻ってきた。
汗に流れていくメイクを拭いて落としてくれて冷たいタオルが頬や額なども撫でてくれて。
そのゆっくりとした動作にようやくしっかりと目を開けばそこにいたのは
「……ごじょう……」
そう五条である。
私はカスカスな喉から声を出そうとしたがしかし五条は笑って額にかかる前髪を払ってきて。
「大丈夫?」
と囁かれた。それに対し私は首を横に振ろうとするもそれさえも億劫であり固く固く瞳を閉ざし出来る限りゆっくりと息を吐き出し深呼吸を繰り返しその間も五条は首の後ろや鎖骨など晒されている肌をタオルで冷やしてくれた。
そこまでしてようやくある程度意識がハッキリとしてきてペットボトルを渡され飲もうとすれば背を支えられ抱き起こされ頭を撫でられ、こくんこくんとゆっくり飲み込み息を吐き出した。
「…ありがと……」
その言葉に全てを詰めこみ未だ支えられている手から人肌の温もりを感じ五条の肩に頭を寄せそっと目を閉じる。
「久し振りだったね」
「…ああ、……うん……」
そう小さく頷けば五条の片手がタオルで額を冷やし首回りを冷やし介抱してくれた。
五条だけが知る私の体質。
呪力が底抜けで溢れ返っているそれを制御するその反動での体調不良。
学生時代からこうであったのを偶然五条に見つかって、それ以来私がこうして体調を崩すとさりげなくフォローしてくれる。マジ五条セラピスト。
そうしてしばらくしてからようやく体調が戻ってきたため数珠を嵌めようとすればそれを制され
「まだ少し外してなよ、夜蛾学長には言ってあるから」
「なんて?」
「数珠の紐が切れたから僕と一緒に直すって」
「ーーーそう…」
ポツリと呟くと私は手の中のペットボトルにもう一度口をつけ飲み込んでいれば五条の手が肩まで回り、くんと引き寄せられ口付けられそうになったのだが片手で五条と己の間に手を差し入れキスを拒む。
「……なんで」
「ゲロ味のキスしたい人なんていないだろ……」
「それもそうだね」
でもしちゃう、と片手で両手を包まれて唇が触れ合うとこいつ舌までいれやがった。
しかし五条はゆっくりと歯列をなぞり離れると
「ゲロの味はしないよ」
なんて笑ってきて
「お前最悪……」
そう呟けば今度は先ほどよりも長く触れあってきて目を閉ざすとそのままストンと眠りに落ちてしまった。
明け方まで五条が側にいてくれて安心したのだろう、この感情の答えはまだ出ていない。