癒しの悦楽(全34話+おまけ)
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優しい揺れとふわふわとする感覚を経てハッと目を覚ました私は家入さんに見下ろされていた。
「燐、起きたか。 痛いところは無い?」
「全然!元気いっぱい!」
家入さんはホットチョコの入ったコップを渡してくれて私はそれを口に含み家入さんを見上げた。
「どうなりました?伏黒君と虎杖?君は?呪いは?」
「それについては五条が」
「やっ!」
「いたんですか」
五条さんもホットチョコを飲みつつ長いコンパスで近づいてきて、私が貧血で気を失ってる間のことを色々と説明してくれて、そして呪いの王の呪肉体となった虎杖君の入学と一番困る質問を重ねてきた。言葉に詰まる。
「宿儺は燐のことを知っていたみたいだけど、覚えはある?」
「……うーん……何でしょう……」
「恵が『
「あー……」
私のはっきりしない意識下でも『虫』という単語で取り乱した私と宿儺の「まるで」私と「既知の存在」であるかのような発言を五条さんに話していたようで私は考えてしまう。
「んー……何と言うか……私でもわからないんですけど」
そう言葉を濁したそれにも五条さんも家入さんも何も言わず私は小さく呻きながら黙り込むと五条さんが問いかけてくる。
「宿儺がね、1つ話したことがある。それと行動」
「1つの話と、行動……?」
今一理解できず五条さんに先を促すと五条さんはグイッとコップを仰いで中身を飲み干してからベッド横の机にコップを置きパイプ椅子に座った。それでも見上げてしまうタッパの違いに場違いにも羨ましいと思う。
「宿儺がおかしな提案をしてね」
「私に、関わる……?」
「ガッツリ」
「ガッツリ」
何だろうかという視線を乗せつつ私もコップを煽ぎ傾け、次の言葉に噴き出すところだった。
「燐を差し出すなら大人しくしてもいいって」
「……は?」
「あと燐に触るなら今すぐ悠仁の心臓を取り出して殺す。だから燐には近寄るな――何か覚えはある?」
二度目の「覚えはある?」という問いかけに私は必死で考えあの時胸の中にずっと穴が開いていたそこが埋まっていく不思議な感覚と感情をどう説明すればいいのかも分からず、誰にも話したことはないけれど忌庫の前で宿儺の気配を感じようとしていたのは五条さんの知るところで、けれど何も言われたことはないが。
「えっと……宿儺はそれ以外には?」
「悠仁と一人二役してるよ」
「?」
怪訝な表情を向けると五条さんはまた説明してくれて、なんでも意識がある中で『口』が話しかけたり笑ったりしているらしいが、やはり「燐を出せ」なんて。
「執着される覚えがあるはずないだろうけど一応聞いてみなきゃいけなくてね」
「上に話は……?」
「悠仁の死刑は遠回しにして燐についてのことは話してはない」
「そうですか……会えます?」
誰になんて言わなくても五条さんには通じて、五条さんは「僕もいるならいいよ」なんてあまりよろしくない、でも会っておいた方がいい気がするそれに頷くと五条さんはスマホで連絡を取り「恵に連れてきてもらって」という通話をし、私はホットチョコを飲み干した。
家入さんはデスク前の上質な椅子に座り五条さんはズボンのポケットからロールちゃんを2本取り出した。何故2本も入る上に折れていないのだろうかと思いつつ1本受け取る。
「あ、私どれくらい寝てました?」
「2日ってところ。疲れてたでしょ」
私は高専に入学した頃に眠くなったら眠る以外では決して眠らないが寝たら寝たでロングスリーパーでもある。小、中は突然寝るので授業所か学校にも行っていなかった。
ただ寝ると必ず1人の男と1人のナニかが自分の中にいた。それ以外の夢を見たことが一度としてない。起きると忘れているが、穴は埋まらない。
少しして2つの呪力を感じ「失礼シャース!」なんて虎杖君と伏黒君が姿を見せ私に笑いかけてきた。根明。
「えっと、燐さんでいい?」
「うん、虎杖君であってる?」
「虎杖悠仁です!よろシャス!」
「シャス!」
そして挨拶をした瞬間、虎杖君の頬に口が出てきた。
キモいと呟いてしまった。
五条さんは吹き出して笑った。
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