癒しの悦楽(全34話+おまけ)
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「助けてください!!」
そういった瞬間、宿儺の腕に一人の女が腕を巻きつけてきて強く瞳を閉ざし眉を寄せ唇も引き結びそして震えている。それを見た裏梅は女を吹き飛ばそうとしたが宿儺が無言で空いている片腕で制しかすかに笑う。
「何から助けてもらいたい」と。
それは宿儺のほんの気まぐれによるただの問いかけであって、女は小さく震えながら腕をぎゅっと握りしめつぶやいた。
「く、蜘蛛!親指くらいの蜘蛛!」
「虫か?」
「虫!!」
という女の必死な言葉に裏梅はポカンとし、宿儺は笑って女の肩を見ると、まあ、確かに『
「殺したぞ」
「い、いない?本当に?ぜ、全部?!」
「全部?」
宿儺は女を見、女は宿儺の言葉に言葉を重ね裏梅は女が駆けてきた方向、つまり女の後ろを見て呟いた。
「結構残っていますね」
「ひっ!や、ややや、やだ!」
女はどもり、さらに強く宿儺にしがみつき小さな悲鳴を上げ震え、虫の形をした大量の
今日の宿儺は機嫌が良かった。他人のためにこんな道楽に付き合うくらいには機嫌が良かった。
女は消えた
「肩にいるが?」
「っっ!やあー!いっそ殺せ !やだやだやだやだ!!」
「嘘だ」
「うあーん!お兄さん酷い!!」
そうして女は泣きながら声を上げ宿儺もまた声を上げて笑ってしまう。
「俺の方が怖いとは思わないのか子娘?」
「お兄さん怖い要素あるの?」
主に腕が4本、顔に目が4つある異形の姿は怖くないのか?という含みに女はグズグズと泣きつつ顔を上げ色素のほぼない瞳を宿儺に向けてきて、そして目を細め軽く背伸びをし顔寄せてきた。が、
「ごめん、私目が悪くてよく見えない」
「虫は見えるの、か?」
「気配」
「くっ…ははは!」
そう女は答え宿儺笑い片腕で女の顎を捉え触れ合ってしまいそうなほどに顔を寄せ女を見つめる。
「これなら見えるであろう?」
「近い」
けれど女は眉をよせ目を細めてもただ不思議そうに首を傾いている。
「え、ごめん本当わかんない」
「肩に虫がいるぞ」
「ひっ!やだ!」
「嘘だ」
「うわー!バカ―!」
裏梅は一体何をどうしてどう言えばいいのかもわからず宿儺はまた笑い声を上げ己のことをバカと言った女の顎を掬いあげ呟いた。
「虫はおらん。対価を出せ」
「何が欲しいの?」
そう首をかしげた女はしかしいまだ宿儺のは腕にしがみついたままであり宿儺は半ば適当に女を見て口角を上げた。
「この俺に接吻してみろ」
「…虫、本当にいない?」
「おらぬ、――するのか、しないのか、」
さっさと言え、と口にしたところで女は宿儺の口元まで顔を寄せ唇を重ね合わせた。
驚くほど一瞬で、驚くほど柔らかく甘い香りに宿儺は女を見て女はそのまま数秒唇を重ね合わせてから背伸びをしていた足を下げ宿儺を見上げたままへにゃりと笑った。
「したよ」と。
「……虫……」
「やっっ!?な、えっ、な、!いないって、今」
言った!と言おうとした女の唇を塞いだのは宿儺であって 、開いていた女の唇からするりと舌を割り込ませると女は小さく吐息をもらし抵抗することなく受け入れた。
「っは……」
と息を吸った女が宿儺の腕をぎゅっと掴み呟く。
「いない?いないよね?虫、いないよね?ひゃっ!」
宿儺からの口づけを受けても女は周囲を見渡し宿儺は女のことを抱き上げた。
それに驚いた女は声を上げるも特段抵抗せず受け入れ宿儺の首に手を回すと抱きついてきて、裏梅は絶句する。
「ところでお兄さん名前何?」
すんと鼻を啜り宿儺に抱き上げられ抱きついたまま尋ねてきたそれに宿儺は淡々と「宿儺」と名乗り「貴様は?」と問う。
「燐」
「どこの国の人間だ」
「わかんない」
「生まれは?」
女はまた「わかんない」と答え裏梅は女を、燐をじっと見上げ見つめるが本当に本人も困惑したようにわからないようで至近距離にある宿儺の頬に口付け擦りよった。
「宿儺はどこの人?」
「忘れた」
燐はそんな返答に明るく笑い「一緒にいてもいい?」なんて問いかけてきて宿儺は燐を見下ろすことなく口元に笑みを浮かべ
「放すつもりもない」
と発して燐は嬉しそうに笑いまた宿儺に抱きついて大きく頷いた。
「分かった!」
と。
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