H×H→転生呪術高専夏油同期チート
人生ハードゲーム(全21話)
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凍える寒さの到来、冬である。年末の冬である。
4人でプールに行った後すぐ私は単体で任務に飛ばされ、帰校したのが12月末。
悟はお家柄の挨拶回りがあり 傑も実家に帰省すると聞き(メールがきた)硝子も硝子で同じく実家に帰ると聞いた(直接)。
私も一旦家に戻ってもいいかと思ったが特に何の連絡も来なかったため、そして面倒であったため年末は寮に一人で残ることとなった。
そんな私に夜蛾先生からお蕎麦をもらい談話室のキッチンで蕎麦を茹でていた。
悟からは愚痴が飛び、硝子からもメールが来て、けれど傑からは来ないかった。
それにどことない虚無感を覚えたのは何なのだろうか。
少し固めで茹で上げた蕎麦を水で湯がいて暑い湯で出汁を淹れ、それとともにいただくと、何ともお腹に優しい味がする。
悟ももう「毒姫役の必要はない」と言っていたのでそれも帰省しないうちの1つである。
私の知識と悟の知識で毒物は見分けられるので。
汁まですすりきって器を片付け、談話室から自室に戻るとベッドの上で携帯が点滅していた。メールだろうか。
0時ジャストに悟と硝子から「あけおめ」のメールがあるも、傑からは、ない。
2人にメールを打ち返し静かに「念」のオーラを練りながらも今一集中できないのは傑の顔が脳裏にチラつくため。
4人でプールに行った後、あからさまに傑は距離を取ろうとし悟と硝子の2人に笑われていたので嫌われたわけではないらしいが私が顔を向けると目も合わせてくれない。
硝子が私の部屋に泊まりに来た時に尋ねてみたら
「進展はありそうだがムカつく」
以外に教えてくれなかった。
進展って何のよ。
「……乱れる……」
小さく呟き息を吐いて携帯を見つめてから少し悩みメールではなく電話をかけた。
あ、寝てたらどうしよう。
2コールでふと気づき電話を切った直後、マジで1秒もなく私の携帯が着信を奏でた。
『夏油傑』の3文字。
2コール分見つめてからボタンを押し「もしもし」と言うと電話の向こうから傑の声が響いてきた。
『あけましておめでとう』
「おめでとう」
16年間ずっとだが、何が「おめでとう」なのかわからないけれど定型文だし、そう答え 話しかける。
「こんな時間にごめんね?寝てた?」
『起きていたよ』
なんとなく傑の顔を思い出し「そう、良かった」と呟く。
「悟と硝子からメールきた?」
『来たよ。0時きっかり』
「返した?」
『もちろん』
でも私にはメールくれなかったんだね、と言いそうになり 責める意味も理由もなく口を閉ざし、傑から久しぶりに
『香葉』
と名前を呼ばれた。
「……傑……」
思わずポツリと名前を呼ぶとほんの少し沈黙した後に
『ちょっと待って、』
部屋に戻ると聞こえ誰かしらの笑い声が耳に届く。
両親だろうか。
無言の中階段を登る音と扉が閉まる音とが聞こえる軋むベッドの音も聞こえてきた。
私の五感が良すぎるため常人には聞こえないだろうけど
「傑、大丈夫?」
と問いかけると一拍置いて『うん』と返ってきて、ここのところの胸のわだかまりが少しずつほどけていく。
避けられ距離を置かれていたのがまるで無かったことのように、2人で、2人だけで話し、本の10分ほどそうしていたが私はついなんとなく言ってしまった。
「そういえばーーーー何で私を避けていたの?」
プール行った後から、と聞いてみると傑は一瞬息を飲んだ ようだがすぐ強めに
『避けてない』
と返ってきて、追従するように『あの2人から』何か聞いたの?と問われたため硝子の「進展」を思い出し告げる。
『……君、自覚はある……?』
「なんの?」
傑はかなり小声で『無自覚か』呟いたが私が「無自覚?」と尋ねると『気にしないで、』香葉のペースを待つ、と言われてしまった。今一意味は分からないので「ふうん?」とだけ返しておく。でも、
「傑の声を聞けたのは嬉しかった。学校が始まったらまた会おうね」
そう言うと傑はとうとう黙り込み、5分ほどの間、傑の名を呼び続けてしまった。
本当によく分からないけど、とりあえず今年もよろしくね。