一周年企画
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あるいつもの日のこと。テニスの大会が近かったから臨時 マネージャーをしていたがそれも後は後輩に引き継いでいくだけといった季節。2年生も終わりがけ。
「長瀬、放課後少し時間はあるか?」
と手塚に声をかけられ、何も考えることなく「ある」と答えた。
「少し話がある」
「何、またマネージャー?もうやらないよ?入ったしょ」
椅子に座ったまま机の前に立つ手塚を見上げそう返すと、その話ではなく個人的なものだと言われたので「ふーん」と返事をした。周囲で聞き耳を立てる女子数名。
まあ手塚は顔がいいから隠れるファンもいるんだよな。てかテニス部大体顔が良い説は正しい。不二くんとか不二くんとか。
放課後は私も一応軽音楽部の部活があるため長時間は対応できないけど手塚が長時間拘束してくるようなことはないとわかってる。話って何だろう、今言えない話?
「(まあいいか)」
授業を終え清掃当番を終え日直が日誌を書いている間に手塚は大石君に「部活に送れるかもしれない」と連絡しており私はギターの音律を調整して2人きりになるのを待つ。が、女子数人がなかなか帰らない。多分私と手塚の話を聞きたいのだろう手塚が少し困っている。なら、
「この間借りた洋書のことでしょ?アガサクリスティーの原本」
「あ、ああ」
「辞書で翻訳しながら読んでるけどそうするとその前の文章を忘れちゃって勉強にさえもならないの。アホすぎて悲しい」
「ノートに書き出してみたらどうだ」
「何それ天才やってみる」
と話していたら女子数人も「なんだ」とつまらなさそうに教室を出て帰宅してしまい 教室には私と手塚だけが残された。
「話って何?」
「折り入った話だが、その前に1つ聞きたい。……不二とはどんな関係なんだ?」
「不二くん?」
嫌に緊張した様子で問いかけてきたため私もちゃんと手塚に向き直り椅子から立ち上がりつつ首を傾げてしまう。
不二くん、不二は1年の頃同じクラスで小学校も同じだったーー
「幼なじみ?友達?」
「本当か?」
食い気味だなと思いつつ頷いてそれが何だと問うと手塚は一瞬口を閉ざしてから重々しく口を開いた。何!?
「長瀬に伝えたいことがある。ただの自己満足だと言われてしまえばそれまでだが……聞いてくれるか?」
「ここで聞かないって言ったら鬼畜の所業じゃん。聞くよ」
何?とまた首をかしげれば手塚は数度、深呼吸をしてから私の瞳をじっと見つめ小さく小さく呟いた。
「長瀬が好きだ。不二ではなく俺を見て欲しい」
「え」
直球にストライクを打ち込んできて思考が一瞬停止してしまったが、いやだって待ってよ
「テニスでいっぱいって言ってなかった?」
いつぞやの恋バナに巻き込まれ手塚はクラスメイトの女子に「テニス以外は考えていない」と答えて逃げていたけど。しかもつい最近。
「一昨日、告白されている長瀬を見た」
「うわマジか」
「それを見てしまってから何も手につかない……無論テニスの事は外せないし一番に考えていることだ。だが……」
そう口ごもる手塚に「ヒエッ」と思いつつ本能で後ずさってしまったら腕を掴まれメガネの奥の瞳に見据えられてしまう。そのせいで私も動揺して口ごもってしまい手塚はたたみかけるように口にしてきた。
「真面目とは言い難い態度だがそれでも他人を傷つけるようなことしない様や、ふとした時の笑顔に、人の話はちゃんと聞いてくれる様に、気づいたら惹かれていた」
進級したらテニス部部長の座に着くがそれよりも先にあの時告白をされていた場を見てどうしようもない程に焦れてしまった。
そう真剣に語る手塚に頬が赤くなるのを感じ
「付き合ってくれとは言えない……ただ俺が長瀬のことを好きでいる事実を知っておいてほしい」
「……返事はいらないの?」
「他に気になる男がいたら……だが、どうにも諦めがつかない……それくらい好きだと知ってほしい」
「手塚……」
「 それだけだ……部活にい……っっ!?な、何を……!」
腕を離し視線を反らし手背中を向けた手塚の広い背中に、私は飛びつくように抱きついてうなじに額を押し付けた。
「私も手塚が好きだよ。本当だよ」
「そ、れはっ……」
「付き合っちゃおうよ」
背中越しにも手塚の心臓の音が聞こえ息を呑む気配に抱きつく力を強くし小さく笑う。
「臨時マネだって手塚の頼みだから聞いたんだよ。」
手塚の肩がピクリと跳ね、私は手塚の背中から離れる目の前に回る。
そのまま手塚のことを見上げて見つめると手塚の髪の隙間から、ちらっと見える耳の先が赤くなっており私はまた笑ってしまう。
「付き合おうよ」
「……いい、のか……?」
「いいよ」と言った次の瞬間にはぎゅっと腕の中に閉じ込められており「手塚」苦しいと伝えようにもさらに強く抱きしめられてきて「テニスを優先するが」長瀬のことも大切にする、なんて言われてみろ?
「へへ……好きだよ」
なんて言っちゃうのは当然でしょ。
2025/08/23