一周年企画
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禪院甚爾が唯一、かなり高い報酬を蹴って取りやめた仕事があった。
その対象はおよそ7つであり殺すことは他愛ないだろうと思っていた。
天与呪縛により呪力が一切なく、己が気配を絶てば誰も気づかないであろうが、そう7つのそのガキは振り向いた。
何もない林の中、まっすぐ甚爾の潜んでいる場所を色のない片方の瞳を向けられ、そのガキはゆったりと口を開いた。
「わたしを殺す気か?」
そんな半端な気配の消し方で、と。術師殺しとして名が着く前の仕事で興味本位で五条家のガキを見た時のように。
呪力も気配もないのに、ないのに。
それでも甚爾は刀を片手に素早く移動し見えるはずのない 速度で刀を振り抜くとスパッと腹部を切りつけたがそのガキは内臓を押し込め次に首を切り落とそうとしたその刀の刃を掴まれじわりとした殺気に刀を捨てて飛びのいた。
その場には大穴が開き、ガキの拳がめり込んでいる。そもそも内臓が飛び出ているのになぜ苦痛の表情を一つも浮かべずにいて平然と立ってるのか。
このガキを殺れば5000万の報酬が約束されているがその時の甚爾は本能に従い引こうとしたが、ガキはいつの間にか甚爾の目の前におり腕を掴んでいる。
ギリ、と手首がきしみ振り払えないほどの力。この俺が。
「あんた、名前は?」
「ーー甚爾」
ガキは口の中で「甚爾さん」と繰り返しパッ離された手首には子供の手のサイズの小さな痣ができており、粘ついた唾液を飲みこんでしまう。
明確な殺気というより、真綿で首をじわじわと締め付けるような気配に、この俺の足が 竦み動けない。
そしてガキは腹部を押さえながらじーっと甚爾を見上げ甚爾はジリジリと後ずさる。
背中を見せたら襲われるような心理に陥り、しかしガキはコテンと首をかしげた。
「殺せるか?」
「……やめておく、割に合わねえ……」
「英断だね」
どこが達観したようなもの言いに甚爾は頷き5000万を蹴りその場から消えるように去った。
「ってのが甚爾さんとの出会い」
「腹の中味詰め込んでた時の傷がそれだったのかよ」
「そうだよ」
「そ……そうなんだ……」
硝子の部屋でそのことを話しながら口の中に酢だこを放り込むと傑は引いた様子を見せ 悟はあの日の傷の内容を知り、今現在臨時体育教師としている伏黒甚爾を思い浮かべる。
自分を殺しに来ていた人間と平然と過ごせるなんて、かなりイカれてると思う。
己もまだまだだと思う。
「ーーで、おっさんはドン引きしたのかよ」
「引かねえ方がおかしいんだよ」
「そもそも殺しなんてすんなよ」
「硝子、それはそう」
前世では殺し屋稼業であったためそのあたりの倫理観は確かにイカれていると思うし甚爾さんも私を殺すことができないと分かってるので一緒にいても平気なのだが傑は気に食わないらしい。
木陰で何やら言い合いながら殴り合う2人を見て私は欠伸を一つ漏らしてしまう。
「でも生き延びてて私は嬉しいよ」
と硝子は口にし私は硝子に向き合い悟も口を開く。
「こいつがいるから俺は死ななかったんだけどな」
「それはまあそうだけど」
校庭の真ん中では殺し合いに近い殴り合いをしており、私はどっちにも対し「頑張れ~」と声をあげた。
2025/08/23