一周年企画
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「ゆ、侑士くん」
「お疲れさん」
放課後、図書当番を終えた私は付き合い始めた忍足くんーー侑士くんのいる机に向かい 本を読んでいた侑士くんが笑顔で名前を呼んでくれる。
この幸せをかみしめられて嬉しすぎるのと幸福過多で近くに死ぬのではないかとも思っている。
京子ちゃんも宍戸くんと付き合い始めてから似たようなこと言っていたので一般論だと思う。侑士くんは論外で。
あの日テーブルで告白し合ってから侑士くんは名前で呼んでくれるし、侑士くんの要望で景吾と岳人くんを名字呼びにしようと頑張っているのをニコニコと見ている。
ただし景吾。、いや跡部くんはどこか残念そうな表情をしていたので下の名前で呼んであげたいが今のところの優先順位は侑士くん〉跡部くん〉向日くんとなっているため 早々には変えられないし慣れてもらうしかない。私も慣れなくては。
「いつまで俺のこと“くん”呼びなん?」
「そ……それは……」
今日まで何度も言われ続けているがこればっかりはどうにもなるまい。片思い(だと思ってた)期間中はずっと「忍足くん」で、付き合い始めてからいきなり下の名前で呼び捨てってかなりハードルが高いんだけど侑士くんは違うみたいで、今までもそうであったように下の名前を呼び捨てで呼んでくる。
その度、私の心臓は爆発寸前なので慣れることはないだろう。
そもそも跡部くんだって景吾呼びになるまで段階があったのだからその段階を踏まして欲しいが許してくれない。
だから私が「侑士くん」呼びに慣れるまで待ってて欲しいのだけれど、侑士くんはやっぱり不満げだ。
「好きな子には特別に呼ばれたいやん」
「ヒエッ……」
「な?」
「…う……は、い……」
肩を並べて図書館を後にすると侑士くんは困ったような笑顔を私に向け軽く顔を覗き込んできて私は小さく悲鳴を上げてしまう。とどめの「な?」で心臓発作を起こしてそうである。恐ろしい男だ。
それでもやっぱり簡単に呼び捨てに移行できるはずもなく侑士くん呼びなのだがそもそも両思いで付き合ってる時点で私の幸せパラメーターはマックスを振り切って破裂寸前なのである。そこのところを知ってほしい。切実に。
ぎゅっと鞄の紐を握りしめながらそれでも並んで2人きりで話すことに多少の慣れはあるが心は緊張しっぱなしである。ドキドキと胸がうるさい。侑士くんの優しい声と笑顔に入院寸前だ。
そうして廊下を歩き下駄箱に着くとクラスが違うため一旦離れ靴を履き替え、一息ついて次の決戦に向かうと侑士くんがすぐ来て私の側で待ってくれている。
慌てて靴を履き替え上履きをしまうと侑士くんはまた困ったように私の名を呼ぶ。
「俺とおるとカチカチやんな」
「ご、ごめんなさい……!緊張しちゃって……!」
決して侑士くんが嫌いとかではなく、私の好きがカンストして メーターをぶっちぎってるだけで侑士くんは悪くない。それをどう説明すべきか。私ばっかり好きみたいで何だか恥ずかしい。
頬が赤くなるのを感じ、侑士くんを直視できなくなってしまい思わず俯いてしまうと ポンと頭を撫でられ苦笑した侑士くんは顔を覗き込んでくる。目の前いっぱいに侑士くんの顔がある。
「これじゃあキスしたいなって言ったらどないになるん?」
ドクドクドクと血が巡る音がし侑士くんのつぶやきがうまく耳に入らず首をかしげてしまうとよ侑士くんは私の背中に手を回しひどく優しく抱きしめてきて私の頭の中は真っ白になってしまう。
し、死ぬ!
結構切実な感想である。本当に、心からの感想だ。
「聞いてた?」
「へ、え、な、なに……」
「キスしたい、言うたんやけど」
「き、キス…」
って何だっけ?
パニック寸前の私は泣きそうになりながら侑士くんを見つめ侑士くんはそんな私の表情に「無理強いはしたない」と苦笑し離れていく。
その表情が少し寂しそうだ。
「ゆ、侑士くん……」
「なに?」
私はたくさん瞬きをしながら必死で泣きそうなのを抑え込みギュッと目をつむってから口にした。私の精一杯だ。
「す、好きだけど、ちょっとだけ待ってて……!」
侑士くんは嬉しそうに笑い、またポンと頭を撫でてくれた。
2025/08/16