7年ぶりの初めまして(全39話)
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「奈々お姉さん?」
そんな声が耳に入り本に向けていたその目を声の主に向けた。
「あぁ、コナン君」
そう、コナン君。その手には随分と難しそうな本がありコナン君を見下ろしながら首をかしげてしまった。
だってここは米花町ではない私の自宅の最寄りの本屋。
「どうしたの、こんな所まできて」
「大きな本屋がここしかなくて、欲しい本あるかなぁーって思って!」
奈々お姉さんは?と。
「私の家すぐそこで、暇潰しになりそうな本探してて」
「すぐそこ?」
そう、と答えつつ腕時計を見ればもう夕刻、六時を大きく過ぎていて
「家の人と一緒?」
「ううん、僕一人だよ!」
思わず黙りこんでしまった。
こんな時間に小学一年生を一人にするとは、そう思いつつ、どうやって帰るのか、迎えにでも来るのだろうかを問いかければコナン君はニッコリと笑い
「大丈夫だよ!一人で帰れるから!」
そうじゃないだろ。思わずため息を吐き出しそうになるがコナン君を見下ろすと
「私が送るよ。一人は危ない」
それとも
「うち来る?」
「え?」
コナン君はキョトンとした瞳で私を見つめると本の少し警戒した様子を見せるも屈んでいた私はしっかりと立ち上がり
「よし、行こう、おいで?」
とコナン君に笑いかけた。
「…じゃぁ、行くよ」
一瞬だけ思案したようなコナン君だがすぐ"子供らしい"笑顔を浮かべお会計してくるね!とレジへと駆けていきそっと微笑んでしまう。
出入口で待っていればすぐコナン君は袋を片手に出て来て私はコナン君に手を差し出した。
「夜は危ないからね」
ニコリと笑えばコナン君は戸惑いながらも手を重ねてきて歩きだした。
「奈々お姉さんって一人暮らし?」
「いや、親と一緒」
「ふーん…姉弟はいないの?」
「一人っ子」
そう笑い何ともないような会話をしつつすぐ着いた道場にコナン君は表情を引き吊らせ私のことを見上げてきた。
「こ、ここ?」
「そ、ここ」
門を開け中へと入ればコナン君はキョロキョロとしており私は縁側にいる両親に声をかけた。
「お帰りなさい奈々ちゃん、その子は?」
「可愛いから拐ってきちゃった」
その言葉に母は苦笑し近いの?と。なので私は首を振りつつコナン君を見下ろし「米花町だよね?」そう聞いて、コナン君は「うん!」と頷いた。
「帰りは私が送るから」
そう両親に告げ自宅の玄関をくぐり自室に向かうその途中でコナン君は父に「初めまして、江戸川コナンです!」と頭を下げ母に「ご飯でも食べていきなさい」なんて笑っている。
ふたりで私の部屋に向かいながらコナン君を見下ろすと
「毛利じゃないの?」
と聞き、コナン君は首を振り
「預かってもらっているんだ!」
「へぇ、」
でもこんな時間まで一人はいけないよと言いつつも蘭ちゃんに連絡してねと続ければコナン君は笑顔で頷き自室に入った。
私は荷物を置き、蘭ちゃんに電話をかけたコナン君がねぇ奈々お姉さん
「蘭姉ちゃんが話したいって!」
そうスマホを渡され私は電話に出た。そうすれば蘭ちゃんから何度も申し訳ないと言われるも拐ったのは私だからと答え家まで送るのであまり心配しないでねと通話を切った。
そうしてコナン君にスマホを返せばコナン君はそれを受け取りつつ私の部屋を見渡し
「奈々お姉さんって暁好きなの?」
一瞬ドキリとしつつも平静を装いコナン君になんで?と問いかければコナン君は机横CDラックを指差し
「あのCDって、暁のだよね?」
「コナン君知ってるの?」
「蘭姉ちゃんがファンなんだ!中々いいよね!たまに暗い歌があるけど」
小学生の「中々いい」の言葉に頬を引き吊らせるも「そうだね」と返し母が姿を見せ
「ご飯できたわよ」
と呼びに来てくれた。ありがたい。
はい、と答えコナン君とリビングへといき食事をしていれば食後のお茶をしている私を見上げ父と話していたはずのコナン君が
「奈々お姉さん」
なんて声をかけてきて一瞬の間をあけコナン君を見れば
「師範代なんて凄いね!武術をやってる人で髪を染めてる人なんてあんまり見たことないから!それでも師範代になれるんだね」
「髪色ごときで舐められてたまるもんですか」
コナン君と母は笑い父は
「全く、そろそろ師範代の自覚を持ちなさい」
なんて言われてしまい、まあまあなんて言いつつ、それでも私が音楽活動をしていることについては黙ってくれているのでそれ以上は何も言えない。
「よし、コナン君、送るよ、おいで」
と逃げることにして、コナン君はご馳走さまでしたと笑い本を取りに一旦自室に戻りコナン君は本を持ち、私は縛っていた髪をほどきまとめ直しコナン君が
「すごい髪長いね」
という感想をくれたので微笑み
「ちょっとね」
なんて言いつつ髪を縛り車まで蘭ちゃんの家まで送り帰せば何度も頭を下げられるのでヒラヒラと手を振るとそれに答え帰路に着くことにした。