7年ぶりの初めまして(全39話)
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夜、眠る準備をしていればスマホが着信を告げそちらに視線を向けつつ腕を伸ばしみどりのボタンを押すと耳にあて電話にでた。
「もしもーし」
『あ奈々?元気?って言っても元気だったわよね』
「美和子も元気そうだね、どうしたの?」
私は立ち上がり縁側に腰を下ろしつつそう問いかければ
『お願いがあるのよ!』
と美和子は声を上げ嫌な予感がした。
『実はね、明日の夜飲みに行くんだけど奈々も来てくれない?』
「……なんで」
誰も見ていないからと眉間にシワを寄せ窓を開け庭に出ると低く問いかけ空を見上げながら岩に寄りかかった。
夜空には月と星が輝いており美和子の言葉にため息を吐き出してしまったのはそう、
『合コンらしいんだけど、メンバーが1人空いちゃって』
「美和子、彼氏いなかったっけ」
私のその言葉に美和子はそれはもう明るく笑い、費用は相手持ち、食事ではケーキの食べ放題!これはもう行くっきゃないでしょ?
「美和子ケーキ好きだもんね…」
そう呟き風が髪を揺らしてきて考えるのは降谷のこと。
ま、あいつも金髪美女といたし奢りで食事を頂けると考えればまあいいだろう。
「何時にどこに行けばいい?」
『やった!来てくれるのね!』
そう美和子は声を上げ『奈々は飲むでしょ?』
「うーん…最近飲んでないからなぁ」
美和子は電話越しに笑ってきて
「私は飲むの止めとくよ。帰りは車で動きたいし美和子が飲むなら家まで送るから」
私は飲まない要員でお願いと二言三言話すと美和子は
『おやすみなさい!明日はよろしくね!』
と電話の向こうでは素敵な笑顔であろう美和子との通話を終え電話を切られた。
「忙しいだろうに大変だねぇ美和子」
ポツリと呟き考えても美和子のパワフルさを思い出すことしかできない。
米花町の居酒屋を時間と共に指定されたので夜風を感じながらそれまでのスケジュールを並べていきため息一つ。
「飲みは7時」
ということはバンドの練習は遅くとも6時ぐらいには上がるしかないだろう。
「零にバレたらどうなるかなぁ……」
まあ、メンバー合わせだ。食べることに専念すればいいだろうと、おもいきり背を伸ばし立ち上がると縁側から部屋に戻り髪をまとめると横に流し眠りにつくことにした。
そうした翌日、空は晴天、風も程よく、いい日和だなと欠伸をしながら道着に着替えると道場に揃っている門下生に挨拶をし走り込みに出掛けた。
先頭を走りながら声をかけ一時間ピッタリに折り返し地点へとたどり着いたが本の少し期待した零の姿はなく、軽く息を吐き出すと
「戻るよー!」
そう声を出す。
折り返して名残惜し気に振り向きつつもいないものはいない。
もう一度ため息を吐き出すとテンポをそのままに道場へと戻ってきた。
そこで軽くペースダウンとクールダウンも行い汗を拭うと全員で道場に入りそこで待つ父に皆して朝の挨拶をし早朝稽古をつけ始めた。
父に頭を下げてから私はシャワーを浴び朝食を口にするとバンド練習の用意をし服を着替えた。
和装か洋装かを考えるが今日もまたいつものように和装で支度をすると車に乗り込んだ。
もうすぐ9時を回るので米花町につくのは10時を少しすぎた頃だろう、スタジオ入りには充分間に合うので朝日と風を感じつつご機嫌に車を走らせた。
もうすでに社会人は働き出す時間だろうし学生だって道にはいない。
スタジオのある駐車場に車を停め2番スタジオに入ってギターを取り出した。
そうしていればメンバーも揃い
「水蓮、覚えてきたからやろうぜ」
とメンバーが声をだし皆が皆で楽器を持つと演奏してくれて、しかし何かを言いたげな表情で私を見てきてワンフレーズ残しと口を閉ざし大きく息を吐き出すと
「何か言いたいことある人ー」
そう口にした。そうすればメンバー全員が苦笑いを浮かべ
「ライブについての人ー」
その言葉にやはり3人とも苦笑いで私を見つめてきて、もう一度ため息を吐くのは仕方ないだろう。
「もー…やだなぁ…仕方ないのかなぁ……」
「「「じゃあ?!」」」
3人は声を揃え
「ライブの用意は私を筆頭にやらせてもらうからね?」
でも顔出しは絶対しない。そうだなぁ、例えばファントムみたいに顔を覆うかして顔を隠すのはありだろうかと問えばメンバー皆して拳を握り
「それでいこう!」
と了承してくれたそれにもう一息。なのでと全員でスタジオの一室から出るとスタジオ内にある休憩スペースへと移動し紙を広げマネージャーに連絡を取っている。
ヤイヤイとやっていればすぐマネージャーは姿を見せ5人でライブについてを話していく。そうしていればあっという間に時間は過ぎていってしまい気が付けば既に3時である。
にしても次回のライブを既に決められていたとは恐ろしい4人だと思ってしまった。
「ねぇ」
「どうした?」
「お腹すかない?」
4人は時計を見やりお腹をさするとティータイムにでもするかと意見は一致した。
そして私は思い出す。
「待って、私6時には上がりたい!」
「用事?」
「合コン」
「水蓮マジかよ」
いや、聞いてくれと立ち上がると全部相手持ちでしかも空きメンバーの穴埋めだからちょっと違う!と説明した。
それに「あぁ」と納得してくれたようでスタジオ前にあるファミレスで軽く胃にモノを入れ再び話し合う。けれど話がまとまるにつれて時間も経っていき私はソワソワとしてしまう。もう既に5時半を大きく回ってしまっている。
「後30分で終わらせたいんだけど…」
「あ、そっか、水蓮合コンだっけ」
「じゃあ最後に曲を決めようぜ」
そうスマホを取り出した一人が、今までの曲で一番人気のある順から決めようぜと。その言葉に私は少し悩みむしろと
「むしろトップ入りしていないのを選びたい」
「水蓮ならそう言うと思ってそっちもメモに入れてあるぜ!」
わぁお有能なんて呟けば何年一緒にやってるんだよと言われまぁそうかと苦笑いを一つ。
「じゃあ各々で気に入ってる曲とか出しあって……」
そうわちゃわちゃして話し込んでしまっていれば奈々のスマホが鳴り響きハッとしてスマホを取り出し発信現が美和子だとあり慌て電話に出る。
『もうほとんど集まっちゃったけど?どこで何してるのよ!」
なんてお怒りの言葉に苦笑するとメンバーにジェスチャーで上がることを伝えれば皆は軽く手を振ってくれてファミレスを後にした。
「美和子ごめん~、遅くなった~」
居酒屋の前にいる美和子に駆け寄れば美和子に軽く怒られながらも合コンに参加することに成功した。
(浮気じゃない、タダ飯食べるだけ、零、ごめん)
そう思ってしまったのは私一人の内緒だ。