7年ぶりの初めまして(全39話)
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その日は朝から陽射しが強く嫌がっている人もいたが午後になると急に曇り始めどしゃ降りの雨へと変わっていった。
生徒会の仕事をしていた降谷は、先1mも見えないほどの雨に覚悟を決め一本踏み出そうとしたら
「ねえ」
そう声をかけられた。
突然の声に気を向けその方向へと顔を向ければそこにいたのは同じクラスの西澤の姿があり
「ああ西澤」
そうポツリと呟いた。西澤奈々は降谷を見上げると
「ヒロ、先に帰ったんだね」
と口にし降谷はうんと頷き西澤は黒い傘を開いた。
「行こう」
そう降谷を見上げ口を開いた西澤にキョトンとし
「私の傘、男物だから二人くらいは行けると思う」
その言葉に口を閉ざしてしまい西澤を見下ろした。
ほら行くよと西澤は降谷を促すように見つめてきて、降谷はドキドキしながら西澤と肩を並べて歩き出した。
「降谷」
「何?」
「降谷の方が背が高いから降谷が持って」
と当たり前のように言われ降谷は本の少し緊張したように傘を持ち西澤はこんな時間まで何をしていたのだと問いかけ西澤は「んー」と口にし「部活で遊んでいたらこの時間」と。西澤は軽音部。
「そっか、もうすぐ文化祭だもんな、ライブタイムあったし」
「そ、今新曲作ってる」
西澤の作った歌は実はいくつか知っているし生徒会へ文化祭に室内ライブの申請も来ていたのを思い出し「へぇ」と呟いた。
肩が触れあいそうな、いや、触れあっている肩にドキドキしているのは己だけだろうかとしていれば西澤はチラリと降谷を見上げ本の少し笑いかけてくれた。
西澤は学校生活でもあまり表情が変わりはしないがこうして二人でいるとその表情は緩んでくれる。それがとても嬉しい。この気持ちが何なのかを知らないほど自分は鈍くない。西澤もそうなのだろうか。交わった視線に緊張し近い肩に心臓を高ならせ歩き続ける。
西澤の家と俺のいる家はそれほど距離はないが西澤の方が少し遠いし途中で分かれ道がある。
何か話をしたいが何も浮かばない。相変わらず騒ぐ心臓と触れる肩。
「降谷」
「な、何?」
一瞬どもってしまえば西澤は少し笑うと
「聴きにきて」
「え」
「くれると、嬉しいんだけど」
忙しいかな?と躊躇いがちの誘いに驚いていれば西澤はジッと降谷の眼を見つめていて凄いと思った。
誰に対してもおくびにも見せず真っ直ぐに見つめてくるそれは男子の間で言われている
「女子とは思えない色のない視線」
勿論悪い意味ではない。
西澤の瞳を見つめ返すとポロリと溢れた言葉は「ヒロと行くよ」というもの。西澤は降谷のその言葉に嬉しそうに笑うと、指切りしとく?なんて言葉を紡ぎ降谷は左手の小指を差し出した。
「指切りゲンマン嘘ついたらなーぐる、指切った」
「殴られるのか?」
「本気でいくよ?」
「恐いな」
そんな軽口を叩きあいながら歩いていれば二人の分岐点。その瞬間西澤はパッと走り出した。
「?!ちょ、西澤!!」
「また明日ね!」
西澤は駆けて行ってしまい、どしゃ降りの中降谷は「普通男の役目だろ」と思わずポツリと呟いた言葉は雨の中に消え本の少し佇むが西澤の姿は既に見えない。西澤はあちらの古武術の道場に住んでいる。そこまで西澤を送るつもりであったが男らしい彼女を思い笑ってしまった。
文化祭でのスケジュールを考えヒロと二人で動けばライブくらいは見れるだろうと西澤の傘をクルリと回し帰宅した。
服を着替え、濡れた服を洗濯機にいれ食事をし風呂に入り自室に戻る。そうしていても浮かんでくるのは西澤の事ばかり。今年が文化祭最後の三年生、生徒会長の座にいる自分は少なくとも西澤には嫌われていないだろうがそれでも躊躇ってしまう心もある。
降谷の西澤への気持ちを知っているのはヒロだけで、俺もヒロも進路は決まっているし西澤は道場の跡目と音楽業界の二つの道があるがどちらに行くのだろうか。
「あー…告りたい……」
そう呟き大きく息を吐き出し去年の修学旅行で撮った三人の写真を見つめヒロの言葉を思い出す。
『当たって砕けろ!』
「砕けてたまるかよ…」
宿題と課題を済ませると降谷はベッドに倒れこむとモゾモゾと布団を頭まで被り自分に言い聞かせるように呟いた。
「文化祭のあと告る…絶対告る……」
そう何度も呟いていれば緩やかな眠りに身を委ね、そして文化祭の後西澤を捕まえると思いの丈を伝えた。
「…西澤は俺のことどう思ってる?」
「好きだよ、大好き」
「付き合ってくれる?」
西澤はとびきりの笑顔を浮かべ「いいよ」と口にし答えてくれた。
それが始まりであり終わりでもあった。彼女は、道場と音楽業界の両方の道へと進んだ。
生徒会の仕事をしていた降谷は、先1mも見えないほどの雨に覚悟を決め一本踏み出そうとしたら
「ねえ」
そう声をかけられた。
突然の声に気を向けその方向へと顔を向ければそこにいたのは同じクラスの西澤の姿があり
「ああ西澤」
そうポツリと呟いた。西澤奈々は降谷を見上げると
「ヒロ、先に帰ったんだね」
と口にし降谷はうんと頷き西澤は黒い傘を開いた。
「行こう」
そう降谷を見上げ口を開いた西澤にキョトンとし
「私の傘、男物だから二人くらいは行けると思う」
その言葉に口を閉ざしてしまい西澤を見下ろした。
ほら行くよと西澤は降谷を促すように見つめてきて、降谷はドキドキしながら西澤と肩を並べて歩き出した。
「降谷」
「何?」
「降谷の方が背が高いから降谷が持って」
と当たり前のように言われ降谷は本の少し緊張したように傘を持ち西澤はこんな時間まで何をしていたのだと問いかけ西澤は「んー」と口にし「部活で遊んでいたらこの時間」と。西澤は軽音部。
「そっか、もうすぐ文化祭だもんな、ライブタイムあったし」
「そ、今新曲作ってる」
西澤の作った歌は実はいくつか知っているし生徒会へ文化祭に室内ライブの申請も来ていたのを思い出し「へぇ」と呟いた。
肩が触れあいそうな、いや、触れあっている肩にドキドキしているのは己だけだろうかとしていれば西澤はチラリと降谷を見上げ本の少し笑いかけてくれた。
西澤は学校生活でもあまり表情が変わりはしないがこうして二人でいるとその表情は緩んでくれる。それがとても嬉しい。この気持ちが何なのかを知らないほど自分は鈍くない。西澤もそうなのだろうか。交わった視線に緊張し近い肩に心臓を高ならせ歩き続ける。
西澤の家と俺のいる家はそれほど距離はないが西澤の方が少し遠いし途中で分かれ道がある。
何か話をしたいが何も浮かばない。相変わらず騒ぐ心臓と触れる肩。
「降谷」
「な、何?」
一瞬どもってしまえば西澤は少し笑うと
「聴きにきて」
「え」
「くれると、嬉しいんだけど」
忙しいかな?と躊躇いがちの誘いに驚いていれば西澤はジッと降谷の眼を見つめていて凄いと思った。
誰に対してもおくびにも見せず真っ直ぐに見つめてくるそれは男子の間で言われている
「女子とは思えない色のない視線」
勿論悪い意味ではない。
西澤の瞳を見つめ返すとポロリと溢れた言葉は「ヒロと行くよ」というもの。西澤は降谷のその言葉に嬉しそうに笑うと、指切りしとく?なんて言葉を紡ぎ降谷は左手の小指を差し出した。
「指切りゲンマン嘘ついたらなーぐる、指切った」
「殴られるのか?」
「本気でいくよ?」
「恐いな」
そんな軽口を叩きあいながら歩いていれば二人の分岐点。その瞬間西澤はパッと走り出した。
「?!ちょ、西澤!!」
「また明日ね!」
西澤は駆けて行ってしまい、どしゃ降りの中降谷は「普通男の役目だろ」と思わずポツリと呟いた言葉は雨の中に消え本の少し佇むが西澤の姿は既に見えない。西澤はあちらの古武術の道場に住んでいる。そこまで西澤を送るつもりであったが男らしい彼女を思い笑ってしまった。
文化祭でのスケジュールを考えヒロと二人で動けばライブくらいは見れるだろうと西澤の傘をクルリと回し帰宅した。
服を着替え、濡れた服を洗濯機にいれ食事をし風呂に入り自室に戻る。そうしていても浮かんでくるのは西澤の事ばかり。今年が文化祭最後の三年生、生徒会長の座にいる自分は少なくとも西澤には嫌われていないだろうがそれでも躊躇ってしまう心もある。
降谷の西澤への気持ちを知っているのはヒロだけで、俺もヒロも進路は決まっているし西澤は道場の跡目と音楽業界の二つの道があるがどちらに行くのだろうか。
「あー…告りたい……」
そう呟き大きく息を吐き出し去年の修学旅行で撮った三人の写真を見つめヒロの言葉を思い出す。
『当たって砕けろ!』
「砕けてたまるかよ…」
宿題と課題を済ませると降谷はベッドに倒れこむとモゾモゾと布団を頭まで被り自分に言い聞かせるように呟いた。
「文化祭のあと告る…絶対告る……」
そう何度も呟いていれば緩やかな眠りに身を委ね、そして文化祭の後西澤を捕まえると思いの丈を伝えた。
「…西澤は俺のことどう思ってる?」
「好きだよ、大好き」
「付き合ってくれる?」
西澤はとびきりの笑顔を浮かべ「いいよ」と口にし答えてくれた。
それが始まりであり終わりでもあった。彼女は、道場と音楽業界の両方の道へと進んだ。