この世界で迷子の僕を(全80話)


雨は変わらずザアザアと音をたてて大地に降り注いでおり、ジンとウォッカそしてリレが住むマンションに車を走らせていて程なく辿り着く。

指定されてある駐車場に車を停めればジンもウォッカも車も車を降り、それにリレも続いていく。
車のロックを確認すると2人は歩きだしそれを追いかけジンのコートを少し掴んでしまった。

ジンの言うことを忘れて話してしまったことがリレの胸の中にずっと沈み込みながらそれでもとついついジンのコートの裾を掴んでしまうのは許して欲しいのだが。

ジンはそんなリレを見ることもなく、だからといって話せというわけでもなくリレは視線は足元に落としてしまう。
それにはさすがにウォッカも思うところがあるようだがリレもウォッカもジンが正しいとして過ごしているので何も言えず3人は無言でエレベーターに乗り込んだ。

重苦しい空気をビシバシと感じながらもエレベーターは上へと上りあっという間についてしまい、ジン、リレ、ウォッカは箱から降りそしてジンがウォッカに

「明日の夜まで待機だ、いいな?予定外のことがない限り 出かけたりはするな」

そう指示したジンにウォッカは頷き答え部屋へと消えて行ってしまった。

ジンはそれを特に気にかけることもなくジンの部屋へと進み鍵を開け入っていく。
雨で濡れてしまった帽子とコートを取りさり、リレもそれに倣ってコートを脱ぐ。
そんなリレを待つこともなく ジンは奥へと行ってしまう。
床が濡れてしまうため入るのは本の少し憚られてしまうがすぐジンがタオルで髪とはいわず全身を拭っている。そしてリレを見ると一言


「お前もさっさと拭け」

と言われてしまい、慌てて浴室へと足を向け動き出した。
パタパタと歩きタオルをラックけら取り雨水を拭っていればジンが姿を見せ一瞬驚いてしまったのはジンの格好。
肩にタオルをかけているが下着1枚でそこにおりジンはカゴの中に服を放り込んでいる。

初めてジンの家へと連れられたその時はジンが家事なんて信じられないな、なんて思ってたがどうやら違うらしい。
洗っていたと思える服は全て クリーニングだし、食事もできたままで届いてくる。
まあそれもジンの気が向かなければ食べないこともあり、だからジンの冷蔵庫には酒とミネラルウォーターしかないのだろう。
自炊していないわけではないが進んで、というのもおかしいが自ら食事を作ることはあまりないらしい。が、今は関係ないのだろう。

リレはジンほど濡れてはいないがリレも服を脱ぎ同じくジンの服の入っているカゴに服を入れる。
ジンの長い髪はシットリと濡れ、バキバキに鍛えられそして傷走る身体を見つめてしまったのはきっと仕方ないこと。しかしすぐ視線を逸らそうとすれば


「リレ」


と名を呼ばれるとリレはピャッ!と姿勢を正しいジンの瞳を見つめ上げた。


「風呂だ」


僕が入るということ?それともジンが入るということ?

そう考えれていればジンはタオル越しにリレの頭をぐしゃりと撫でるとジンは全裸になり浴室へと行ってしまったが、もしかして、もしかしなくても、一緒に入るぞということなのだろうか。
ほんの少しドキドキとしながらもジンの言葉

「覚えてもらう、しっかりと教えてやる」

というそれ。つまりそうだろう。
一瞬ためらってしまったリレも服を全て脱ぎ捨て曇りガラスをそっと開け入ればジンは髪をまとめたままシャワーを出しそしてリレを見つめると口端を少し上げた。

時刻はすでに10時は過ぎておりリレは、おずおずとジンの側に寄りシャワーは壁に取り付けてあるフックにかけてありそしてジンの手の中にはローションの容器が握られている。

……もう無理です、勘弁してください……。









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