人魚と同じ夢を見る(全10話)
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海辺で車を乗り捨てると雨の中の砂浜を見つめ彼女の姿を探せば青い傘が風に乗って転がってきて己の足元に止まる。
これなら近くにいる可能性は高いと砂浜を駆け沖合いを見つめれば黒髪が広がって海に向かう一つの影を見つけた。
間違いない。海野渼瑚だ。
「渼瑚さん!待ってください!渼瑚さん!~~っ、渼瑚!!」
僕の声を聞け、僕の顔を見ろ 、僕だけを求めろ、僕のことを、欲しがれ!
沖へと進むその速度に追いつけるはずもないのだがそれでも僕は彼女のことを追いかけて、僕が君の心を癒すから、癒すから……!
僕の声が聞こえないのか!!
「渼瑚!!」
力の限り叫んだ瞬間、彼女の肩がピクリと跳ね、ゆっくりと振り返ったその瞳は驚くほどに暗く沈んでおり、必死に泳いで追いかけて彼女の肩を掴み抱き寄せた。
人間の体温も魚には火傷をするほどに熱く、僕の熱で君の体に僕の跡が付けられれば。
そんな残酷な幻想に酔いそうになりつつも抵抗しない、感情の無い体をひいて浜辺とたどり着いた。
雨と波によって濡れた砂浜に彼女を引き上げ抱きしめれば 彼女は軽く抵抗するもそれほど大きな抵抗にも思えない。
もしかして、の可能性にかけて耳元で「渼瑚」とつぶやき
「貴女を泡にはさせられない」
「……え……だれ……?いやよ、 行かなきゃ……」
呼んでるの
その言葉を紡がせる前に唇を奪い取り、貪るようにして舌を押し込み彼女の舌を絡め、舐め、噛み、与える。
「……な、んで……?」
「君の心を癒したい、君の心を僕にくれ」
君の心を崩した男のことは忘れて、僕を、僕だけを。
「……っ、……でも、あなたは、人がいる……」
「……人?」
「金の、髪の、女の人が……いるでしょう……?」
「ベルモット……?」
そういえば彼女と知り合ってから初めてベルモットを車に乗せはしたが、つまり、そう、それを見て彼女の思うことは。
「…僕のことが、好きですか?あんな女といるのを見ただけで、海に呼ばれてしまった君の心が、僕のことを、求めた……好きなんですか?」
「ーーーー好き……大好き…あなたが、私は、あなたが、好き……」
「僕も、渼瑚さんのことが、好きです」
あなたを泡にはさせない。海には呼ばせない。君の心は僕のものだから、
「もう、僕のことを、認めてくれ」
「……あ……安室、さん……」
震える彼女の唇をもう一度奪い取り、彼女の腕が僕の背中に手を触れて回してきて
そして、その足は、人間のものであり、彼女の呪いを解くことができたのだと笑ってしまったのは……
終
2025/03/23
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