人魚と同じ夢を見る(全10話)
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とある雨の日である。
雨、なんて軽いものではなく ほぼどしゃ降りの中、組織の仕事で海辺の倉庫へと行き取り引きを終えると今日組まされた男たちは戻って行ってしまいため息を吐き出した。
今日の取引は武器密輸についてであったためすぐ済んでしまい風見に連絡しながら傘をさし己の車へと戻ろうとする。そうした遥か先の船着場の空いたスペースに白いワンピースの青い傘をさした女性がいて、渼瑚さんと繋げてしまった。
何をしているのだろうか。
周囲を見渡して誰もいないことを確認すると足は彼女へと向かってしまい「水が苦手」と言っていた言葉を思い出す。
「形を変えるから」「1人でないと」「外へは行けない」「人を変えるから」。
なんとなく今止めないと危険な気がして降谷は彼女に向かって駆け出した。
激しい雨音に降谷の足音は消えてしまい、白いワンピースの彼女が傘を離すのと海に飛び込むのはほぼ同時。
こんな状態の海は本当に危険すぎるが、降谷も後を追って 海の中へと飛び込んだ。
「渼瑚さん!渼瑚さん!!」
海の鳴く音に降谷の声がかき消されるも海の中へと潜り目を凝らしても一寸先も見えない。
「っ、はっ…マズイな……!」
そう1人ゴチながらももう一度、今度は深く潜り波の中を泳いで彼女を見つけようとしていても彼女の姿も何もなく 、また一度、水面に顔を出し突如グイと腰を引き寄せられてしまった。
その力強い手に顔を向けようとするも降谷の体はグングンと浅瀬まで連れられて行き、激しい雨の中、ちらりと見ることができたのはそう海野渼瑚。
「渼瑚、さんっ!?」
「……静かに……してね……」
海水を飲んじゃうから、という言葉がこんな雨や波の中でもしっかりと聞こえてきて、それを不思議に思いつつも口を閉ざして腰に回っている手に触れた。
驚くほどひんやりとした手は何かザラついておりそれにも不審に思いつつ、信じられないほどのスピードで連れられたのは浜辺。
「……危ないことをしては、だめ……」
彼女は浜辺まで上がらず手を離したのだが降谷はその手を勢いよく引き寄せて渼瑚さんを海から引きずり出した。
「……あ……」
海野渼瑚はそうぽつりと呟き、降谷も降谷で思わず声がもれてしまったのは、
「その、尾びれ、は……?」
「……」
「……人、魚……?」
その降谷の言葉に渼瑚は顔を背けるも 降谷はワンピースから見える魚の尾びれに言葉をなくしてしまった。そして渼瑚も口を開くこともなくバシャリと海の中へ消えていってしまったが、降谷の目にはしかと焼き付き、その神々しい姿は、頭の中に、そして目の中に深く深く刻まれてしまった。
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