人魚と同じ夢を見る(全10話)
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秘密裏に殺人犯を捕らえてから数日、安室としている時にふと前方から白いワンピースの女性が歩いてきた。
優しい風が髪を揺らし、その瞳は黒く澄んでおり既視感を覚えてしまった。
その女性を見つめつつ歩いていれば儚いながらも美しい女性を見る男も多く、彼女の横をかすむ時ふわりと海の香りを効いた。
思わず伸びた手が女性の細い 腕を掴んでしまい、女性は振り返ってきて不思議そうに首をかしげ小さな声で
「なにか…?」
と呟いた。
その声は町の騒音に掻き消されてしまうほどに小さいもの だが、しかと安室の耳にするりと入り込み見つめ合ってしまった。
「っ、あ、すいません……何でも……」
ないです、とまで続いた言葉だったが、女性は降谷の瞳を見つめ「綺麗ね」と口にした。
何がだろうかと思えば掴まれた腕を上げ降谷の頬を指先が撫で鈴の音のような細い声が鼓膜を震わせ
「綺麗な青。海の色ね、とても綺麗……」
とつぶやいた。
スルリとほどけるように降谷の腕は落ち、女性は降谷の青い瞳を見つめ小さく笑うと行ってしまった。
その背を見送りそうになるのも降谷はハッとしてもう一度女性の腕を掴もうとし、女性は降谷を振り返り
「ダメよ……私に関わっては、ダメ……」
そう残して今度こそ行ってしまった。降谷はしばらく呆然としてその場に立ちつくしてしまったがすぐ首を降り歩き出す。
この辺りを歩いていたということは、また会えるだろうと考えたためであり、その予想は簡単に当たってしまう。
翌朝、ポアロへ出勤していく道の中で、淡く青い色のワンピースを纏った女性が歩いており今度こそちゃんと言葉を交わそうと呼び止めた。
「すみません」
「……はい……?」
「少し、お話をしたいのですが……」
「……なぜ?」
その疑問は最もだし、当然であり、ナンパだと思われても仕方ないのだが降谷はそのまま女性の手を引き開店前のポアロへと連れ込んだ。
女性は抵抗も抗議もしてくることもなく気配も静かについてきてくれた。
「開店作業をするので、少しお待ちください」
「…ええ…」
降谷は安室となり、店内にモップをかけ外を掃き、そしてその間に落としてあったコーヒーを彼女に差し出した。
「今日初めてのコーヒーです、どうぞ」
「……ありがとう……」
女性は動き回る安室のことを見るわけでもなく、だからといって何かをすることもなく 黙って待っていてくれて。
そして差し出したコーヒーに手をつけることもない。
「…コーヒーは苦手でしたか?」
「……いえ熱いものが苦手で ……」
「それは失礼しました。アイスコーヒーにしますね」
「……ごめんなさい……」
勝手にしたこちらが悪いのでと笑顔で話しかけつつ、今落としたコーヒーは自分が、そしてすぐ作ったアイスコーヒーを差し出せば、今度は口につけてくれた。
「……美味しい」と。
「お口にあってよかったです」
そう口にすれば、女性の視線は降谷に向けられるとそっと目を細め
「綺麗ね」
と呟いた。
「僕の目ですか?」
「……ええ…とても、綺麗ね」
そんな囁くような声はカランカランと言う音に消えてしまい降谷は安室として顔を上げ
「梓さん、おはようございます」
「安室さん、おはようございます!もうお客さんですか?いらっしゃいませ」
梓はバックヤードに消え、降谷は外に見えるようにプレートをOPENに変え、女性は静かにアイスコーヒーを飲んでいる。
「モーニングは済ませましたか?」
「……いえ、私は、あまり食べないので……」
「あまり」ということは、食べる事もあるということだろうので、お節介にもモーニングを提供しようにも彼女はアイスコーヒーを飲み干すと、カバンから財布を取り出し支払おうとしてきたので
「僕が無理に連れてきてしまったので、」
お代は結構ですと止め
「その代わりにお名前を伺っても良いですか?」
「……海野渼瑚です……」
「渼瑚さん」
「はい」
「僕は安室透です」
ニコリと笑い、またよろしければご来店ください、と頭を下げれば渼瑚さんは行ってしまい、その背を見つめてしまった。
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