欲のままに動くだけ(全13話)
ジンを庇って銃弾を受け大量出血したアンシャンテを安静にさせて1ヶ月。闇医者から激しい運動は避けるようにと 笑ってきた。恐らくジンが散らした欲の赤い跡を見てのことだろう、余計なお世話だ。
朝、夕と点滴をしていたがそれも外れ自宅にての療養が許された。
行為をしてはいけない、と。
本当に余計なお世話だ。白い部屋着を着替えさせる前に一度傷跡を見てからジンはアンシャンテの頭を撫でアンシャンテはジンのことを見上げてきた。
「帰れるの?」
「ああ、着ろ」
そう包帯を巻いてから黒いシャツとパンツを渡し、足元はつっかけのサンダルを出され アンシャンテと共に1ヶ月ぶりの自宅に戻ってきた。
そうジンも1ヶ月ぶり。
物も大してないのでハウスメイドに帰宅する前に掃除をさせ清々しい光の中、空気の入れ替えが終わったその部屋に帰宅した。
車を止めアンシャンの腰を軽く支えながら歩いて行き、アンシャンテは何ともなさそうな表情で歩いている。
ジンが「平気か」等と尋ねることはないのは常でありそれを知るはずもないが支えられている場所から優しさを感じ取って、アンシャンテはジンも己にもわからぬほどに小さく笑みを浮かべてしまった。
サンダルを脱ぎ、1ヶ月ぶりのソファーに腰を下ろしたアンシャンテの横にコートを脱いだジンも座りそっとアンシャンテの髪を肩から払い首筋に唇を吸い付けた。
アンシャンテはそれに息を止めるも拒否はせずゆったりと身体をジンに寄せ目を閉ざし、ジンは今度は口を合わせるとアンシャンテも顔を傾ける。
しかしそれ以上はドクターストップなので何もできないが それについては二人とも了解済みである。
後は抜糸だけなのだが下手をして傷口が開くとあの闇医者に身体を見られてしまう。それがどこか腹立たしいので我慢をする。
適当な女を抱く気にもならないためアンシャンテの身が元に戻るまで待つことにする。
あと1週間ほどの我慢である。 余裕だ。
料理はいくつか作り置きされていたしその内容もアンシャンテのためにさっぱりとした食べやすいものを作られてありジンもアンシャンテとも笑ってしまう。
笑うと言っても大して顔には出ていないが。
そうして1週間、ジンはアンシャンテを残していつものように出かけるがジンが帰宅するまでアンシャンテはいつもと同じように待っており「つい」抱きそうになる。
からの1週間後にアンシャンテの腹部と背中の抜糸を行い それでもしばらくは安静に、と念を押された。
髪の隙間から首筋の赤い跡を見られたからであろう。誰に誓うともなくジンは息を吐き
「やってねえ」
とつぶやいた。
そして アンシャンテも小さく頷いた。闇医者はそんな二人を見て小さく笑い抜糸を済ませアンシャンテを診断書し
「傷は良好だし、抗生物質の投与もおしまい」
と言われアンシャンテは服を纏い札束を渡してアンシャンテを伴い帰宅した。
ジンはアンシャンテの髪を結い上げると、そうしていながら頬や首筋に口付けを落とし、その位置をだんだんと下げていき抱き上げると、ゆっくりとベッドに押し倒した。
「無理はするな、痛かったら言え」
1ヶ月と1週間ぶりの身体を隅々まで味わってみてもアンシャンテの傷口は開くこともなくそれでも膝の上で優しく揺すればアンシャンテはジンの首元に顔を埋め声を上げている。
たまらなく可愛くて仕方がないそれに笑ってから片手で胸の頂きをつまみ首筋に赤い花を散らし、アンシャンテは果て、ジンもナカに吐き出した。
酷く甘ったるく優しすぎる行為に2人はベッドの中に転がって笑いアンシャンテは呟いた。
「私、あなたが好き」
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