欲のままに動くだけ(全13話)



取り引きは滞りなく終わり、アンシャンテを迎えに行き大きめのカバンに服を詰め込み 車に乗せて走り出す。

ジンはアンシャンテに何もなかったな、などと聞きもせず ウォッカと話しており、アンシャンテは揃えた足の上に手を置き黙って人の横顔を見つめてしまう。

綺麗な顔だなぁ

なんて感想だけを抱きフイと視線をずらすと車の外ではたくさんの人が流れるように消えていき、アンシャンテは首を撫でてしまいそっと息を吐く。

ジムもウォッカもそんなアンシャンテに気を向ける事もなく話していきたどり着いたのはどこかの埠頭でありジンはアンシャンテにも降りるように視線を向けそれに対しアンシャンテは静かに頷いた。

歩き出すジンとウォッカを追い歩くと、コンテナの中には1人の男が立っておりジンとウォッカに頭を下げてきた。
一応ネームはもらっているが まだまだ新米の男はジンとウォッカに何事かを話しかけジンの視線が男の手元に移ったた瞬間、アンシャンテが動いた。

ウォッカとジンを突き飛ばし 2人が体勢を崩したその瞬間、その場に赤い花が咲き、アンシャンテが
「ゲホッ」と咳を漏らし血を吐いた。それを見たジンは小さく舌を打ち目の前のゴミを見るとネーム持ちは


「やれ!構うな!やれ!!」


と怒鳴りつけ四方から銃を構えてゴミどもが姿を現し、ジンは口と腹部から血を流しながらジンのことを守ろうとしているアンシャンテを見てしまう。

しとどに床は血にまみれ、ジンの前で銃を構えたネーム持ちの銃を奪い取りその脳天に一発打ち込んだ。

驚いたの何もジンだけではない。

ウォッカでさえも驚いているがアンシャンテは2人を背にしたまま、まるでゲームのように引鉄を引き続け次々とジンとウォッカを狙っていたゴミを片付けていく。

もちろん相手も反撃してくるが、それを掠めたり全て受けたりしてもアンシャンテは構わず打ち殺し、ジンもウォッカも同じくしてコンテナのいたる所にいたゴミを1人残して始末した。

1人残されたのは女であって、女はアンシャンテによって両の太ももを打たれ立ち上がれないでいる。

銃を構えたままのアーシャンテは、しかし流した血の量が多すぎてグラリとよろめき、ジンがその体を支える。
そうすればジンの手にはぐっしょりした赤い液体が付着しアンシャンテはか細く息を吐き出しながらもその手の中の銃は女の肩に押し付けており ジンはアンシャンテのことを抱き上げた。

アンシャンテは一瞬呻いたがその表情はいつもと変わりなくウォッカが女のことを捕らえ末端に連絡を入れその女だけを回収した。

その間にアンシャンテはほぼ意識を失ってしまい後始末を命じるとすぐ来た末端に任せジンとウォッカはジンの車に乗り込んだ。

後部座席に座らされたアンシャンテだが、その呼吸はいつもと変わらぬ呼吸でいて、もしや死んだのではと思ってしまうほどに安らかだ。


闇医者はアンシャンテの腹部を貫通したそれでに

「ピュウ」

と口笛を吹き、手当を施し輸血も行って、ジンはその間に新しいコートを着てアンシャンテの血だらけのコートは捨てた。

しばらくは寝ているよ、という闇医者の言葉にジンは頷き、その間にウォッカが後始末の報告を受けジンに伝える。それを聞いたジンは舌打ちを1つこぼしてアンシャンテをウォッカに見張らせ動いた。


「全員殺れ、身分証の回収は忘れるな」


そんなジンの苛立った声に末端たちはそぞろに動き、その2時間後、アンシャンテが目を覚ました、という連絡がジンの携帯に届いた。









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