欲のままに動くだけ(全13話)



ジンは、己の下で荒く息づいていた女を見下ろし髪をすきながら店主の言葉を思い出してしまう。そして覗き窓から見た女の最中の反応も。


『clockは不感症で、何をされても顔色1つ変えないし、呻き声の1つも出さない。お楽しみをしたくても、おすすめはしませんが』


それでもこの子を?と問いかけられ、また覗き窓から中を見ればちょうど「役立たず」と言われている女の中に男が達して吐き出したそれを見てしまい眉を寄せる。

男がイクところなんて気持ち悪いものを見てしまった。

けれど達した男を見ることもなく、女はただ無表情でそれを受け止め足も開かされたまま、そう、されるがままにしている。

道具を使ったり薬を盛ってみてもいいだろうがそんなことをしてまで声を上げさせたりするのは面倒だし過去5回売り戻されている経緯を聞くと顔が好みということもあり、手に余るようなら組織のモルモットにでもすればいいだろう。

店主は2000万を要求してきたがそれは承知の上で1億渡し その場で男に抱かれていた女を水揚げした。

女が身支度を整えている間にジンはソファーでカメラに写っている女を見て口端がつり上がってしまう。

尻を完全に覆ってしまっている濡羽色の黒い髪に白い肌。
若干手首には赤い跡と共に自傷したような跡もいたるところに見かけ、それに本の少し眉を寄せてしまったがいいだろう。

身支度を整えたところまで見てから車を持ってきて店主が車椅子に乗せた女を連れてくるところであり女のかなり細い腰や、首、手、腕にまでも目に入ってしまう。
しかし女は抱き上げても車に乗せても一切の抵抗もなく従ってくれて随分といい買い物をしたかもしれないと考えてしまう。

もう来る気は無いが「またのお越しを」と笑う店主に軽く手を振り車を走らせる。
ホテル、ではなく自宅に戻った。

早くこの女を抱いてみたい

それを見越して今日は仕事を夕方にまで回してあるので時間は無駄にある。

車を走らせていても声も出さず裏口からマンションに入り エレベーターに連れて行くように白く細い手を掴み歩いていても女は目隠しを外そうとせず黙ってついてきて部屋に着いた。

寝室までくるとジンは女の目隠しを外しカーテンの隙間から入り込む光の中で見たのはそれはそれは美しくあり、そして無機質な人形のようにも見える。
だが、それらはもうどうでもいいと唇を重ね合わせようとすれば、それは拒まれて一瞬、眉間にシワが寄るもキスを拒まれたくらいどうでもいい。

ベッドに転がし服を脱がせれば思っていた以上に体は細く 、そして傷だらけであり、しかしその傷も傷跡である。
もう治っている。
自傷癖があるとも言っていたな。

けれどそれらは無視して女の首筋に舌を這わせ身体に触れば女の身体がビクリと跳ねた気がした。

片手で胸を転がし、口付けの跡を残しつつ下半身に向けて唇を移動させていけば、女はまた身体を跳ねさせ、視線だけを向ければ女は酷く混乱したような表情をこちらに向けており低く笑ってしまう。

どこが不感症なんだ?今までの相手がクソほど下手だったのだろうな、と秘芯を吸い上げれば女はとうとう声を上げた。

耳に心地良い支配欲を与えてくれる嬌声。

軽く達した女に配慮などせず、指を埋め込みほぐしてから己のソレをわざと、ゆっくり、ゆっくりと押し入れていき女の身体が微かに震えナカもビクビクと反応していく。

それを楽しんでもいいが“それ”を楽しむというより己の欲を満たしたいがための行為 なので女の反応を見ながらも 腰を揺らし追い上げていく。
途中、己の声を聞いてられなくなったのか、女は両手で口を塞ぐがしかしジンにはそれが気に食わず女の手を束ね上げ命令する。


「声を出せ、塞ぐな、聞かせろ、いいな?」と。


女が小さく頷いたところで先程よりもペースを上げていき 抉るように上壁を突き奥まで突き入れれば女は甘い吐息の向こうから甘い誘う声を出し三度目の絶頂の果てに女の中にジンも己のソレからナカに吐き出した。

軽い目眩を覚える快感にクラクラとし、自然、詰めていた息を吐き出し、そのまま女の身体の上に繋がったまま倒れこみ首筋と髪の隙間に顔を寄せ息を吐く。

かすか女が身動ぐと、その手がジンの首裏に回されゆっくりと髪をつくように指と手が動き女も息を吐く。

何か言ってくるだろうか。何も言わないだろうか。そうほんの少しだけ考えるがとうとう女は何も言わず、ジンの髪をすき続けジンがそっと顔を上げると女は目を閉ざしたままジンを受け入れており、ジンは笑ってしまった。


「おい」

と声をかければ女は目を開き ジンの瞳を真っ直ぐに見つめると小さく首を傾げジンはまた笑う。


「名前をつけねえとな」と。









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