前世がゾルディックな私の来世(全23話)
私はいつも通りだがバーボンと呼ばれた男はポアロという喫茶店の店員の彼であり、バーボンはバーボンで私を見つめ小さく息を飲んでしまっている。
それもそうだろう、わずか二週間もせずコードネームをもらったという人間が10にも満たない子供だなんて誰も思うはずもなく。
「こんにちはバーボン」
「…初めましてスピリタス」
それだけの挨拶を交わせばジンもウォッカも楽しそうにしておりベルモットはバーボンに向かって
「驚いた?」
なんて問いかけており
「ええ、少々…まさかこんな幼い子が」
殺しをしているなんて思ってもいませんでしたから、と続け私を見下ろし私はため息を吐き出すともうポアロに行くのはやめようと思った。
ハムサンド美味しかったのに。仕方ない、やめよう。行ったら最後、面倒になりそうだと思っていれば
「一度お会いしましたよね」
とバーボンが口にして、ジンは煙草の煙を吐き出して
「もういいな、行くぞスピリタス」
「仕事は無いんでしょうね」
そんな風に話しながらジンとウォッカと供にその場を去りベルモットはバーボンに「可愛いでしょう?あの子」と笑って口にしてきて、バーボンは「そうですね」と言いながらも拳を強く握りしめてしまった。
この組織は、あんな少女にまで殺しをさせているなんて、ギリと歯が鳴ったがベルモットには届いておらずバーボン、いや降谷零は絶対にこの組織を潰すと思いきりそしてあの少女のことを思う。
「どう思った?」
「何が?」
「バーボンだ」
別にと答えればジンは低く笑いウォッカもチラリと私を見やり連れていかれたのはいかにもなビル。
二人はきにせず入っていき私も仕方無しと着いていけば奥の部屋に7、8人の人間の気配を察すると眉間にシワを寄せ着いていく。
そうして扉を開けたジンは銃を構え相手側が反応する前にサイレンサーを付けたそれでどんどん命を消していきジンに向けて発砲してきたそれを防いでいれば、ジンは更に笑みを濃くし一番偉いであろう人物を残して全員を殺害した。
男は苦々し気にしており、私はその男に近付くと手を捻り上げ床に押し倒した。
私くらいの体重ならば簡単にどかすことは可能だろうがそうできないように腕を固定しているため身動きはできないだろう。
「っ、てめえらに教えることは何もねえ!!」
そうどこまでも強気の男を見下ろしつつ私は男の指を一本折り曲げ爪を剥ぎ取り、男は叫び声を上げようとしたがその口を手近な布で塞ぎもう一枚爪を剥ぎ取った。
喉の奥から絶叫する男をジンとウォッカは見下ろしていて、供に見下ろしていた私に目配せをしてきて三枚目の爪を、今度はゆっくりと剥ぎ取った。
拷問はされなれているけどすることは中々に機会が無かったため今一痛め付けかたが分からないからジンに従うことにして。
ぼろぼろと汗と涙を流し息を荒く呼吸している男を見下ろし布を取れば男は噎せていて、ジンの銃が男の肩に一発、もう一発。
「何の情報を聞き出すの?」
「組織に関係あるUSBメモリーはどこだ?」
私の問いかけは男の問いかけへと返答してくれて、しかし男は黙ったまま。
「どの指いらない?」
男は「え?」と呟いた瞬間、私は男の指をブチりと千切り取り捨て男は絶叫した。
「痛いの?指一本でうるさいのね」
そんな私の言葉に男は息をのみ体を震わせていて、ジンは私に目配せをすると男の頭に照準を定め私は男の指をまた一本へし折った。ゆっくり、ゆっくりと。
「言う!メモリーカードは、金庫の中だ!番号は!!」
だから!!!
「「だから?」」
私とジンは言葉を合わせ呟けば金庫の暗証番号を口にしてウォッカがそれを開けUSBメモリーを取り出し頷いた。
「助かるぜ、なあ、ガバルディ」
その言葉と同時にジンは引き金を引き男の脳天に弾丸をぶちこんだ。そうして立ち上がって裾を整えていればジンが私の頭をグシャリと撫でてきて「よくやった」なんて。
それに、不覚にもイル兄もよくこうやって頭を撫でてくれたなと思いだし一瞬だけ寂しさを感じたが本当に一瞬だけ。
ジンは低く笑うと掃除屋へと連絡を入れようとしていたため私が「消せばいいの?」と問いかければジンは頷き
「外にいて」
とジンとウォッカを追い出した。
発動、アクア・マリン。
シャボン玉を発生させ倒れている男たちや散らばる資料までも弾けて消し去り何もなくなった部屋に頷くと扉を開け中を見せた。
そうすればさすがのジンも驚いたようであり「どうやった」という視線を流し
「今のは私がやったことだから報酬はいらないわ」
「…そうか…」
ジンとウォッカと供にそのビルを後にすると車に乗り込んで走り出した車内で
「今日はもうおしまい?」
と。
「もう一つ寄る所がある」
「殺害?」
ジンは「ああ」と頷き「それは依頼と取らせてもらうから」そのつもりで、と言えばジンは笑って煙草を吸い込んだ。