前世がゾルディックな私の来世(全23話)



コナンと沖矢が訪れてきたその夜にジンの部下の組織の末端がカルラを迎えにきて引っ越すようにと告げられた。
まあ、監視カメラは沖矢がハッキングして"いない"ように細工したようだが、カルラはジンに

「クラスメイトに家を知られてしまった」

と伝えれば学校ごと変えてきたのだ。
ベルモットが親の振りをして学校に連絡をいれるとそのまま学校関係の人達に挨拶も顔を見せることもなく。
米花町からも杯戸町からも外れた別の学校へと転校させられたがそこでも同じようなことがあったとしたらまた面倒なのでカルラはジンと話し合うと学校には通わないことにした。

コナンはまだしも沖矢まで来るとはちょっとした想定外であったが二人はただちょっと知り合ってしまった同学年の生徒とその保護者の"一人"と伝えればそれ以上の追及はなく。

ほっと息を吐き出して少し離れたところから爆発したマンションを見つめるとジンは「ふ」と笑うと車を出してその場を後にした。

その後カルラはコナンたちとも出会うこともない地に住み過ごしジンの持ってくる仕事に手を貸していく。

黒澤、という名字にカルラという名はそう滅多どころか一人もいないだろうという事で新しい名字をどうするかを考えたジンとウォッカにカルラは「ねぇ」と問いかけ口にしたのは

「私が名字考えていい?」

というもの。
ジンとウォッカはカルラを見下ろし「どうしたい」と問い返されたので少し悩む素振りを見せたがそんな考える姿勢はフェイク、ハッタリと嘘だ。

「…ゾルディック……カルラ・ゾルディックがいい」
「ゾルディック?どこの名字だ?」

当然の疑問であるがカルラは何でもないように

「ただ思い浮かんだから」

と答えベルモットが新しい学校を見つけたのだがやはりカルラは目立ってしまう訳で。

「アメリカで私が面倒でも見ましょうか?」

なんてベルモットは笑い、しかしジンはそれを制し他の末端の女に新しい住居を用意させカルラの"親役"を与えた。

そんな女にカルラはあっという間に馴染んでしまいパスポートを持ってアメリカ行きの飛行機に乗りこんだジンはカルラを横にし考え事をしている。

『父さん……』
『なんだ』
『…ごめんなさい…』

私が迂闊にも住んでいる場所を知られたばかりにと呟けばジンはカルラの頭を軽くわし掴むもすぐ手を離し、どうやら荒く撫でてきてくれたようでありそれは「気にするな」ともとれる。
そんな不器用や感じに接されてもカルラの顔には笑顔しかなく。
灰原ことシェリーや江戸川とこ工藤新一のことを考えつつもフランス語の本を読みふけることにした。

『カルラ』
『なに?父さん』
『次は下手をするな』

カルラは『はい』と頷いてジンの肩にちょっとだけ頭をすり寄せるとジンにもう一度撫でられて

『寝てろ』

なんて言われてしまったのでそれに従うことにして、さて、明日からは英語だぞっと考えながら日本の地を後にした。
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