前世がゾルディックな私の来世(全23話)



休み明けに学校へと行けばカルラの姿はまだなく、先日訪れたカルラの部屋での事をまた再び思いだすとため息を吐き出してしまい、灰原が不審そうにコナンを見つめてきてHRのベルが鳴った。
カルラはまだいない。そして衝撃的な言葉が先生の口から飛び出したのだ。

「黒澤カルラちゃんですか、ご両親の都合で転校してしまいました」

と。

「皆に挨拶もできずに行ってしまったけど、皆もお別れできればよかったわね」

そう口にしたのだ。

コナンは灰原と同時に表情を硬くし光彦がカルラの机の中にある教科書を見つめ本の10分のHRは終了した。

ワイワイと賑わう中コナンはスマホを持ったまま教室を飛び出し、人気のない男子トイレに入ると赤井秀一に向けて電話をかけた。

「赤井さを!黒澤が」
『越してしまったようだ。ついさっき仲間からも連絡があったんだがいつの間にか空き部屋になったらしい』
「こっちでは黒澤が引っ越したって教師が!」

本の少し二人で話していれば電話の向こうで人の声が聴こえてきて

「もしかして、FBIの人も一緒なの?!」
『ああ』

情報を寄越してきたヤツはそのまま自宅で殺されたという連絡も入った。
そんな淡々とした言葉にコナンは黙りこみ

「それって、」

組織の誰かに?と問いかければ『恐らくそうだろうな』という返事が返ってきて、コナンは更に会話を続けようにもベルが鳴ってしまい詳しくは坊やが学校から帰ってきた時に話し合おうとまで言われたがコナンは「すぐ行く!」と通話を切り教室に戻ると灰原に小声で言葉を投げかけた。

「しばらく警戒してくれ、俺は少しやることができたから帰る、わりぃな、じゃあ!」

教室に入ってきた先生と同時に「江戸川君!?」なんて言われたがそれを無視して学校を飛び出すと自宅へと走り出した。

こんな時間に走っていく少年をチラチラ見てきている大人の視線も気にせず工藤邸へと着けば玄関の入り口で沖矢さんが立っており、声をかければ「来ると思ったよ」と言われてしまったがそれは頭には入れず

「それで、黒澤は!?」
「彼女がマンションを出ていったという情報は入ってこなかったが管理人に聞いて部屋に入れば家具家財道具、そしてカーテン指紋の一切もなく"消えて"しまったらしい」
「今から行くの?」
「ああ」

その言葉にコナンは頷くと沖矢が車に乗り込みコナンもその助手席に乗りこんだ。

「坊や、見つかったら不味いんじゃないか?」
「大丈夫だよ、多分」

殺されたFBIには悪いがあの部屋にた彼女、黒澤カルラが関わっていたことはきっと確かだろう。

車はしばらく走り続けマンションのロータリーに車を停めると二人は車を下り近くにたFBIが沖矢に電話をかけてきて沖矢はそれに応じている。

「一度、中に入ってみるか?」
「…うん」

沖矢とコナンは歩きだし、エントランスにいるFBIが潜入して入っているためガラスの扉は開き二人して最上階へと向かおうとした瞬間、とてつまない爆音と同時にエレベーターが揺れ停止した。恐らくは最上階のカルラの部屋であろう。

FBIの仲間が調べ尽くしたはずだろうに一体どこで爆弾が爆発したのだろうかと悩みつつ二人してエレベーターを下り階段で上の階へと行くも白煙がたちこめ中に行くには容易ではないだろう。

折角の組織への架け橋になるであろう彼女の行方を失ってしまいコナンはただただ唇を噛み締めることしかできず、沖矢も小さな声で「やられたな」と呟いてしまっている。

黒澤カルラは、一体どこへ行ってしまったのだろうと思いつつ。
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