前世がゾルディックな私の来世(全23話)



翌朝、太陽の光をいっぱいに浴びながら、しかし頭に重石が乗ったような気分でコナンは目覚めると服を着替え朝食をポアロで済ませると

「ぼく遊んでくるね!」

と蘭と小五郎に手を振ってポアロを後にした。
今日のお昼頃、沖矢さんと一緒に二人でカルラの家に向かうつもりなのだ。

駆けて工藤邸まで行けば門は開いておりコナンは玄関の扉に手をかけ勝手知ったるままに"自宅"に入ると「昴さーん!」なんて声をかけながらリビングに向かった。
そこでは沖矢がコーヒーを飲みながら新聞を見ているところであり振り返った沖矢の瞳と目を合わせ

「昴さん、何時頃に行けそう?」
「そう焦るな坊や、焦ると碌なことがないぞ」

それは分かっているがどうにも気になりすぎて仕方ない。
盗聴器をしかける余裕も暇もないためあのまま帰ってしまったが沖矢さんは昨日の会話を知っているための余裕だろう。

「ーーキールから連絡がきたが」
「!」
「今日の10時に江古田市のどこかで"仕事"があるらしい」

詳しくは送られてこなかったがもしかしたらカルラがその仕事に関わっているのかもしれないしマンションにはFBIがはっている。
どうやらカルラは昨日からマンションには戻っていないようでありジンが訪れた様子も何もない。

くすぶった心のままで沖矢さんの目の前のソファに腰を下ろせば沖矢さんはコーヒーを飲み干したようで立ち上がりキッチンへと行ってしまった。
そして再び戻ってきた沖矢の手には何もなくそれを狙ったかのように沖矢さんのスマホが鳴ると「もしもし」と応対している。

「そうか」「分かった」「そのつもりだ」「昼には行く予定だ」と話しており推理してみると恐らくカルラの家についてだろう。

コナンは黙ってその後に続く言葉を耳にすると少しして沖矢さんは通話を終え

「どうやら、黒澤カルラという少女がマンションに帰ってきたらしい」
「10時か……」

二人は時計を見上げついで沖矢は「歩いて帰ってきたらしい」とまで伝えるとコナンは眉間にシワを寄せつつも沖矢と供に工藤邸を後にした。

走り出す車の中でコナンは手を握りしめながら前方を睨むように見つめており沖矢はコナンを見ると「少しは落ち着いた方がいいぞ」と声をかけたがコナンの耳には届いているのだろうか。と言っても己だって危険なことをしようとしている自覚もあるのだが。

しばらく走ってからカルラの住むマンションに辿り着くとそっと路肩に車を停め、スマホでマンションをはっている仲間に連絡をいれるとすぐコナンも沖矢もクルマを下りてマンションのエントランスへと足を動かした。

完璧なるセキュリティのために住人以外の人間は呼び出して開けてもらうしか手はないが、潜入してこのマンションに部屋をとった仲間がエントランスの扉を開けて二人してマンションの最上階に向かってエレベーター内で息を吐き出した。
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