前世がゾルディックな私の来世(全23話)
仔猫を引き取ってもらった日から少年探偵団とカルラの距離が近付いた、なんてことはなく、仔猫を引き取ってもらった後遊びに誘えばスルリと
「興味ないから」
と行ってしまい皆して「えー」なんて声を上げるもカルラは気にすることもなく。
コナンが歩美たちと遊び始めた頃にコナンのスマホに沖矢からメールが届きカルラについてを少し調べる事ができた、出来れば来てほしい、と。なのでコナンは四人に声をかけるとそこから抜け工藤邸へと走っていった。
「昴さん!」
そうして走ったコナンは呼吸を整えながら工藤邸に入りリビングへ。そうすればそこにはコーヒーを淹れる沖矢がいてコナンを見下ろすと「坊やもコーヒーを飲むかい?」と。
そんな回りくどいことをせずすぐにでも教えてほしいとグイグイいけばまあ落ち着けと言われ沖矢は二人分のコーヒーを用意するとソファに押しを落ち着けた。
「黒澤カルラだが」
「うん…」
「住所は米花アルドマンション43階、最上階に"一人の"身内と暮らしているらしいがその身内と言われる男はエド・トワイラルという男だ」
「トワイラルって、あの運行会社社長の!?」
沖矢は頷きつつコーヒーを口に含み
「そのトワイラルも組織の人間ではないかと探ってみたが全くの"白"だ。あの二人は組織とは関係ないようだ」
それ以上の収穫はないとまで言い切った沖矢にコナンはどこか納得いかないような表情を浮かべていて、エド・トワイラルと黒澤カルラの共通点を尋ねようとした。そうすれば沖矢はコナンが尋ねてくる前に首を振り
「黒澤カルラとエド・トワイラルは叔父と姪らしいぞ」
と、キッパリ言い切られてしまうともう何も言えない。
なんとなく気分がくすぶってしまうが沖矢、というか赤井さんが調べてもそれ以上の結果がないということは本当に何もないのだろう。
コナンは大きくゆっくりと息を吐き出すとコーヒーに口を付け悩んでしまう。しかしそうする意味もなくなりモヤモヤとしたはまま帰路に着いた。
「コナン君、お帰りなさい」
コナンは蘭の声に顔を向け「ただいま」と言えば蘭はバタバタとしておりどうしたのかを問いかければ何でも料理中に必要な材料がないことに気付いたらしくどうしたものかとしていたらしい。
「じゃあ僕買ってくるよ!」
「本当?コナン君。でももうすぐ夕方だし…」
「大丈夫だよ!お金ちょうだい!行ってくるから!」
蘭は本の少し悩むがすぐ財布を差し出してきて、買ってきて欲しい材料をメモして渡してきた。
それを受け取るとコナンは階段を降りていき近くのスーパーまで歩いていれば道の端に黒いポルシェを見つけてしまった。
思わずヒュッと息を飲み物陰に隠れ見つめていれば心臓がバクバクと高鳴り通りすぎる人の波から車の中を見つめようとするもどうやら車内には誰もいないらしい。
今は灰原はも他の子供たちもいない。
ただ興味をもって見つめている子供の振りでもして車に発信器か盗聴器でも仕掛けられればいいのだが。
ゴクリと喉をならし近付こうとすれば道路の反対側から二人が歩いてきて、ジンとウォッカを鋭い視線で見つめてしまった。そして背後に見え隠れする一人の少女の姿も。
「(黒澤カルラ…?!)」
ジンと同じ銀髪をなびかせ黒いワンピースを纏ったカルラが二人の後を追うように歩いており、ソロリソロリと近付きながら身を潜め会話を耳にいれようとした。
「カルラ」
「はい」
そこは聞き取れたが三人は車に乗って行ってしまい、ジンはカルラに話しかけカルラも小さく頷いて答えている。
「(赤井さん!無関係じゃなかったのかよ……!!)」
グッと手にあるものを握りしめてしまい動き出したジンの車を見送っていれば本の一瞬カルラと目が合ったような気がして息を飲み込むも車は止まったりすることもなく。
ギリと歯を噛み締めながら既に消えていってしまったカルラの残像を目に焼き付けてしばらくその場に立ち尽くしてしまった。
「コナン君おそーい!」
「ごめんなさい蘭姉ちゃん」
そう気丈に振る舞うも頭の中ではカルラのことばかりが浮かんでしまい大きく息を吐き出すと頭をガシガシと掻き乱してしまった。