前世がゾルディックな私の来世(全23話)



「一昨日、杯戸町にジンがいたのか?!」

そうコナンは驚いており何で早く言わなかったんだよと口にしたが灰原は顔色を悪くさせているためそれ以上は問いかけられず口を閉ざす。

だがそれでもジンの行方は知りたいがためにもう一度問いかけようとすればHRの鐘が鳴るのとほぼ同時にカルラも入ってきて「急いで席に着きなさい?」と言われている。

杯戸町でジンを見たということは一昨日己が本屋にいた所でもしかしたらどこかの通りで見過ごしてしまっていたのかと悩み、そういえば、光彦の横に座ったカルラを見やり、そう黒澤カルラもいたのだと。

組織の一員かもしれないと思っている身としては偶然すぎるがそうしたらNOCとして組織を抜け"死んだこと"になっている赤井秀一もいたのだから、やはりただの思いすごしだろうか。

あの後工藤邸へと沖矢さんと戻ったが黒澤カルラは一般人かもなとも言われたが、それでもジンや己と同じ緑の瞳とジンと同じの銀髪。

似ているようで似ていないし深くまで調べ上げるとどうやら思った通りフランスからの帰国子女ということらしく、それ以上の収穫はなかったのだが。

「と言っても俺が組織にいた頃にはまだカルラという名の人間は存在していなかったが」

そんな赤井さんの言葉を思いだしつつ出席をとる先生に「はい」と返事をし隣の灰原と左前のカルラを見、眉間にシワを寄せてしまう。

色々と考えている間にHRは終わってしまい、一旦先生が教室から出て行くとクラスの皆はわいわいと授業の準備をしており、カルラも教科書とノートを用意していて光彦がカルラに声をかけるもカルラ
大した返事もせず。

じっと見つめていればフイとコナンを振り返って見てきたカルラと目が合い慌てそらしてしまった。
これじゃあこちらが怪しまれてしまう。隣には灰原がいるため今はこれ以上探れないとコナンも授業の用意をした。

そうして先生が教科書を持って教室に来るとチャイムが鳴り授業が始まった。

先生が漢字を黒板に書き、クラスメイトたちもノートに書いておりチラとカルラを見ればそれはもう堂々とした様子でスマホを弄っている。
もしやまた途中で抜けるのだろうかと見ていればカルラは小さく肩を落とすとスマホをしまい黒板に視線を戻した。
どうやらただゲームをしていたらしい。凄いな、なんて思いつつもコナンも黒板に視線を戻しノートに書き写していく。
もう一度カルラに視線を向けようとしたが

「じゃあこの漢字読める人ー?」

なんて先生が声を上げると他のクラスメイトたちが自信満々に手を上げたり分からず首をかしげたりしていて、カルラはどうでもよさそうにシャーペンを回している。
漢字が、分からないという様子ではないようだが。

「カルラちゃん、分かるかな?」

クラス中を見渡した先生がカルラを指名して名指しするとカルラはそれはもうつまらなさそうにたった一言簡単に

「"むし"昆虫とかで使う言葉、文字」

しかしそな視線は手の中で回しているペンを見たままで

「カルラちゃん授業に集中しましょうね?」

なんて言われている。
しかしカルラはチラリとも先生を見ずシャーペンを置き教科書に視線を移している。
それ以上先生もカルラも何も言わず光彦が躊躇いがちにカルラを見やり、先生は

「じ、じゃあ」

次の漢字を覚えましょうね!と授業に戻り再びカルラはスマホを取り出し弄っている。

誰も気付かず、そうした中で授業は終わってしまい先生は教室をでていきカルラは教科書類をしまいこむと鞄を持って立ち上がり光彦を見下ろすと

「用事ができたから帰るって」

言っておいて、と口にし教室を出ていってしまった。
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