前世がゾルディックな私の来世(全23話)



「黒澤さんってハーフ?」

ある日の休み時間に吉田がカルラに問いかければカルラはゲームアプリを開いたまま指を動かしながら小さく

「さあ、知らない」

と呟き返しポチポチとゲームをしている。だが吉田はめげることもなくグイグイ声をかけていき、そんな吉田の問いかけに他のクラスメートもカルラのことを見つめてきていて。

「たまに英語?で話してるのってお兄さん?」
「……兄ではない」

英語に関しては答えはしなかったが英語が話せるコナンは「英語じゃねーよ」と口にした。そうすれば吉田や円谷がコナンを見やり

「コナン君、英語分かるの?」

と問いかけられている。
1人まずったとしていてもカルラは気にもせずゲームに視線を落としたまま話すようなこともせず、児嶋が

「じゃあなにじんだよ!」

と言葉を重ねてきて、コナンは少し考えると「フランス人じゃねーか?」と。

そこでカルラは「よく分かるなぁ」と考えながらもゲームをする手を止めず否定も肯定もせずコナンは核心をついたのではないかとカルラを見つめた。しかしカルラの表情からは何の情報も得られず休み時間の終了の鐘が鳴り響いた。
コナンたちは仕方なく席に付きコナンがこそりと灰原に問いかけたのは「ジンはフランス語を話せるのか?」というもの。
灰原は少し考えると「ジンは」

「最低でも4ヵ国語を話せるわ、もちろん、フランス語よ」
「じゃあ黒澤は……」
「フランス人じゃないかしら」

そう顔色を悪くしている灰原にコナンはチラとカルラを見つめれば、ゲームアプリを閉じて教科書などを用意しておりノートを開いている。
そのまま授業が始まり担任の声に合わせ生徒たちが声を上げコナンはそっとため息を吐き出した。

ガキの勉強なんてやってらんねーぜと頬杖を付きつつカルラを見やればカルラは教科書をぼんやりと眺めていて、特に不審な様子は見せないが不意にスマホが机の中で光っているのを見たコナンはカルラを見つめ、カルラはスマホを耳にあてている。
随分堂々としているなぁなんて思っていればカルラは(恐らく)フランス語で対応しており先生に「こら!カルラちゃん!」と注意している。
だがカルラは気にもせずスマホを耳から離すと教科書とノートを机の中にしまうと鞄を肩にかけ立ち上がった。

「家庭の用事ができたので帰ります」

先生の叱る声も無視して用件を口にすると颯爽と教室を出て行ってしまった。
ポカンとするクラスメートと先生の「ちょっとカルラちゃん!」という声もやはり聞きもせずその背は静かに遠ざかって行った。

「おめぇ、フランス語分かるか?」
「分からないけど……」
「けど?」

組織の噂ではジンと一緒にいる子は語学が堪能だとは言われていたし聞いてもいたわ。
そい聞いたコナンは眉を寄せ厳しい表情を見せるがその顔を見せたい相手もおらず、コナンはギリと歯を食いしばって何者なんだ、カルラという奴は………。
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