前世がゾルディックな私の来世(全23話)
「黒澤」。
それが私の新しい名字で名前はと言うとなんと前世(?)と同じくカルラである。そう、黒澤カルラ7才。与えられたマンションの一室で一人暮らしを強いられた。
私の父かもしれない人物の名前は「ジン」。
どこかで聞いたことのあるような名に疑問を持ちつつちょっとした「殺人」の手解きをされている。それは別にいい。
前世での私のフルネームは「カルラ・ゾルディック」。そう、ゾルディックである。
某漫画の暗殺一家の末っ子である私はジン…いや、父さんに仕込まれる暗殺などに準ずる素のその行為に、しかし私はスルリと覚える事ができたし抵抗もない。
覚える事ではないというか覚えなくとも知っているとは言えるはずもなく7つにして仕事を与えられていたがアメリカで、父と供に来日した。
そして帝丹小学校というそこへ通うことになってしまった。
白い天然パーマのロングヘアに青いヘッドドレスにロリータの服はベルモットという女の人が用意してくれて、転校という形でそこに向かって歩いていく。
ランドセルは何となく嫌なのでトートバッグに学校生活で必要な教科書などを入れておき1ーBというクラスに連れられてしまった。
女の先生が私の背に手を当てながら教室に入り私もそれに従っていく。
教室に入れば同い年の子供達が「わあ~!」なんて声を上げており、まあハーフの帰国子女なんて思われたのだろう、間違いではないけれど。
「今日から皆のお友達になる黒澤カルラちゃんです、皆、仲良くしてあげてね?」
そんな教師の言葉に全員が「はーい!」と返事を返し「カルラちゃんのために校内を教えてあげましょう!」なんてクソ面倒なことを言われたため空いている席に腰を落ち着けつつ「校内地図を見たから大丈夫」と呟いた。
クラスの子達も教師も「えー」なんて顔に書いてあるがそれを無視して隣の席のソバカスの男の子に「よろしく」とだけ伝え授業の準備をした。
(一時間目は国語)
そんな私に隣の席の男の子、円谷光彦という男の子が
「クールですねぇ」
なんて呟いておりついで「灰原さんに似てるね」なんて声も聞こえてきた。灰原さん?誰だっけ…まぁいいか。
そうして1日を終え帰宅の用意を済ますとトートバッグを肩にかけ廊下を歩いていれば背後から「黒澤さん!」なんて聴こえてきたが正直な話、海外では「カルラ」呼びであったため反応もせず歩いていればもう一度「黒澤さん!」と肩を叩かれた。
「なに」
そう肩越しに振り返ればカチューシャの女の子がソバカスの男の子と大柄な男の子に大きな眼鏡の男の子と赤茶の髪の女の子……あぁ……思い出した、シェリーこと宮野志保に江戸川コナンこと工藤新一がいて。
もう一度「なに」と口にすれば一緒に帰ろうとのこと。
ちょっと面倒だなと考えていれば灰原が本の少し表情を固くしておりそんな彼女の様子に江戸川コナンが気付き私の事を怪しげなものを見るような視線を投げかけてきてしまったがまぁどうでもいい。
「一人で帰れるから、サヨナラ」
と前を向き歩き出せば「なーんでぇ!灰原と同じでツンケンしてよぉ!」なんて耳に入ったがそれも無視して下駄箱で靴を履き替え校門をくぐったすぐ先に黒い車が停まっており、チラリと父と目があった。
何かを言われる前に車に乗りこめば車はゆっくりと動きだし
「お仕事?」
そう問いかけた。そうすれば父さんは煙草を吸いつつバックミラーで私の事を見つめ「どうだった」と問い返されてしまった。
「特に、何も」
「そうか」
走り出した車はマンションまで動きただ近くを通ったからなんとなく迎えに来ただけらしい。
私の人生が始まった。