7年ぶりの初めまして(全39話)
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とある日、いつものように道場とバンドの練習を終わらせ風呂に浸かりほこほことしなながら自室に戻ればスマホが鳴り響いていた。この音は電話だ。
こんな時間に誰だろうと思いつつスマホを見れば着信元は安室透で、緑のボタンを押した。
「もしもし?」
『あ、奈々、今大丈夫か?』
「大丈夫だけど、どうしたの?」
電話の向こうで一瞬の沈黙があったのだがすぐ安室、いや、零は声を低くして
『しばらく、会えなくなる』
その突然の申告にキョトンとしてしまう。
「警察の仕事?それとも"別の"案件?」
『その両方だ』
という事は、ポアロからも姿を消すのであろうしもしかしたら連絡さえもとれなくなるのでは?
「分かった、無理しないでね」
暗黙で「怪我をしないで欲しい」と伝えれば零は小さく返事をし、まだ何か言いたそうなそれにどう問うべきかを考えてから思い浮かんだのはこれ。
「零の家のポストに気紛れで手紙でも投函しておこうか?」
『返事は返せないけど…それでも?』
「連絡手段が無いから私の安否確認のつもりってことだけど」
『そう…だな…そうしてくれるとありがたい』
その今のやり取りで零は一応家には帰ってくるということが分かったので良しとするも、それでもあの家に帰ることが少なくなると。
そうしてしばらくやり取りをすると『それじゃあ』
『俺からはもう連絡出来なくなるから』
二度目のさよならの言葉にうんと頷いてからしばらく無言であったが私は見えないにしてもニコリと笑うと
「それじゃ、お休み零」
『…おやすみ奈々…』
プツリと通話を終わらせ小さく細く長い息を吐き出すと、暗くなった画面を見つめながら布団に倒れこんだ。
「おやすみ零」
そう小さく呟いて。