7年ぶりの初めまして(全39話)
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あの後レジャーシートを片付けた零と肩を並べて歩いていれば零は私の手を握りしめ歩いてくれてくすぐったい気持ちになってしまう。なんていうか学生の頃に戻ったようで本の少し照れつつ零を見上げればそのアイスブルーの瞳と目が合い立ち止まってしまった。
「どうしたの?」
そう問いかければ零は笑って
「奈々の顔が」
嬉しそうだなって思ってと。思わず言葉を無くしてしまえば零の表情もどこか嬉しそうであり、
「零も、」
「うん?」
「嬉しい?」
零はにこりと笑うと
「嬉しすぎて頬が緩みっぱなしだったけど」
気付かなかった?と。なのでそれに頷き、
「そうは見えなかったけど、」
でも零も大分表情を隠せるようになったんだね?なんだか寂しいけどこれが成長かぁなんて呟いてしまい、もしそうだとしたら私は成長していないのかな、むしろ本の少し退行したのかもしれない。
零に会えたのも話せたのもデート、も、嬉しいので今日まで生きていてむしろ表情が豊かになったかもしれない。
「かもな」
笑顔の零はなんだか昔のようでやはり違う。私も成長しなくちゃなぁなんて思っていれば零の手に力が入り絡ませあっている指にも力が入り引き寄せられ抱き締められた。
「れ、れい?」
そう驚きの声をあげても零は離してくれることもなく、むしろ余計に抱き締められ私は零を見上げればその口が額に寄せられてしまった。
昔だったらありえない行為だがなんというかどこか違う方へと成長してしまってないかと考えるあたる私はまだ冷静らしいと思いたいが。
「零」
「何?」
「…額、だけ?」
一人冷静でいるなんてズルいとカマをかけるように、わざと甘えるように見上げ首をかしげてみせれば零は驚いたように目を見開くと苦笑いを浮かべ
「奈々も」
随分と狡く成長してるななんて言われてしまう。そうして誰もいないことを確認したいらしい零はチラリと周囲を見渡し唇を重ね合わせてきた。
ふわりと重なった唇からは先程のお茶とスペアミントの香りが鼻先にかすめ、アイスブルーの瞳を見つめそっと目を閉じ受け入れる。
それは本の数秒であったが、なんとも長いものに感じてしまいそっと息を吐き出し顔を離そうとした、が、零の手は私の後頭部に回され強く強く引き寄せられ舌がそろりと唇を舐めてきた。
それに思わず肩を跳ねさせれば零はふと笑い額をコツンと合わせてきた。
「れい…」
ポツリと呟けば零は笑ったままもう一度唇を重ねようとして、そして零と私のスマホが同時に着信を告げた。
零は止まり私も零を見上げたまま口端をつり上げて笑ってしまいそれでもと唇を重ねようとしてきたが私は零の胸を押し笑いながらもスマホを取り出し電話にでた。
零はむすっとしながらも同じようにスマホを取り出し互いに電話に応対する。
二人して距離をおくと、零は数事話すと電話を切り私も私でメンバーからの電話に夕方には合流するよと返しスマホから耳を離して通話を終えた。
「じゃ、安室さん、帰りましょうか」
「…そうですね」
零は少し黙るがにっこりと笑って私の手を引き歩き出して
「また、ゆっくりしましょうね、奈々さん」
と一言。