7年ぶりの初めまして(全39話)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
道場での稽古の休憩中に
「奈々ちゃん」
と名を呼ばれ顔を向ければまあ当然のように義母が出入り口に立っており、そしてその横にちょこんと立っているのは
「コナン君?」
そうコナン君。
水分補給をしてから立ち上がり2人に近寄れば義母は「コナン君が用事だそうよ」とそう笑い、ありがとうと答えながら私はコナン君の視線に合わせて屈めば義母は行ってしまい
「コナン君どうしたの?」
と問いかけた。そうすればコナン君は私の手を引き道場から誘い出され一体何なのだろうかと考えてしまう。そうして考えていれば
「奈々お姉さんに聞きたい事があるんだ」
と言葉を濁し近場の木陰に立ち尽くし「安室さんの恋人知ってる?」と。
「知らないけど…」
あ、いや待てよ、そういえば一度だけポアロで見かけたあの女性。
色々と疑問に思いながらコナン君を見つめ「それがどうしたの」と聞けば
「安室さん、最近奈々さんのことを話していてね」
「は?」
「ていうか、しっかりと名前を上げた訳ではないけど安室さんの初恋の人、誰かなって話しがあって」
それが私に何か関係があるのだろうか。そうして首をかしげれば
「学生の時、髪の長い武道に長けた人」
零……何を言ってるんだ……。
思わずそう思い
「同じクラスの女の子」
コナン君の言葉にさてどうするかとも思うが安室さんに対して繋がりは無いということで接しているのだから
「私ではないよ?安室さんとはポアロで会うだけの関係」
そんな私の答えに満足したようには思っていないだろうコナン君を見つめ
「それだけ?用事って」
米花町からもわりと離れた所に住んでいる私の所へ来たのがそれだけな訳ないだろうとそう問いかけた。そうすればコナン君は子供らしい笑顔で手に持っていた袋を掲げ
「本を買いにきたついでだよ!」
と。
「それに」
「ん?」
コナン君は笑ったまま
「奈々さんともっと仲良くなりたいんだ!昴さんとはいつ会ったの?"昔"からの知り合い?」
含むところありありなその言葉に何と答えたモノかと考えるが、きっと秀が沖矢の姿としている事を知っているのかを知りたいのだろうなんてボンヤリ思い、ちょっと秀ともこの関係についても深く話し込んでおくべきだったなと考える。
まさかこんな小学生らしからぬ小学生に深く探られることになるなんて考えてもいなかったのだから仕方あるまい。
「それって沖矢にも聞いてるの?」
「ううん、奈々さんにだけだよ!」
「沖矢は答えてくれなかったんだ」
「え、あ、いや」
と言葉をどもらせたそれはとても分かりやすい反応であり、「そうか教えてもらえなかったのか」と呟き立ち上がればコナン君は視線をさ迷わせながら私を見上げてきた。
「沖矢がどう答えたのかは知らないけど、わりと深い仲かな?例えばベルツリー」
そう呟けばコナン君の表情は固くなり、そういえばと思い出したように「一度コナン君が車に乗ったとき座席の下に貼られた丸いシール」そこで言葉を途切らせ
「アレって何?」
「ぼ、ぼく、知らな
「工藤君?」
っっ!!」
本の少しの引っかけであったがコナン君は言葉を詰まらせもう一度しゃがみこみコナン君の瞳を見つめればコナン君の表情は強ばっていき私は笑ってしまった。
「ふーん、工藤君なんだね、君」
「ち、違うよ?ぼくはコナンだよ?新一兄ちゃんとは遠い親戚だから」
目に見えて狼狽えているとはつまりそういうことだろう。もしかして灰原哀ちゃんのことも某かの詳しい事情を知っているのかもしれない。カマを掛ければ見事に引っ掛かってくれたので私は笑うと
「家まで送ってあげる」
「え?」
「待ってて、着替えてくるから」
大丈夫だよと言っているコナン君を無視すると私は一旦道場に顔を出し義父に頭を下げ今から抜ける許可をもらい部屋へと戻る。
着物をまとうより早く用意をしたいためTシャツに短パンをはきサンダルを突っ掛けると財布とスマホ片手にコナン君の元へと戻ってきた。そうすればコナン君は驚いたように私を見上げ
「着物以外も着るんだね」
と言われつつ2人で車に乗り込んだ。
さて、どうしたものかと思いつつエンジンをかけ車を動かし「工藤君」と。
「どっちの家に行きたい?」
「…新一兄ちゃんとぼくは別人だよ?」
私は笑ってコナン君の頭を撫でると「新ちゃん」と。コナン君はあからさまに動揺し私はやはり笑って
「ほら、新一兄ちゃんだ」
という追い込みにとうとうコナン君は難しい顔で俯いてしまい黙り込む。その表情は真剣そのものであり
「哀ちゃんもコナン君も大変だね、子供なのに」
「っ…それって、どういう意味?」
ピリピリした雰囲気を漂わせるコナン君にチラリと視線を送り
「小さくなったり大きくなったり」
私の理解を越えてしまうものではあるがとカマを掛ければコナン君は厳しい表情で私を睨み上げ
「俺と灰原のこと、どこまで知ってるんだ?奈々さん…」
と。つまりそういうことだろう。
「信じがたいけど、やっぱり2人とも小さくなってるんだね」
信号で停車すればコナン君は逃げるようにシートベルトに手をかけようとしたが私はその手をそっと握りしめ
「君の秘密を知ったから、イーブンとして私のことも1つ教えてあげる」
「……それを信じる根拠は?」
「それは新一君に任せるよ。信じても信じなくてもいい」
でも私は嘘は吐かないよ?
「……それで、奈々さんの秘密って、何?」
「赤井秀一の従妹なんだ、私」
「え?!」
コナン君はそれはもう驚いたように私を見つめてくるので私はブレーキから足を離すとコナン君から視線をそらし
「秀にも聞いてみな」
私が話したって言えば頷いてくれると思うから、そう笑っておいた。