7年ぶりの初めまして(全39話)
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秀とコナン君と会話をしていればコナン君のスマホが鳴りコナン君はスマホを取り出すと画面につらなっている文字を読み息を吐き出した。
そんなコナン君に視線を向ければコナン君はスマホをしまいながら渋い紅茶を飲み干して
「先に博士んちに行ってっから」
昴さんと奈々さんはまた後でと口にし小走りで行ってしまった。
「博士って、隣の?」
「ああ」
奈々はふーんと頷くと大きく伸びをし「何か手伝うことはある?」と秀に声をかけたが秀は少し考えるも特に何もないという返事が返ってきてついで夕方までゆっくりしていてくれとまで言われてしまった。
それでも3人分のカップを持ち秀の後を追いかけキッチンに行くとそれらを洗いコンロに置いてある(恐らく)カレーらしきものを見て言葉が消える。
「秀……」
「なんだ?」
「随分と」
大きな寸胴だなと呟けば秀は笑いつつも私を見やり
「8人分だからな」
と返ってきた。
「は、8人?」
「ああ」
「それって、秀と私と博士って人とコナン君とその友達?」
なら、この大きな寸胴も納得できると頷いて、そしてコナン君の友達とはベルツリーにいた、あの子達だろうか。
「前に一度一緒にカレーを食べただろう?」
やはりあの子達かと呟きつつ
「灰原哀」
あの子少し気になるんだよね。
「というと?」
「あの子本当に子供?」
そう直球で問いかければ黙りこんでしまい何事かを思案している様子を見るとこれは答えてくれないだろうな。
それでもとティーカップを洗い終えると手を拭きながら横にたつ秀を見上げ
「大きな"灰原哀"ちゃんと"宮野志保"って子、同一人物なの?」
「…なぜだ?」
本の少し低くなった秀の声を耳にしつつ少しだけ悩むと答えたのは
「バーボンに会った」
というもの。しかし秀は別段驚いた様子はなかったがそれでも静かに息を吐かれてしまうとなんとも言えない気持ちになる。それでも秀の答えを待ちながら秀の顔を覗きこみ
「あまり、こちらのエリアには入ってほしくないんだが、奈々は知りすぎているかもしれない」
あまり安室君に構わない方がいいだろうなという言葉に口を閉ざしそれでもと秀を見上げ
「宮野志保ちゃんと哀ちゃんは同一人物なんだね?」
そう静かに問いかけてしまった。
秀は口を閉ざし私の瞳を見つめてくるとそれはもう困った様子を見せ
「奈々は昔から勘が良すぎる。良い方にも悪い方にも」
それが答えだろう。
私が頷き考えるのは"大人の姿"の灰原哀に宮野志保。しかし子供の姿と大人の姿という矛盾。
「なんで哀ちゃんは大人と子供の両方の姿を持ってるの?」
そんな純粋な疑問にとうとう秀は黙りこんでしまい
「それ以上を知るということは、許されない、か」
「すまない」
私は小さく笑うと秀を見上げたまま「何も謝ることはないって!」これ以上は私が踏み込んではいけないエリアでしょ?そう秀の口真似をすれば秀はふっと力の抜けた笑みを浮かべ私の頭をぽんと撫でてきた。
「秀、子供じゃあるまいし」
「いいだろう?何も言えない君への謝罪ととってくれ」
思わず笑って秀の腰に抱きつけば秀は再び笑うと頭のてっぺんに口を落とされ
「俺からも奈々に聞きたいことがあるんだが」
「私が答えられるものなら、どうぞ」
と笑いかけた。
「安室君とはどういった関係なのかを改めて知っておくべきだと思ったんだが、答えられそうか?」
「それって、改めてってことは聞く前の事も知っているってことだね?」
「ご名答」
本の少し茶化すような物言いにため息を吐き出すと
「ほら、私がまだ学生の時の恋人がって手紙、覚えてる?」
「ああ、覚えている」
「…安室さん……」
そこで今更ながらに戸惑っていれば、それでも秀は次の言葉を待っており、私は本の少し息を飲むと心の中で零に謝りつつ
「降谷零君…」
「安室君が、だな」
私は無言で頷き
「ごめんね秀、これ以上は私も話せないし話す時でもないから」
まあ名前を知れば秀だったらすぐ分かるでしょう?だからベルツリー急行の時も私を誘った。つまりそういうこと。
「さて」
そこで秀は会話の内容を変えるように声をあげ、カレーの味見をしてくれと頼んできたのでスプーンで一口分すくいあげると口に運び秀に向かって笑いかけた。
「うん、美味しい」
「よし、奈々の味覚は確かだ、ありがとう、嬉しいよ」
と秀は変声機のスイッチを入れニコリと"沖矢昴"の笑顔を浮かべると
「もう一度温めてから行きましょう」
と口にして、私は眉を寄せながら「もー」安室さんも沖矢さんもその笑顔嫌い、私に話しかける時はそのはりつけた笑顔はやめてほしい、頼むよと呟いてしまい
「沖矢昴はお嫌いで?」
「好きじゃないとだけ言っておく」
そうして二人して見つめ会うも視線を鍋に移しカレーを煮込むことにした。