7年ぶりの初めまして(全39話)
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暇だった今日、ポアロでティータイムを終えた私は車に乗り込み秀に呼ばれていたため工藤邸へと向かった。車内でのBGMは新曲のCD。
それにハミングしながら歌っていればすぐ工藤邸に着きインターホンを鳴らし秀、いや、沖矢を待つ。そうすれば本の数秒おいて
『はい』
という声がして
「西澤ですよー」
と言うのと玄関の扉が開くのはほぼ同時であり顔を出したコナン君に
「久し振り~中に停めてもいいかな?」
とまったりと口にした。
コナン君はどこかしら警戒しているようだが私を見上げるも
「奈々さんいらっしゃい、いいよ」
と言われる。
いや、沖矢に問いかけどそこにいたコナン君がなぜか許可をだしてきて。
なぜだろう、コナン君は本当に何者だろうと思いつつも車を停め車外にでる。
沖矢というか秀の話ではコナン君とこの家本人の新一君とやらは知り合いらしいが……そう考えつつも沖矢がコナン君のように家から顔をだし
「沖矢も久し振り」
と、そう声をかけた。
「まあどうぞ」
その沖矢の言葉に私は頷き私を見上げているコナン君の頭を軽く撫でてやり工藤邸へとお邪魔させていただいた。
にしてもコナン君、なんで君がいるのだろうかという疑問を持ちつつ歩き出した私の前を早足で抜けていくコナン君と二人して玄関に入り
「調度紅茶を用意したところだ」
と沖矢は笑いかけてきた。
なんというか、降谷の安室といい秀の沖矢といい、随分と胡散臭い笑顔だななんて思っても二人には届かないだろう。
そんなことを考えながらリビングに通されれば仄かに食欲をくすくぐるいい香り。
「…カレーか?」
「ご名答」
沖矢はそう笑い、コナン君は私を見上げながら
「奈々さんも夕食に誘われたの?」
と首をかしげられたので小さく笑い「違うよ」と答えておきそのままソファに腰を下ろした。
そんな私の横にコナン君が座ってきたうえにニコリと笑みを与えられたので同じように笑いかけ
「私、何かおかしい?」
「ううん、別に…」
そう答えたコナン君に「そう」と返し何かを問いたげなコナン君から視線をそらそうとすれば
「奈々さんって…」
「ん?」
「僕のこと、何か知ってる?」
その不確かな問いかけに首をかしげ
「何かって?」
「何かって…その…沖矢さんのことをどれだけ知ってるのかとか、その、僕との事とか…気にならないの?」
「沖矢のことねぇ」
本の少し悩む素振りを見せながらコナン君に視線を戻し
「そう言ってくるとコナン君に何かあるのかなって思ってしまうよ?」
それだと迷惑でしょう?
沖矢について何かを知っているかというかまあ、少しは知っているかな、それに
「君のことも教えてくれるの?」
コナン君は黙りこみ私の目をジッと見つめてくるが何も言えないようであり
「私の秘密を知りたければ君の秘密も教えてくれないとイーブンじゃないでしょう?だから今は秘密」
そんな私の言葉に納得しないようであるがその静かな戦いは紅茶を持ってきた沖矢の登場で終了した。ように思えたがそうではないらしく
「昴さん、昴さんは奈々さんのことをどれだけ信用しているの?」
「む、突然の質問だな」
チョーカーの変声機を切った秀がそう呟き前のソファに腰を下ろしたのを見やり
「あれだね、沖矢が変声機を切って会話をする仲かな?」
ね、と秀に声をかければ秀も秀で笑い
「そう言うことだ坊や」
彼女は俺の数少ない秘密を知る存在だ、と。
「へえ、じゃあ安室さんとはどういう関係なの?」
突然のその名にポカンとしてしまい
「コナン君なんでそんなに安室さんのことを知りたいわけ?」
「っ…それは……」
そう言葉をつまらせ奈々はコナンの事を見下ろすがすぐ視線をそらし紅茶を口に含んだ。
話すつもりはないという意思表示であり秀は恐らく零と私の事を知っているのだろうし、きっとバーボンというコードネームに関する事だろうな。
全ては聞いていないけれど怪しい組織絡みということまでは教えてもらっているため秀も秀で言えないだろうしと見つめ会う。
さてどうしたものかと悩んでいればコナン君は鋭い表情を私に向けたまま、けれど秀の態度と私の態度で話してくれないと悟ったらしく小学生らしからぬ表情で息を吐き出し紅茶を口に含んで、そして渋い表情を浮かべた。
「どうした坊や」
「し、渋い…」
「紅茶が?」
コナン君はなんとも言えない様子で眉間にシワを寄せたまま頷くと、私は大きく息を吐き出して零のことを問題視しているコナン君にフォローを入れるように口にしたのは
「そこまで悪い人ではないよ?」
「え?」
「安室さん」
ふふっと笑い「それ以上はなんにもしーらない」。まあベルツリーで協力を申請してくれたしそれに付き合った仲じゃない、私も悪い人ではないって言えるから取り敢えずは
「沖矢のカレーでも食べような」
そう笑いかけ、コナン君は、それはもう曖昧に頷いた。